「My Life」インタビュー
CHIHIROに聞く、SNS時代のリスナーに伝えたいこと「“自分がこう見られたい”を考えて生きてるのはもったいない」
恋愛リアリティショー『かぐや姫と7人の王子たち』(AbemaTV)主題歌にも起用された「好きだけどサヨナラ」など、リアルなラブソングが支持を得るシンガーソングライター・CHIHIRO。彼女が11月6日に配信リリースした「My Life」は、ラブソングではなく仕事や人生に悩むリスナーを勇気付ける、力強い応援歌だ。今回のインタビューでは同楽曲の魅力を紐解きながら、CHIHIROの軸にあるものやハワイでの生活から得たこと、そしてリスナーに伝えたいメッセージについて聞いた。(編集部)
「みんなの背中を押せるような応援歌が作れたら」
――ニューシングル「My Life」は、リアリティのある歌詞が印象的な応援歌。この曲を作った経緯を教えてください。
CHIHIRO:私の曲はいつもラブソングが多くて、そこから知って応援してくれる方も多いんです。イベントやサイン会で「今こんな恋愛してるんです」とか「前はこうだったけど今はこうなりました」って報告をくれたり、SNSで恋愛相談を寄せてくれたり。そんな感じでずっと女性の恋の話を聞きながら曲を書いてきたんですが、彼女たちが大人になるにつれてだんだん悩みや相談も変わってきたなって。最近だと「彼が結婚に向けて動いてくれない」とか「結婚もしたいけど急に夢ができて困っている」といった、少し年齢を重ねたからこその内容になってきてるんです。なので今までとはちょっと角度を変えた、そういう現状に悩むみんなの背中を押せるような応援歌が作れたらなって。
――なるほど。Aメロの歌い出しから、人生にもがいている感じがすごく伝わってきますもんね。
CHIHIRO:ある程度大人になった女性って、悩みがひとつではない気がするんです。夢、仕事、恋愛、結婚……と、いろんなものが複雑に絡み合ってるというか。そして、恋愛の話は人にしても、今おっしゃったような“人生のもがき”ってあまり人に話さないものだなって。でもみんなきっと抱えているものだし、悩んでいると思うので、できるだけそこをリアルな歌詞で書いていくことにしました。
――歌詞のアイデアやヒントにしたものはあるんですか?
CHIHIRO:身近な友人やファンの方の声、あとは自分のことも入ってます。例えばSNSの部分は、今って、タイムラインがキラキラすることばかりに気をとらわれて背景が見えないし、充実ぶりをアピールするみたいな風潮があるじゃないですか? それに疲れてる子が実は多いんじゃないかなって。“自分がこうありたい”じゃなく“自分がこう見られたい”を考えて生きてるのは、なんかもったいないなって。
――同感です。
CHIHIRO:本人が良ければそれはそれでいいんでしょうけど、ファンの方からの“いいね”はもちろんうれしいですけど、プライベートだったら私は“いいね”とか別に気にしないって思うタイプ(笑)。でも、そればかり気にして生きる人生って面白い? って。SNSの世界が全てで、誰かの投稿を見ては劣等感を抱いたり落ち込んだりする人も多いだろうし、そういう迷いとか葛藤をすくい上げられていたらうれしいです。
――サビでは力強い言葉も並んでいますね。作詞で意識したことはありましたか?
CHIHIRO:サビの中間くらいにある〈便利な「頑張れ」という誰かの言葉はいらない〉という歌詞がまさにそうなんですが、結局、自分で自分を奮い立たせないと何も変わらないと思うんです。そこに気付かず、“待っていれば幸せは来る……”みたいに夢見る少女のままでいる人って結構多いのかなって。思いはあっても行動が伴わないと意味がないし、自分で動かなきゃダメだよっていうのをすごく言いたくて、サビの頭から〈それでも、やるしかない〉っていう強い言葉を掲げてみました。
――でも決して熱血な感じはしないのが不思議だなって。
CHIHIRO:熱すぎると説教くさいじゃないですか(笑)? そのへんのバランスはすごい苦労したところで、何度も言葉を入れ替えたりしながら完成させましたね。頑張ってほしいからこそ“頑張って”って言葉は使わず、“自分次第だよ”ってことを伝えたかったです。
――今作が出来上がってみて、CHIHIROさんが今まで書いてきた恋愛ソングとは何か違いを感じましたか?
CHIHIRO:私って切ない曲や「聴いていると病む」って言われるくらいリアルな痛々しい恋愛の曲も多いんですけど、そういう歌詞でも最後には幸せになってほしい、光を見てほしいと思って書いているんです。“ダメ男”とダメな恋愛をしてる歌でも、基本的には“決断をするのは私”とか“自分の選択で人生ができてる”っていう終わり方にしているので、そういう意味ではブレてないのかもしれないです。
――最終的にはポジティブなメッセージを込めているんですね。
CHIHIRO:はい。ダメな相手とかダメな恋愛なのは事実でも、それが次の恋の糧になるかもしれないし、全部を否定しないでちゃんと前を見ていこうって。そういう作り方はどの曲も一緒だから、今までの私の歌に“ああ悲しい”とか“ただあの人が好き”っていう曲はたぶんひとつもないんです。せっかく書くなら、何か人生が変わるスイッチになればいいなと思うので、泣いて終わり……みたいな曲は作ってないですね。
――「My Life」はリスナーからどんな反響がありましたか?
CHIHIRO:「こういう曲もいいね」とか「今まさに悩んでいることを書いてくれててスッキリした」って声もありました。多くの女性っていろんな節目でこういう気持ちを通過すると思うから、共感して、何か胸を揺さぶられてたらいいなって。
――透明感と芯のある歌声がスッと胸に響きますからね。
CHIHIRO:今回は普段の曲より言葉数が多くて、語っているような感じでメロディも細かく入れたんです。なので、1人で街中を歩いてるときにイヤホンやヘッドホンで聴いてくれたらなって。仕事帰りで疲れたときや嫌なことがあった部屋の中とかでもゆっくり味わってほしいです。