キンモクセイが信じ続けた“日本のポップス”ーー14年ぶりに完成したアルバムから感じるバンドの情熱と喜び

キンモクセイ、ポップスへの情熱

キンモクセイ「ジャパニーズポップス」全曲トレーラー

 12月11日に配信された最新曲「都市と光の相対性」は、伊藤の曲。スライドギターとエレクトリックピアノのメロウな響きが気持ちいい、「二人のアカボシ」に通じるシティポップ系統の最新進化形だ。佐々木良(Gt/Cho)が作詞作曲を手掛けた「ベター・レター」は、洋楽ニューウェーブ調の軽快な曲で、佐々木と伊藤がボーカルを分け合い、なぜか途中でラテン化したり、歌詞がシュールでユーモラスだったり、佐々木らしいひねりの効かせ方が面白い。

 このあたり、なぜか80年代テイスト満載の曲が続く。白井が曲を書き伊藤が詞をつけた「あなた、フツウね」は、80年代のアダルトなポップロックのオマージュというか、要はオメガトライブの再来というか、ここでもニヤリとさせる要素が満載。後藤秀人(Gt)作曲の「ない!」は、知っている人が聴けば分かるであろうチェッカーズなムード満点のロカビリーポップ。佐々木が手がけた「エイト・エイティ」はぐっと洋楽寄りで、絶妙にチャラい音色のシンセがいい味を出しているポップロックチューン。知識と愛とスキルがあればこそ、ここまで遊べるという最高のお手本だ。

 HALIFANIEによる「ダージリン」は、スペクターサウンドに寄せた60'sポップス。伊藤の「グッバイ・マイ・ライフ」はブラックミュージックをちょっぴり振りかけた歌謡曲といった味わいの、派手ではないが後からじわじわ沁みる隠れた名曲だ。一つの別れのシーンを淡々と描く伊藤の歌詞が絶品で、聴くほどに読むほどに泣けてくる。そしてアルバムのラストを飾るのは後藤の作曲、伊藤の作詞による「今夜」。エレクトリックギターのジャジーでメロウな響きが誘う、穏やかな安らぎをたたえた佳曲。この落ち着き、このさりげなさ、この深み。今のキンモクセイだからこそ表現できる、これが大人のポップス。

 空白の10年の間に、伊藤と佐々木はソロやプロデュース、後藤、白井、張替はサポートミュージシャンや楽曲提供などでしっかりと人生を築いてきた。その上にある今のキンモクセイは、かつてのキンモクセイよりもはるかに自由で自然体に見える。彼らはようやく「バンドをやる」という本当の喜びを見つけたのかもしれない。最近はYouTubeなどで見て、後追いでキンモクセイのファンになった人も増えていると聞く。キンモクセイによる日本のポップス探求の旅『ジャパニーズポップス』にじっくりと耳を傾けてほしい。一生聴ける音楽がここにあることを保証しよう。また、2020年もすでにライブがいくつか決まっているので、ぜひ足を運んでほしい。

(文=宮本英夫)

■リリース情報
5thオリジナルアルバム『ジャパニーズポップス』
発売:2019年12月25日(水)
<初回生産限定盤(CD+DVD)>
価格:¥3,500(税抜)
特典DVD:
「僕の行方」「二人のアカボシ」「人とコウモリ」「風の子」fr om『キンモクセイちゃんとしたワンマン2019』

<通常盤(CD)>
価格:¥3,000(税抜)

 <収録曲>
1.セレモニー
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
 2.TOKYO MAGIC JAPANESE MUSIC
作詞:白井雄介、作曲:白井雄介、編曲:キンモクセイ
3.渚のラプソディ
作詞:HALIFANIE、作曲:HALIFANIE、編曲:キンモクセイ
4.都市と光の相対性
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
5.ベター・レター
作詞:佐々木良、作曲:佐々木良、編曲:キンモクセイ
6.あなた、フツウね
作詞:伊藤俊吾、作曲:白井雄介、編曲:キンモクセイ
7.ない!
作詞:伊藤俊吾、作曲:後藤秀人、編曲:キンモクセイ
8.エイト・エイティ
作詞:佐々木良、作曲:佐々木良、編曲:キンモクセイ
9.ダージリン
作詞:HALIFANIE、作曲:HALIFANIE、編曲:キンモクセイ
10.グッバイ・マイ・ライフ
作詞 :伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
11.今夜
作詞:伊藤俊吾、作曲:後藤秀人、編曲:キンモクセイ
初回・通常:CD全11曲収録

ベストアルバム『ベスト・コンディション+レアトラックス』

ベストアルバム『ベスト・コンディション+レアトラックス』
発売:2019年12月25日(水)
<完全生産限定盤 CD2枚組>
価格:¥4,000(税抜)

<収録曲>
DISC-1:
1.僕の行方
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
2.二人のアカボシ
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&澤近泰輔
3.七色の風
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
4.さらば
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
5.車線変更25時
作詞:伊藤俊吾、作曲 伊藤俊吾 編曲 キンモクセイ&佐橋佳幸
6.同じ空の下で
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
7.人とコウモリ
作詞:伊藤俊吾、作曲:白井雄介、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
8.日曜日の夜
作詞:後藤秀人&伊藤俊吾、作曲:後藤秀人、編曲:キンモクセイ&鈴木茂
9.メロディ
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
10.むすんでひらいて
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
11.夢で逢えたら
作詞:大瀧詠一、作曲:大瀧詠一、編曲:キンモクセイ
12.SUMMER MUSIC
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&澤近泰輔
13.冬の磁石
作詞:伊藤俊吾、作曲:後藤秀人、編曲:キンモクセイ&澤近泰輔
14.さよならの表情
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&澤近泰輔
15.金木犀の花
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンンモクセイ&桜井秀俊

DICS-2:
1.逃げろ
(Mini Album『キンモクセイの約18分』収録/2001.01. 31 Release)
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ、高山一也
2.夢を見させて
(Mini Album『キンモクセイの約18分』収録/2001.01. 31 Release)
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ、高山一也
3.さらば
(Mini Album『キンモクセイの約18分』収録/2001.01. 31 Release)
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ、高山一也
4.波
(Mini Album『キンモクセイの約18分』収録/2001.01. 31 Release)
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ、高山一也
5.しんしんかんせん
(河口湖スタジオ/2001.03.19)
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
6.東京タワー
(河口湖スタジオ/2001.12.18)
作詞:佐々木良、伊藤俊吾、作曲:佐々木良、伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
7.花について
(ON AIR麻布スタジオ/2002.04.15)
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
8.SAKE
(河口湖スタジオ/2002.08.08)
作詞:後藤秀人、作曲:後藤秀人、編曲:キンモクセイ
9.オリジナルの恋じゃないけど
(ON AIR麻布スタジオ/2006.06.08)
作詞:伊藤俊吾、作曲:後藤秀人、編曲:キンモクセイ
10.アシタ 2019 New Mix
(被災地支援コンピレーションアルバム『HOPE nau!』収録/ 2011.03.25 Release)
作詞:伊藤俊吾、作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ

 ■ライブ情報 
『祝・GARAGE25周年!キンモクセイ レコ発ワンマン~オオハシさん、超お久しぶりです!~』
12月27日(金)東京・下北沢GARAGE

『キンモクセイちゃんとしたワンマン2020~ あけおめスペシャル~』
1月4日(土)大阪・Music Club JANUS

 『キンモクセイちゃんとしたワンマン2020~ ことよろスペシャル~』
2月10日(月)名古屋・Tokuzo

『ジャパニーズポップス』全曲試聴トレーラー
「都市と光の相対性」配信URL
『ジャパニーズポップス』iTunesプレオーダーURL
「セレモニー」配信URL

キンモクセイ Twitter
キンモクセイ オフィシャルYoutubeチャンネル

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