秋山黄色、堂々と走り抜けた初ワンマン『登校の果て』 未発表曲の披露や追加公演発表も

秋山黄色、初ワンマンレポ

 9月28日、秋山黄色 1st ONE MAN LIVE『登校の果て』が、TSUTAYA O-Crest(東京・渋谷)にて開催。今年2月のスリーマン、7月のツーマンに続く、ワンマン実現となった。

 ギターを右手で高く掲げ、ステージに登場した秋山黄色。1曲目は最近のライブのお決まりである「猿上がりシティーポップ」。イントロから悲鳴があがり、一気に会場の熱量が増す。2月のスリーマンの時は、1曲目ならではの緊張感を纏っていたが、もはやそんな空気は一切無い、堂々たる幕開けだった。続く「やさぐれカイドー」では客席に身をせり出しギターソロを披露する場面も。井手上誠(Gt)のギターが“泣き”のテイストにアレンジされており、曲の奥行きが増していた。

 曲の切れ味の鋭さと対照的に、MCでは「秋山黄色ですよろしく! チューニングするぞ!」と相変わらずのアットホーム感を醸し出す。ゆっくりと水を飲みながら「栃木県宇都宮市から追い出されてやってきました。俺のこと知ってるよっていう人? そうなんだよ。ソールドアウトなんだよ、ありがとう!」と感謝を述べた。今リリースされている曲が合計8曲であることに触れ、「知らない曲バンバンでてくるので、知らない曲は知ってる曲の2倍声出して」と話すと、フロアは拍手と歓声で頼もしく応えていた。「地球上で一番大声出しても許される場所なので、部屋にゴキブリ出た時くらいの鬱憤を吐き出して下さい」とユーモアたっぷりに呼びかけ、「クラッカー・シャドー」へ。前奏がファンキーにアレンジされ、大人な雰囲気に。陰鬱とした歌詞の本曲だが、彼個人の想いだったものが、リスナーのものにもなり、それにより歌い方も変わってきているように感じた。「ドロシー」では〈悲しみを分かち合いたい 分かち合いたい〉という言葉に込められた想いが滲み出るような歌い方で、心をつかまれた。

 メンバー紹介を経て「そろそろ良い話するか」と切り出し、中学生で将来の夢がなくなったことを責められ、結局楽器を選んだが、今でもこの選択は不正解だったんじゃないかと思う時がある、と語った。ただ、不正解からスタートすることはたくさんあるから、自分を持って、酸いも甘いも忘れないでいた方が良い、と言い、「どんなに転んでいた思い出も俺だからね」と歌詞を引用し「夕暮れに映して」へ。MCを踏まえて聴くと、この曲に込めた想いがより伝わってきた。

 「弾き語りしたいと思います」としっとりとしたカッティングに合わせ、五月病の心情を歌っているかのような歌詞の未発表曲が奏でられ、引き込まれる。続いて秋山黄色のまくしたてるような歌に、各楽器が重なっていくアップテンポな間奏を長めに披露。ワンマンらしい演出だ。その後静かに始まったのはまたも未発表曲。魔物がやってきそうなミステリアスな雰囲気で、ラップ調のサビや、ハイトーンボイスも心地良い。

 何もいらないけど、幸せそうで楽しんでる人は最強だからそうありたい。まだ難しいけどそう生きていきたい、それは変わらないと語り、「スライムライフ」へ。〈何もいらない いらない そういう奴もいるんだ〉という、彼の目指す生き方が表れた歌詞だ。メンバーの演奏にも、魂が込もっているようだった。続く未発表曲は世間への怒りを歌ったような曲で、初めて聴くとは思えない盛り上がりだった。その後、秋山を代表する鬱憤ソング「クソフラペチーノ」へ。フロアは息をするのも忘れそうなほど曲に身を委ねていた。

 「みんなで歌って帰りましょう! 『とうこうのはて』!」と声をかけラストへ。秋山黄色は途中でギターを置き、マイクを持ってステージを動き回る場面もあった。そして再度ギターを持つも、演奏を止め水を飲むという秋山黄色らしいマイペースが炸裂。その後は最後の一音まで盛り上げ、ステージをあとにした。

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