Official髭男dism 1stアルバム『Traveler』、強豪揃うなか首位獲得 新たなJ-POPの王道となるか

 アルバム全体の構成でもうひとつ言うならば、アルバムを閉じる「Travelers」の、弾き語りの空気感をたっぷりと含んだ導入から、一気にDAW的なエディットとプリズマイザー的な重厚なコーラスが登場する流れも素晴らしい。2分足らずであっさりと幕を引くいさぎの良さで、これでもかと歌声を聴かせる重厚な一作に軽みを与えている。

 と、くどくどと語ってきたところで、やはりアルバムのなかで「Pretender」が放つ存在感の大きさはやはり段違いのように思う。イントロのギターリフを4小節、11秒間延長する「052519」でじらし、「Pretender」に突入する流れはわくわくする。楽曲の魅力について詳述する余裕はないが、なんといってもサビ。反復しながら下降するメロディから、やや散文的にも感じられる起伏の多いメロディを経由して、〈君は綺麗だ〉のロングトーンで締める。以前「宿命」のメロディラインについて書いたときも同じようなことを思ったが、シンプルなリフと転がるような歌メロの対比で劇的な印象を挙げるのが得意なバンドなのかもしれない。

Official髭男dism - Pretender[Official Video]

 人気曲もあり、アルバムとして重すぎず、バンドのこれまでと未来を想像させる一枚として、ブレイクにふさわしい作品だ。

■imdkm
ブロガー。1989年生まれ。山形の片隅で音楽について調べたり考えたりするのを趣味とする。
ブログ「ただの風邪。」

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