HYのライブから伝わる、未来へ突き進んでいく姿勢 20周年記念ツアー初日をレポート

HY、20周年記念ツアー初日レポ

 もちろん最新作のツアーなので、そこからの楽曲も数多くプレイされた。特に作品テーマとも密接に繋がった「no rain no rainbow」は、軽快な鍵盤を配したハッピーな空気感を振り撒く新境地とも言えるナンバー。「HYを代表する『AM11:00』とか、その上を行く明るさがある」とメンバーも取材時に答えてくれたけれど、ライブでは想像以上の輝きを放ち、クラップと大合唱が会場を満たす大盛況ぶり。どんなに雨が続こうとも、必ず晴れる日が来るんだ! という強力なメッセージにより、観客からたくさんの笑顔を引き出す景色は感動的だった。さらに仲宗根泉のバラード「いつか」も披露され、彼女の繊細かつダイナミックな歌声がモーツァルトホールと共鳴し、他の追随を許さないスケールのある声量で聴く者を温かく包み込んでいた。

 そして、毎回趣向を凝らし、アルバムのツアーのみでしか観ることができない仲宗根監修による「イーズーコーナー」は今回も必見だ。ツアーを経るたびにメンバーの演技や演出も精度を高め、もはやライブでは欠かすことができない名物コーナーとなっている。これはライブDVDにも未収録、本当に現場でしか体験できないスペシャルコンテンツなので是非お楽しみに。

 とにかく、メンバー4人が一致団結したパフォーマンスは、新里、仲宗根、許田、名嘉の各メンバーのキャラクターや存在感がより前面に出たステージだった。何があっても、前へ、未来へ突き進んでいくその姿勢こそが、HYが今ライブでもっとも伝えたいことの一つなのだろう。悲しみや喜び、その周辺にある様々な感情にきちんと寄り添い、それをすべて生きるパワーに変えたHYの姿を今ツアーで確かめてほしい。様々な意味で過去最高にエモーショナルな演奏を体感することができるはずだ。

(取材・文=荒金良介)

HYオフィシャルウェブサイト

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