AAA、「BAD LOVE」で奥深き表現力を発揮 『奪い愛、夏』や「MAGIC」との関連性を読む

 めくるめく大どんでん返しの末、完結した恋愛ドラマ『奪い愛、夏』。『奪い愛、冬』のオリジナルストーリーということでも注目を集めた今作は、AbemaTVのオリジナルドラマ視聴率1位の記録も残し、堂々たる人気作として幕を閉じた。

 主題歌「BAD LOVE」を担当したのは、『奪い愛、冬』主題歌「MAGIC」に引き続きAAA。「BAD LOVE」では、「MAGIC」とは一味違う歪んだ愛を歌い上げた。今回はそんな2曲を比較しつつ読み解いていきたい。

 「MAGIC」の歌詞からは、ドラマ内での不倫のドキドキや勢い任せの疾走感が感じられるが、「BAD LOVE」からはドロドロとした一進一退の攻防が感じられる。リリックを担当したのは「DEJAVU」や「NEW」などの作詞も手掛ける溝口貴紀だ。彼の創る歌詞は、ストーリー性、対の表現、日本語と英語を用いた韻が特徴的なのだが、今回もその特色がよく表れている。

 1番Aメロでは〈不穏な幕開け〉や〈今すぐ飛び乗れ〉など、これから愛憎劇『奪い愛、夏』が始まっていくことを示唆。Bメロの〈仕掛け合う Lover’s  game〉は、空野杏(松本まりか)をめぐる敏腕女社長・花園桜(水野美紀)と桐山椿(小池徹平)の攻防戦を表しているようだ。

 なかでも印象的なのは、〈覆すBlack or White/露なNaked soul/選ばれぬ者だけが立ち去ればいい〉というフレーズだろう。後半戦突入と同時に「やっぱり桜さんが好き!」と椿から離れていく杏の姿は、まさしく裏返されたオセロ。『奪い愛、夏』においてキーとなる、大どんでん返しをこの一節だけで鮮明に描いている。

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