ビッケブランカが選ぶ、松任谷由実の“名歌詞” 日本語詞ならではの面白さについても話る

ビッケブランカ選ぶ、松任谷由実の名歌詞

ストレートな歌詞であれば、英語の方が理解してもらえる

ーーこれまでのお話を伺っていると、松任谷さんの歌詞表現はビッケブランカさんの歌詞にも繋がるところがあるように感じます。やはり影響は受けていますか?

ビッケブランカ:はい。やはり松任谷さんの歌詞は素晴らしいので、僕自身もこうした表現ができるように努めています。

――ビッケブランカさんの「TARA」の〈遠き日の花火が 窓を少しふるわせた〉というフレーズからは、特に松任谷さんの影響を感じました。聴き手の想像力に委ねている描写だと感じます。

ビッケブランカ:ありがとうございます。実体験を歌詞にすることは、この曲から始まったんですよ。なので、すごく重要な曲ですね。この曲は、もともとインディーズ時代のアルバム(『GOOD LUCK』)に入れていた曲だったんですけど、ターニングポイントとしてまた新しいアルバム(『Devil』)にも入れることにしました。

――インタビューで、「TARA」はご自身が失恋したことを歌詞にしたとおっしゃっていましたね。

ビッケブランカ:そうですね。今読んでも一番いい歌詞だと思います。〈遠き日の花火が 窓を少しふるわせた〉というフレーズは、かつて“あなた”と一緒に見た花火が、一人の部屋で震わせたかのように頭にこびりついているってことなんですよ。時間が経っているはずなのに、いまだにその花火のことを部屋の窓を震わせているぐらい強い思いで考えていると。

――非常に興味深いお話です。「TARA」のように実体験を歌詞に取り入れたりされてることはよくありますか。

ビッケブランカ:実は実体験を歌詞にしたことがあるのは、「TARA」と「SPEECH」だけですね。ほかの曲も自分の考えは取り入れてはいるんですけど、歌詞として作るときにある程度もう一回咀嚼をしていて。でも、その2曲に関してはその時の自分の気持ちでしかない。特別な2曲です。

――ビッケブランカさんは、タイアップ曲もとても多いですもんね。やはりその作品に寄り添う意識が強いですか。

ビッケブランカ:そうですね。めちゃくちゃ寄り添うようにしてます。その作品のためを思って100%作ります。歌詞に関しても、作品の主人公の気持ちになって作るから、本来の自分が思ってることとは違うことを歌っているとは思います。でも、結局曲を作っているのは僕。そこに絶対“らしさ”が滲み出るはずなんです。それこそが自分らしさだと思うんですよね。

――ビッケブランカさんの“らしさ”でいうと、個人的には言葉の柔らかさにあるように感じます。「まっしろ」「白熊」といったタイトルもなんだか愛らしさがあります。たとえアレンジが攻めているものであっても、ワードが柔らかいことで調和されているように感じるんです。

ビッケブランカ:嬉しいです。日本語みたいにこれだけの語彙があると、曲調の印象を上塗りするぐらいの世界観を作ることができるんですよね。それが日本語詞の素晴らしいところです。

ーービッケブランカさんは、アルバムの収録曲に必ず英詞の曲を入れていますよね。日本語詞と英詞それぞれの面白さはどんなところにあると思いますか。

ビッケブランカ:英語ははっきり物を言うことが正義。海外は1番のサビと2番のサビで歌詞を変えるっていう感覚が全くないんです。だから、少ない情報量で言えるまっすぐさがあると思います。日本語は語彙が豊富だからいくらでも深い表現ができることが面白い。ただ、最近の日本の音楽シーンは、日本語のそういう面白さを使いきれていないように思います。深い表現ができることが面白いのにもったいないなと。ストレートな歌詞であれば、英語の方がよりみんなに理解してもらえるんですよ。

――なるほど。「守ってあげたい」でも、〈守ってあげたい〉という言葉で最大級の「好き」を表現していますが、一方で英語を取り入れている箇所では〈’Cause I love you〉とストレートに歌っていますね。

ビッケブランカ:まさにそうですね。日本語って日本でしか喋られてない言葉じゃないですか。夏目漱石は「好き」と伝えるときに「月がきれいですね」って言う。それが全てだと思うんです。夏目漱石のそれも日本語ならではの面白さですよね。

――ありがとうございます。では、最後にビッケブランカさんが感じるいい歌詞について教えていただけますか。

ビッケブランカ:めっちゃ嫌なやつみたいですけど……経験と教養だと思います。いろんな言葉を知って、いろんな経験をして、それを自分に吸収して。これらをいかに1行、2行に込められるか。才能はもちろんですが、それ以上に経験や教養が必要なのではないかなと思います。

■リリース情報
『Devil』
3月4日(水)
全曲配信日:3月3日(火)
配信はこちら
CD購入はこちら
初回封入特典(3形態共通):『Tour de Devil 2020』Meet&Greet応募シリアルコード
CD+DVD:¥4,500(+税)
CD+Blu-ray:¥4,500(+税)
CD only:¥3,000(+税)
予約はこちらから

<CD>
1.Devil
2.Shekebon!
3.Ca Va?
4.TARA – 2020 Mix
5.白熊 – Main Version
6.かたうた
7.Black Catcher
8.Save This Love
9.Heal Me
10.Lucky Ending
11.Avalanche

<Blu-ray/DVD>
・Vickeblanka Ca Va Tour at ZEPP TOKYO
1.アシカダンス 
2.Want You Back 
3.Broken 
4.キロン 
5.Lucky Ending 
6.まっしろ 
7.Get Physical 
8.Winter Beat 
9.Slave of Love 
10.ウララ 
11. Ca Va?
・「白熊」MV密着ドキュメンタリー 〜国民の飼い猫、旭川へ行く!〜

■ツアー情報
『Tour de Devil 2020』
日程・会場:
4月3日(金)宮城・仙台Rensa
開場18:00/開演19:00

4月12日(日)石川・金沢エイトホール
開場17:00/開演18:00

4月18日(土)北海道・札幌PENNY LANE 24
開場17:00/開演18:00

4月29日(水・祝)大阪・大阪オリックス劇場
開場17:00/開演18:00

5月1日(金)愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール
開場18:00/開演19:00

5月3日(日・祝)広島・広島クラブクアトロ
開場17:00/開演18:00

5月4日(月・祝)福岡・福岡DRUM LOGOS
開場17:00/開演18:00

5月9日(土)東京・中野サンプラザ ※SOLD OUT
開場17:00/開演18:00

席種:
All Standing(整理番号有り)前売:¥5,000(税込)
(東京/名古屋/大阪)座席指定 前売:¥5,500(税込)
年齢制限:3歳以上よりチケット必要/3歳未満は入場不可

チケット一般発売中
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■オフィシャル情報
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