EP 『note-book –Me.-』『note-book –u.-』インタビュー
ちゃんみなが明かす、"病み期”を越えて知ったこと「音楽を通して自分自身を心から愛せるようになった」
ちゃんみなが、2月19日にEP『note-book -Me.-』と『note-book -u.-』をリリースする。同作のタイトルは、普段自分の想いや歌詞を書き溜めているノートを作品にして届けたいという思いから名付けられており、『Me.』はちゃんみな自身を主観的に、『u.』は客観的に見て制作されたという。
昨年の夏にリリースしたアルバム『Never Grow Up』は20代を迎えた彼女の第2章を告げるような作品だったが、本作では自己と深く向き合い、これまで以上に彼女の内なる感情をさらけ出したような楽曲が並んでいる。自問自答を繰り返す制作過程の中で、自分自身を愛することができたという、ちゃんみな。自己省察の中で出会った新しい感覚とそこから生まれた音楽について、ひとつの壁を乗り越えた彼女の飾らない言葉を聞いた。(編集部)
「初めての感覚への戸惑いが作品にも反映されている」
ーー今作はご自身の中にある悲しさや苦しさに向き合い、それを作品化した印象を受けました。ワンマンライブ(『ちゃんみな THE PRINCESS PROJECT 4』昭和女子大学人見記念講堂)のMCでも言っていましたが、病んでいる時期に生まれた曲だとか?
ちゃんみな:本当に突然、病み期に入ってしまったというか。20歳になるタイミングの時に、10代のお話はこれで終わり、これからは20代の悩みを持てることが楽しみだっていう風に考えていたんです。いよいよそれが来た、みたいな。10代の時には経験したことのない悩みだったので、少し動揺したといいますか、初めての感覚への戸惑いのようなものが作品にも反映されていると思います。
ーーその新しい悩みというのは?
ちゃんみな:これまで20年過ごしてきて、自分はどういう人間なんだろう、とか。どうしてこういう思考回路なんだろうみたいな、答えのないようなものを掘り下げていったんです。でも、最終的には自分自身とすごく仲良くなれました。その時に思ったのは、私の中には少なくとも2つの人格があるなって。だから今回の作品も『note-book -Me.-』(以下、『Me.』)と『note-book -u.-』(以下、『u.』)でタイトルを分けているんです。
ーー今までは自分自身と向き合う作業をしてこなかった?
ちゃんみな:そうですね。人生の中でやらなければいけないアジェンダみたいなものがあって、その中のリストに入っていたんですけど、多分めんどくさいし、長そうだから向き合わなかった、みたいな(笑)。今、そのタイミングがついに来たんだと思っています。
ーー今作の曲は、悩んでいる時期に並行して作っていたのか、それとも時間を空けたのか。
ちゃんみな:『Never Grow Up』(2ndフルアルバム/2019年8月7日発売)が出る直前くらいに自分自身を掘り下げ始めて、そこからそういう悩みの時期に入っていったんです。それでスタッフの方に相談しました。曲を作りたくなったからアメリカに行けないかって。その翌月くらいにアメリカに行けることになって、向こうで思っていたことを全部バーっと曲にしたことでスッキリしたんです。
ーーアメリカでは何曲作りましたか?
ちゃんみな:全部で9曲書いて、そのうちの8曲が収録されています。帰国してから出来上がった曲をスタッフの方々に聴いてもらってから、これを出したいですって伝えて……だから本当は2月に作品を出す予定はなかったんです。急遽決まったものなので、私がノートに殴り書きしたものがそのまま世にでるような感覚に近いかもしれませんね。『Me.』は主観的に、『u.』は客観的に私を見たイメージなんですけど、曲調で言うと前者が希望的で、後者が絶望的になっているんですよ。特に『u.』の方は割と開き直ってます。
ーーなぜ、そのように開き直れたと思いますか?
ちゃんみな:受け入れたんでしょうね、きっと。凸凹で不完全な自分を受け入れて、これが自分にとっての完璧だっていうことをちゃんと認めてあげられたんだと思います。
「恋愛は、考え方や言ってることがコロコロ変わってもいい」
ーーなるほど。『Me.』は「ボイスメモ No. 5」というラブソングから始まります。過去にもラブソングは多く歌ってきたと思いますが、今作はいつも以上に心の中をさらけ出しているようなリアルさがありました。
ちゃんみな:そうですね。ノートブックってめちゃくちゃプライベートなものじゃないですか。この作品に詰まっていることは基本的には言ってはいけないことなんです。プライバシーが流出しているというか。「ボイスメモ No. 5」で描かれていることは、要約すると「どうしようもない人のことを好きになってしまったな」っていうことで。でも、私はそれをどうしようもできないし、逆にそれがいいのかもしれない。私にとっては彼の欠点も欠点じゃないし、彼も私を完璧だって言ってくれる。それなら周りの人の固定概念にとらわれず、仲良くやっていきましょうっていう曲なんですよ。
ーー最終的には、愛を貫くというか。
ちゃんみな:希望的ですよね。
ーー希望的という意味では、この曲は恋が生まれるぐらいの時期の話ですかね。
ちゃんみな:そうです。始まりそうな時期に書いた曲です。
ーーその中にはワクワクする気持ちもあれば、すれ違ってしまう失望感もある。
ちゃんみな:失望感はまだない段階だと思います。『Me.』の方に恋愛の曲が集中しているんですけど、つまりまだ悪い感じではないということかなって(笑)。
ーーラブソングに関しては、デビュー当初と現在で捉え方は全然違いますか?
ちゃんみな:恋愛は相手や年齢によって変わってくるので、17歳の曲と今の曲はだいぶ違うと思います。でも、恋愛においては、考え方や言ってることがコロコロ変わっていってもいいのかなって。今は「この人しかいない」と言っていても、次の作品で「あいつ最低だった」って言ってるかもしれないですし(笑)。そういう歌を歌わせないでねっていう歌があってもいい。ひとつひとつ、どの感情に音を感じるか次第だと思います。
ーーその時の体験や気持ちによって変わってくるんですね。
ちゃんみな:変わっていきますね。振られたタイミングに音が出る時もあれば出ない時もあります。私が生きていく生活のどの瞬間に音が生まれるかは、私自身もわからないんです。だから、これからも生きながら音楽が生まれてくればいいなって思ってます。
ーー“生活の中から生まれる”というのは、ちゃんみなさんの音楽のキーワードになっていると思います。
ちゃんみな:もともと、素の自分を音楽では表現していきたいという気持ちが根底にあって。普通に生活をしながら人間らしい発想や感情が生まれて、それを作品に落とし込んでアウトプットできる。みんなと一緒に人生を楽しめるような存在になれたらいいなとは常に思っています。ただ、今回の作品を通して、自分の中には2人のちゃんみながいると知ったので、今後は表現の仕方が変わっていくかもしれません。どちらにしても本心には変わりないので、両方の表情をバランス良く、飾らずに出せていけたらと思います。