『908 FESTIVAL 2019』の“音楽濃度”の高さ KREVAと出演陣によるエンターテインメント精神
「その日にしか聴けないエクスクルーシブな曲満載のひとつなぎのショー」
KREVAは、『908 FESTIVAL』のコンセプトをそんな風に語っていた(参考)。今年が8年目となる『908 FESTIVAL 2019』は初の横浜アリーナでの開催だ。毎回豪華なラインナップで話題を呼んでいる同フェスだが、今回はKREVA、三浦大知、DEAN FUJIOKA、BONNIE PINK、s**t kingzが出演。満員の1万2000人を集め大きな盛り上がりを見せた同フェスの模様をレポートしていきたい。
『908 FESTIVAL』と他のフェスやイベントとの大きな違いは、主役であるKREVAと皆勤賞の三浦大知を中心に、出演陣による様々なコラボレーションが繰り広げられるステージ構成にある。
特に今回はそれが顕著だった。KREVAのワンマンライブでもメンバーをつとめる「KREBand」の柿崎洋一郎(Key)、近田潔人(Gt)、熊井吾郎 (DJ/MPC)、白根佳尚(Dr)、大神田智彦(Ba)がハウスバンドとして全編で活躍。それぞれが持ち曲を披露するだけでなく、有機的に結びついたパフォーマンスを繰り広げ、ひとつのクライマックスに向かっていく。そういうタイプのエンタテインメントだ。
一番手はこの日の主役、KREVA。開演時間を迎えると、スクリーンにこれまでKREVAが生み出してきた楽曲のタイトルが次々と表示され、「無煙狼煙」の文字が浮かぶと同時にステージ下から登場。迫力の演奏と圧倒的なスキルのラップでいきなりテンションのギアを上げるスタートだ。
さらには「みんなの力を借りて曲を完成させたいと思います」とオーディエンスに語りかけ、「この人に歌ってもらいましょう」と盟友・三浦大知を呼び込んで「One feat. 三浦大知」を披露(オリジナルは「One feat. JQ from Nulbarich」)。ステージを降りた二人は歌いながらアリーナ後方まで移動し、大歓声が生まれる。昨年の『908 FESTIVAL』でJQ(Nulbarich)とのコラボによって生まれた曲が新たなアンセムとなっているのを感じた。
そして、すっかり温まったオーディエンスを前に、DEAN FUJIOKAが登場。「History Maker〜HITM ver〜」で朗々とした歌声を響かせると、「SAKURA」に続けて披露した「Echo」ではKREVAが書き下ろしのラップで参加した。壮大なスケールのバラードに、KREVAが倍速のテンポで言葉数の多いラップを重ね、サビでの掛け合いも含めて新たな楽曲の魅力を引き出していた。
DEAN FUJIOKAがステージを去ると「また一人になったなあ」というKREVAが「チキチハァ!」と“ヒップホップため息”をついて会場に笑いを起こし、“ヒップホップ舌打ち”からビートボックスを披露。そこに演奏陣が乗っかってきて「くればいいのに」に突入する。「俺が『あなたがくればいいのに』と言うと、このフェスにはいろんな人が来てくれました」と告げ、「ついにこの人が来てくれました!」とKREVAとは今回が初共演となるBONNIE PINKを紹介する。
BONNIE PINKは「Tonight, the Night」や「A Perfect Sky」と代表曲をバンド演奏で披露し卓越した歌声の力を見せつけると、ステージを去ろうとしたBONNIE PINKをKREVAが呼び止め、続けて彼女のカバーアルバム『REMINISCENCE』にも収録されたサザンオールスターズ「真夏の果実」のカバーを披露。KREVAと三浦大知とBONNIE PINKの3人が並んで椅子に座り、アコースティックなアレンジで歌うというスペシャルなアレンジだ。特にサビでのBONNIE PINKと三浦大知のハーモニーは絶品だった。
続いて登場したのはshoji、kazuki、NOPPO、Oguriからなる4人組ダンスパフォーマンスチーム・s**t kingz。これまで『908 FESTIVAL』には三浦大知のダンサーとして参加経験もあり、さらにNOPPOは2007年のKREVAの『意味深』ツアーがプロダンサーとしてのデビューステージだったという縁の深い関係だが、ダンスパフォーマンスグループとしては今回が初めての登場となる。
ステージから炎が吹き上がる「BLOW」に続け、シックな「P.Y.T.」、キュートでコミカルな「太陽は罪な奴」と、幅広いタイプのダンスパフォーマンスを見せるs**t kingz。オリジナル曲「Popping!」ではオーディエンスに振り付けを解説し、KREVAがラップで参加。さらにはDEAN FUJIOKAがステージに呼ばれてダンスを共にし、会場に一体感を生み出していた。