SUPER★DRAGONの“アイデンティティ”が改めて感じられた夜 日比谷野音公演を振り返る

SUPER★DRAGON、日比谷野音公演レポ

 2月の2ndアルバム『2nd Emotion』に続いて、8月に早くも3rdアルバム『3rd Identity』をリリースし、2019年に入っても攻めの姿勢で活動ペースを一気に上げているSUPER★DRAGON。彼らが今の勢いを凝縮した8thワンマンライブツアー『SUPER★DRAGON ONEMAN LIVE「IDENTITY NINE」』の東京公演を、日比谷野外大音楽堂で開催した。

 これまでも作品/公演ごとに様々な新要素を取り入れてきた彼らだが、今回のワンマン公演は各メンバーがアイデア段階からかかわった個人プロデュース曲9曲と、全員リード曲「Don’t Let Me Down」で、「メンバー/グループのアイデンティティ」を表現した『3rd Identity』の世界観を伝える“新たな挑戦”の場。通常ダンス&ボーカルグループが単独ライブを行なうのは珍しいバンドやソロアーティストの聖地・日比谷野音という会場自体が、今回のライブにかけるグループの強い気持ちを伝えるようだ。グループにとって初の野外でのワンマンでもあるこの日は、空や周囲の自然も演出のひとつになる野音の雰囲気を生かすように、開拓時代のアメリカをモチーフにした木製のセットが用意され、サボテンや酒のバレルなどによって、日比谷野音がすっかり西部劇の荒野のような雰囲気に変わっている。中でも目を引くのは、高台に設置されたスクリーンの両脇にある酒場の扉をイメージしたセット。ライブは冒頭、『荒野のガンマン』のOPテーマが響き渡り、ガンマンに扮したメンバーがその入口からひとりずつ登場してスタート。定番曲「Mada' Mada'」「hide-and-seek」「WARNING」を連発して観客の熱気が一気に増していく。

 とはいえ、この日の見どころはここから。そのひとつが、『3rd Identity』に収録された楽曲の連続披露だ。スクリーンに最新アルバムのテーマとなった「アイデンティティ」にまつわる映像が表示されると、楽曲ごとに担当メンバーが主役になる形で個人プロデュース曲9曲を次々にパフォーマンス。まずは和哉の楽曲「La Vida Loca」がはじまると、彼を主役にしつつも残りの8人が周囲でサポートし、各メンバーの個性を全員で表現するような雰囲気が生まれていく。以降も楽曲ごとに各メンバーをフィーチャーしつつ、残りの8人が歌やラップ、ダンスでサポートする形でライブが進行。〈I looked up in the sky〉という歌詞が野音ならではの意味に変わった颯のプロデュース曲「Dragonfly」、毅がレコードを手に楽曲を披露し、途中玲於と颯がアクロバットで華を添えた「My Playlist」、メンバーが黒のジャケットに着替え、ひとりだけ異なるカラーのジャケットを羽織った洸希が魅せた「Jacket」など、個人プロデュース曲が披露されていく。こうした楽曲は、音楽的にもそれぞれのメンバーの個性を思わせるものになっていて、ラテン系からトラップ、フューチャーベース、ロック、エレクトロなど、とにかく振り幅が広い。また、それぞれのパフォーマンスには全曲分制作されたストーリー仕立てのMVにも登場したキーアイテムの数々が効果的に使われ、コンセプチュアルな作品の魅力を視覚的にも表現していくような雰囲気が印象的だった。

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