w.o.d.、初のUNITワンマン公演を徹底レポート スリリングな爆音の奥に垣間見えた、素直な想い

w.o.d.、初のUNITワンマンを徹底レポート

 たとえばNirvanaがそうであったように、時代の不穏な空気に抗うバンドサウンドには、理屈やテクニックを超越した生々しいリアリティが宿っている。すなわち、安易な二元論や固定概念に絡め取られることのない、正直で嘘のない音楽表現だ。グレーでアンビバレントな感情をそのまま吐き出す純粋さこそが、時に聴き手の心を惹きつけ踊らせるのである。1994年生まれのサイトウタクヤを中心としたw.o.d.は、そんなグランジの精神性を現代に受け継ぐ若手バンドの真打と言っていい。

 昨年9月に2ndアルバム『1994』をリリースし、秋から年末にかけて対バンツアー『スペース・インベーダーズⅢ』『スペース・インベーダーズⅣ』、今年に入ってからはワンマンツアー『バック・トゥー・ザ・フューチャーⅡ』で全国を行脚してきたw.o.d.だが、そのツアーファイナルとなる東京公演が2月1日に代官山UNITで行われた。過去最大規模のワンマンだが、チケットはきっちりソールドアウト。注目度の高まりがよくわかる。

 思えば『1994』は、1stアルバム『webbing off duckling』以降の1年だけを切り取ったとても鮮度の高い作品だったが、対バンツアーを経たことで、その収録曲たちがどんな存在感を放つようになったのか。今回の大きな見どころである。

サイトウタクヤ

 開演とともに3人がゆっくりステージに現れると、静寂を切り裂くように「0」のイントロが鳴り響き、ライブがスタート。どこか悟ったように諦念を抱えながら生きてしまう世代感を体現した歌詞は、まさにw.o.d.の音楽を象徴している。と同時に、Red Hot Chili Peppers由来のファンキーなリズムを存分に味わえるのもこの曲の魅力だ。そこから「QUADROPHENIA」へ畳み掛けたかと思えば、3曲目「丸い真理を蹴り上げて、マリー。」で会場の熱気が一気に上昇。今後も彼らの代表曲であり続けるだろうこの曲は、メロディの良さを活かした演奏も抜群だし、細かいことをこねくり回さず、ひと言のインパクトで鋭く真実を突く言葉のエネルギーも凄まじい。

 勢いを緩めることなく、「Mayday」ではサイトウの激しいシャウトが、「HOAX」では中島元良の性急なドラムが、「lala」ではとぐろを巻くようなKen Mackayのベースが炸裂する。そして中盤の大きな見せ場、「ハロウ」「サニー」というミドルテンポの2曲へ突入。「ハロウ」でのサイトウは、死んだような目をして世界の広さをシニカルに歌い上げ、メロウな「サニー」では〈作り笑顔はもう崩れそう/何度も「大丈夫」呟いた〉という切実な感情の吐露が身体に沁み入ってくる。この異様なゾクゾク感は何だろうか? その気だるい叫びが、どうしようもなくロックスター然としたオーラを感じさせるのだ。カート・コバーンの姿が頭をよぎらずにはいられなかったし、サイトウ自身にもそうした立場を請け負おうとする強い決意が芽生えているように思えた。歌い手として、フロントマンとして、彼の成長ぶりがとにかく素晴らしい。

サイトウタクヤ
Ken Mackay
中島元良
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中島元良
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