SixTONESの会話から垣間見えたグループの姿勢ーー“6つの原石”を追う密着ドキュメンタリー第1回を見て

ごく自然な会話から垣間見えた彼らの姿勢

 まだデビュー前の彼ら。本番に向けてヘアセットなどの準備を自分でこなしていた。

 スタッフから「(本番前に)緊張しないか」と聞かれると、田中は「しないっすよ、いや、しますよ。するんだけど、あぁどうしようってなるほどではない」と回答。「逆に、ファンの人たちがいる場でライブができるっていうのが、どんだけ幸せかって気づいた」と続けた。

 さらに「俺らって本当にファンの人がマネージャーかってくらい、ファンの人からもらった仕事とかマジで多くて。YouTubeのアーティストプロモキャンペーンに選んでいただいたのも再生回数が多かったから」と田中。ジェシーも「ファンがいないと俺たちは何もできないっす」と一言。本番前の準備中という状況下でも、ごく自然な流れでファンへの感謝の言葉がすらすらと出てきた。

 一方の松村も、「こう見えて歳的には大人だからね、俺らも。もうね……大器晩成すればいいねっていう最後の願いのチャンス中です」と食事を摂りながら、デビューに対する熱い想いが伺えた。森本も「確かに大事ですけどデビューすることは。でも、そこがゴールじゃないから。どれだけ時間がかかったとしても、結局目標に向かってちゃんと進むことが大事じゃないですか」。メンバーそれぞれ、自分の意見を持ち、デビュー前のもどかしい時間でも目指すべき先を見失うことはなかった。

 「北斗と髙地は一回デビューみたいな感じでもあったんもんね」ジェシーが切り出すと、「手前まで行ってたんだけど……未熟すぎたね」と松村。「逆にSixTONESで良かったじゃん」とジェシーのかけた言葉に、「そうね」と松村と髙地。

 さらにジェシーが続けた。「おもしろいよな人生って、マジで。俺たちもこうなるとは思ってないじゃん。とりあえず『目の前のことをやっていこう』って言った結果がこうなっているんで、嬉しい」。ついさっきまでふざけていたかと思えば、人生論を語る。これも、常日頃から考えていることなのだろう。ごく自然な流れで語っていたのが印象的だ。

 メンバー全員がジャニーズJr.として10年以上走り続けてきた。番組冒頭でジェシーは「そろそろくるんじゃない? みたいに言われるですけど『そろそろ来る』って言われて13年。14年目ですよ」と笑みを浮かべて語っていた。

 10代から20代へという進路について悩む時期をジャニーズJr.として過ごしてきた。先輩たちの中には、この頃に辞めようと考えていたことを後に明かした人もいたほど。悩んで当たり前といえる環境と闘ってきたことは確かだろう。

 田中は「SixTONESは全員で団体競技で一等賞を取るよりは、各種目の1位が集まったみたいなグループでいたいと思うので、一人の仕事とか自分の役回りを大事にしてそれをSixTONESに持って帰りたい」と語った。

 先輩グループ・嵐のように誰もが知るグループを目指したいと京本。「僕らって基本揃うことがないので。ダンスも揃わないし、特技もバラバラだし、売りもみんな違うし。逆にそれを逆手にとって個々でやりたいことを伸ばしていって。多分6人みんな一致していると思うんですけど、自分の夢を叶えるために6人で旅をしているというか」。

 「いつも悩んだり、立ち止まる……壁にぶつかる度に6人で解決してきた」と京本が語っていたが、普段からコミュニケーションをとっている様子が伺えるエピソードだった。

 意外にも、「デビューしたくない」と消極的な京本の告白、そして予告では髙地も、グループ人気の高まりの一方で「俺が置いて行かれてる」と胸の内を明かした。相次いで戸惑いを隠せないメンバーの言葉に、アイドルという職業の奥深さに触れた気がする。

■柚月裕実
Web編集者/ライター。企画、担当編集、取材・執筆してます。
日本の男性アイドルの頑張りを見ては涙する30代。
始まりはSMAP中居さん。 KAT-TUN、NEWS中心の事務所担。年中HDDの整理と原稿書きに追われています。

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