SWANKY DANK、充実感と笑顔で溢れた渋谷クラブクアトロ公演 12年間の活動を全うしたステージ

SWANKY DANK、12年間の活動を全うしたステージ

 2019年5月にスタートした8カ月連続自主企画イベント『SWANKY DANK ROAD TO PLAYGROUND』開催中である9月に、本イベントの最終公演となる12月17日の『SWANKY PLAYGROUND ONE MAN SHOW』をもって活動休止することを発表したSWANKY DANK。迎えた12月17日、多くの観客が詰めかけた渋谷クラブクアトロでのステージは、休止前最後のライブではあったが変に肩肘張ったものでなく、明るく、楽しく、熱い、SWANKY DANKとしてのステージを全うするものだった。対バンで、リクエスト企画で、そしてワンマンでと、8カ月さまざまな見せ方で自主イベントをしてきていい手応えがあったのだろう。初期のシングル曲「For You」で幕を開けるや、KOJI(Vo/Ba)は「かかってこい!」、「渋谷、パンクロックは好きですか?」とフロアに問いかけ、YUICHI(Gt/Vo)とKO-TA(Gt)はステージ左右から爽快なギターリフや派手なソロを絡ませながら、観客のシンガロングの音量をあげていく。

 序盤は2013年に4バンド(AIR SWELL×BLUE ENCOUNT×MY FIRST STORY×SWANKY DANK)でリリースした『BONEDS』収録の「Remember me」など初期、インディーズ時代の曲が中心に配されたセットリストで、観客の興奮も一段と高かった。その沸騰したフロアに向けてKOJIは「今日はアンコールはしないから。そのぶん本編でがっつりとやるので。歌える曲は一緒に歌おう」と呼びかけ、大合唱チューン「misery」へと繋いでいく。フレンドリーなメロディと疾走感のあるビート、ザクザクと気持ちよく刻まれるギターリフやキャッチーなコード感で聴かせる、「misery」や「Gentleman of Fortune」はこれぞSWANKY DANKというポップパンクで、これまでライブでもその抜群なキャッチーさに磨きをかけられてきた曲だ。一方で、「めちゃめちゃ懐かしい曲」だとYUICHIに紹介され演奏した2009年の1stアルバム『SWANKY DANK』収録の「Truth」は、この8カ月連続自主企画のなかで新たにメインボーカルをYUICHIがやることになったという(この日は、照れながらも嬉しそうにステージセンターでプレイ)。休止前最後のライブであり、またオールタイムベストというべき内容のセットリストになっていたが、活動を振り返るようなエモーショナルなライブをするというよりは、遊び心を交えたライブを楽しみ、暴走するYUICHIのMCをKOJIとKO-TAでたしなめたり、叱ったりと、いつも通りな感じで、観客もその光景を楽しんでいる。彼らのルーツであり、培ってきたポップパンク、メロディックのライブの精神そのもののステージだ。MCでは、「活動休止だと発表してこうしてライブをすることは初めてだから、俺らもどうしていいかわからない」とKOJIは正直な気持ちを語り、「でも、最後の最後まで笑顔で楽しんでいってほしい」と顔をほころばせた。

 中盤は、ドラマーSHUNが脱退し、KOJI、YUICHI、KO-TAの現体制となって2019年1月にリリースした原点回帰的なミニアルバム『WHITE FLAGS』が中心のセット。何の色にも染まっていない、ピュアな志を映した白い旗を掲げてリスタートした『WHITE FLAGS』。このリリースから、作品を携えたツアー、そしてこの8カ月連続自主企画の挑戦をしていくなかで、この先をがむしゃらに前に突き進んでいくことでなく、一度立ち止まって周りの景色を見ることを選んだSWANKY DANK。YUICHIはベストアルバム『Life is Full of Choices-Greatest Songs-』のタイトルにも掛けて「こういう人生の選択をしたことがいいのか悪いのかはわからないけど。自分たちで選択したことに後悔はない」とMCし、KOJIは「12年間続けてきたものを止めるのは、悔しいことでもある。でもバンドは止まっても、一人ひとりの人生は終わらないので。これからもSWANKY DANKを見ていってほしい」と観客に伝え、「でもこうしてステージに立つと、終わりたくないなと思いました」と1曲1曲に高い熱量で応えるフロアに向けて、今の心境を実直に語りかけた。

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