あいみょんの歌はすべて“みんなのもの”になる 自身最大規模ツアーで感じた音楽家としての核心

あいみょんの歌はすべて“みんなのもの”になる 自身最大規模ツアーで感じた音楽家としての核心

 10月からスタートしたあいみょんの全国ツアー『AIMYON TOUR 2019 –SIXTH SENSE STORY–』ファイナルとなる横浜アリーナ2days公演、12月18日の2日目を観た。アルバム『瞬間的シックスセンス』を2月にリリース、ストリーミングのチャートでは彼女の楽曲が複数ランクインし続けているなか開催されたこのツアーのチケットはもちろん即日完売。ファイナルに至っては、1万人以上のオーディエンスを前に2日間ライブを開催するという、自身初の規模感となるライブとなった(2020年2月に国立代々木競技場第一体育館と大阪城ホールの追加公演開催)。

あいみょん(写真=鈴木友莉)

 そもそも彼女のライブを初めて観る人が大多数を占めているという公演だったが、始まってみれば幕開けの「ら、のはなし」での明るさに満ち溢れた泡や花びらをイメージしたようなライティングの演出効果もあいまって、一瞬にして会場全体が一体となっていく様子が見て取れた。そこから「今夜このまま」「愛を伝えたいだとか」「真夏の夜の匂いがする」といったシングル曲も織り交ぜながら、バンドメンバー4人とともにスタートから一気に7曲を披露した。

 最初のMCで「家族で来ている人?」「ひとりっていう人!」「夫婦で来ている人?」と彼女が会場に問いかけると、なかには小学生がいることも判明し、さらに親密で和やかな空気に包まれた。ちなみに「カップルの人?」という問いかけに少し反応が小さいような気がしたのが個人的には意外に思ったのだが、よく考えたらこの日も冒頭に「ら、のはなし」をもってきていることからもわかる通り、きっと“この日のあいみょんのライブに一緒に行く”ということが今後、付き合い始めるきっかけになりそうな、恋人未満のような人たちも多くいた、ということなのかもしれない。とにかく、何か大切なものを分かち合うかのような関係性同士で来たい場であることは確かだったし、それくらいあいみょんとともに分かち合っていく時間に誰もが幸福を感じているのも手に取るようにわかった。

写真=永峰拓也

 映像やライティングといった演出にも意味を持たせていたこともあり、しなやかに進んでいるように見えて、1曲1曲の手応えがしっかり残る骨太なライブ進行となっていった。このライブ全体がアート、インスタレーション的な要素もあり贅沢だな、と感じていたところ、ちょうど中盤で披露された「Tower of the Sun」で、ああそうだ、彼女の一番リスペクトしている人は岡本太郎なのだった、と改めて合点がいったりもした。飄々としている風ではあるが、とにかく彼女は今、パワーに溢れ、まさに“爆発”し始めている、といえるのかもしれない。

写真=永峰拓也

 アコースティックセットでの「おっぱい」などを含む弾き語りを中心としたパートを経て、後半では一気にビート感のあるロック曲を立て続けに披露。「夢追いベンガル」では今や客席に飛び込まんとするほどの勢いでセンター席とアリーナ席の間の道を右に左に駆け抜けて客席と戯れ、この日を心待ちにしていたファンとの距離をあいみょんは自らできる限りの最短にまで縮めていた。

 「靴のサイズは?」「ネイルは?」「シャンプー何使ってるの?」と、MCでオーディエンスから彼女に投げかけられる質問はあまりにもシンプルで高校生同士の会話のようだ。そんな風に、もはやラジオのごとき親しみ溢れるやりとりがアリーナ会場でもなされていたが、唯一「あいみょん、結婚して~!」という会場の男性からのラブコールには「それだけは嫌(笑)! 私、まだまだこれからやから!」とはっきりと意見して笑いをとる場面も。そう、彼女はこんなに一気に脚光を浴びて最高潮の波の中で輝いているわけだが、本人の気持ち的には“まだまだこれから!”なのだ。

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