Little Glee Monster、女王蜂 アヴちゃん、秋山黄色らが繰り広げる音楽との真剣勝負 『THE FIRST TAKE』が伝える歌の力

加藤ミリヤ – Aitai / THE FIRST TAKE

 加藤ミリヤはピアノアレンジになった「Aitai」で椅子に座りながら歌っている。ライブではダンスなどの魅せるパフォーマンスで盛り上げるが、それとは違い歌のみに集中している。息使いも聴こえる繊細なボーカルには高い表現力と歌唱力が必要だ。自身の強みであるダンスなどの魅せるパフォーマンスをあえて封印することでボーカリストとしても一流であることを示している。

 『THE FIRST TAKE』はアコースティックアレンジを中心とした落ち着いたアレンジが多い。そのため歌声が音源以上に目立つ。そのため歌声のハーモニーを強みとしているゴスペラーズとLittle Glee Monsterは、グループの本質ともいえる魅力を最大限に活かしている。

ゴスペラーズ – VOXers / THE FIRST TAKE

 ゴスペラーズの「VOXers」からは迫力を感じる。全員が違う歌唱方法で美しいハーモニーを重ね、ヒューマンビートボックスも駆使しており聴きごたえがある。まるで歌声だけでどこまで感動させられるか挑戦しているかのようだ。メインボーカルが次々と入れ替わる部分も刺激的だ。映像で全員が歌っている姿を見ているだけで楽しい。ゴスペラーズの歌唱力ならば歌っている姿を撮っているだけで、エンターテインメントとして成立してしまうのだ。

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  Little Glee Monsterも歌声が強みのグループだ。最近の楽曲は演奏が華やかで、メンバーの歌声以上に演奏が印象的な曲も多い。しかし『THE FIRST TAKE』の歌唱では改めてリトグリの歌唱力の高さに気づく。「愛にリボンをかけて」のサビではハーモニーの美しさを存分に味わうことができる。メンバー全員が高い歌唱力を持っているからこそできるハーモニー。特に複数の歌メロが同時に重なり一つになる後半部分はリトグリだからこそできる歌割りだ。「研ぎ澄ました歌声で人々の心に爪痕を残す」という初期からのグループコンセプトが今でもぶれていないことがわかる。

Little Glee Monster – 愛しさにリボンをかけて / THE FIRST TAKE

 ライブは観客が作る空気感も重要だ。観客によってライブの雰囲気も変わる。それはライブ映像でも伝わる。しかし『THE FIRST TAKE』に観客はいない。ライブと同じように本番一発勝負だが、直接ファンに向けて演奏しているわけはない。アーティストが音楽にのみ集中し自分自身と真剣勝負しているような動画だ。視聴者は演奏し歌う姿にのみ集中する。本人の演奏力や歌唱力のみの勝負なので、実力がなければ視聴者を満足させられない。確かな実力があるアーティストのみ参加していることも『THE FIRST TAKE』の特徴でもある。

 『THE FIRST TAKE』ではアーティストの新しい魅力を発見できたり、強みを改めて実感することができる。観客がいない中で音楽にのみ集中して一発撮りする、ファンが普段観ることができないアーティストの姿を観ることができる。ぜひ真剣勝負するアーティストのリアルな姿を観てみてほしい。

■むらたかもめ
オトニッチというファン目線で音楽を深読みし考察する音楽雑記ブログの運営者。出身はピエール瀧と同じ静岡県。移住地はピエール中野と同じ埼玉県。‬ロックとポップスとアイドルをメインに文章を書く人。
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