Mega Shinnosuke、yonawo、クボタカイ、Rin音……福岡発の注目株 メロウな音楽がトレンドに
クボタカイ
若手ラッパーの活躍も目覚ましい昨今の福岡。1999年生まれのクボタカイは2017年よりMCバトルでキャリアをスタートし、フリースタイルと楽曲制作を並行してきた。歌モノとしても成立するメロディアスなフロウ、繊細な心情を捉えたリリックなど楽曲の随所に瑞々しい感性が光っている。
2月5日にリリースした「パジャマ記念日」では同世代の女性シンガー・kojikojiをフィーチャーし、そのメロウネスを際立たせている。生活感の中に詩情を通わせた描写とクールなトラックが織り成す、手触りのリアルなラブソングだ。彼の飾らない言葉が綴られたナンバーの数々は、等身大の心境の代弁者として多くの若者に支持され得るだろう。
Rin音
1998年生まれのRin音もまた若手ラッパーの注目株だ。2019年夏に配信されたデビューEP『film drip』が、去る1月22日にCDとしてリリースされたばかり。チルアウトにはうってつけの温もりに浸れる作品だ。
ピアノの音色が印象的な「820」や「甘ったるいタルト」、ギターサウンドを強調した「Summer Film’s」など、彩り豊かなトラックを滑らかに乗りこなした楽曲たち。軽やかな声質もよく馴染み、夜の世界をゆったり泳いでいく気分になれる。2月19日リリースの「snow jam」もそんな心地を引き継ぎながら、この季節にぴったりの切なさを薫らせた1曲だ。
福岡ではうっとりとした聴き心地のメロウな音楽が1つのトレンドだ。歌が主軸のDeep Sea Diving Club、nape’s、bearstapeといったバンド、ヒップホップ志向のMADE IN HEPBURN、New Oil Deals、週末CITY PLAY BOYZといったバンドやクルーなど、形態を問わずムーブメントは起こっている。この潮流がどのように成熟していくのか、これからも福岡の地で見届けていきたい。
■月の人
福岡在住の医療関係者。1994年の早生まれ。ポップカルチャーの摂取とその感想の熱弁が生き甲斐。noteを中心にライブレポートや作品レビューを書き連ねている。
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