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川本真琴、℃-want you!、影山朋子、河内宙夢……アーティスト仲間と育んで生まれた作品4選

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影山朋子『光の速度、影の時間』

 森は生きている、折坂悠太、ゑでぃまぁこん、ザ・なつやすみバンドなどの作品やライブに参加してきた影山朋子の『光の速度、影の時間』は、音楽性や指向こそ川本真琴や℃-want you!とは異なるが、同じく仲間アーティストと時間をかけて育んできた成果が結集した素晴らしい“うた”の作品集だ。ビブラフォンやマリンバ奏者として様々な現場で圧倒的な信頼を得ている彼女にとって、自ら主役になって歌を歌うことはどこかこそばゆいところもあるのだろうか、どの曲も少しはにかみながらメロディを手繰り寄せるような横顔が柔らかい風合いを醸し出している。だが、リズム、譜割り、構成、全体のアンサンブルはジャストと言ってもいいほど厳しいもの。雰囲気ありき、フィーリングありきの作品に落ち着かず、むしろジャズ、MPB、AORとしてのポップスにまで昇華させて聞こえるのはそのためだろう。そして、こうした結果を生んだのが谷口雄、増村和彦といった森は生きているの元メンバー、ゑでぃまぁこんのメンバーら約20名ものゲストプレイヤーたちと、葛西敏彦、西川文章というレコーディングエンジニアによる鉄壁なサポートだ。ポツンと一人で歌っているような佇まいを、大勢の仲間たちのバックアップで創出したことの意味を、この作品を聴きながら何度も何度も反芻している。

影山朋子 『心変わり』

 今回は仲間たちとの連携があればこそ誕生したインディー作品の中から、特に傑出した4枚を取り上げているが、最後は、心から信頼できる仲間に出会ったことで活動拠点まで移してしまった河内宙夢(こうちひろむ)を紹介する。

河内宙夢&イマジナリーフレンズ『河内宙夢&イマジナリーフレンズ』

 もともと東京でコツコツと弾き語りスタイルで活動していた河内は、なかなか芽が出ないまま悶々と過ごしていた矢先、共通の友人を通じて知り合った本日休演の岩出拓十郎に誘われるまま、昨年京都に引っ越してしまったというツワモノだ。現在の京都を面白くしている重要バンドである本日休演の岩出は、現在、他にもラブワンダーランドというレゲエ~ラヴァーズロック系バンドでも活動していたり、ムーンライダーズの鈴木博文のプロデュースを担当したりと多忙を極めているが、同世代で同じ音楽指向の河内とはとりわけ意気投合したようで、二人の間を繋いだドラムの小池茅(本日休演やラッキーオールドサンなどのMVも手がける映像作家でもある)と共に河内をメインにしたバンドを結成。ついには河内宙夢&イマジナリーフレンズでベースを担当するばかりかデビューアルバム『河内宙夢&イマジナリーフレンズ』をプロデュースするに至った。おまけにこのアルバムをリリースするレーベルは本日休演と同じミロクレコード。新たな仲間との出会いが河内宙夢の人生を一変させたというわけだ。豊田道倫を思わせる生暖かいエロスが滲む歌詞やボーカルに、The Velvet Underground)やジェームス・チャンスのようなフリーキーでラフなサウンドプロダクションを掛け合わせるアイデアは、少しもたつくタイム感を持つこの3ピースにピッタリ。意識的にローファイでパンクな方向を目指したというだけに、今回紹介した4作品の中では飛び抜けて音質はデッドだが、そこにもまた彼らの確信犯的なアイデンティティが現れていると言えるだろう。今年の『ボロフェスタ』にもソロで出演することが決まっている河内宙夢。ぜひとも覚えておいてほしい存在だ。

■岡村詩野
音楽評論家。『ミュージック・マガジン』『朝日新聞』『VOGUE NIPPON』などで執筆中。東京と京都で『音楽ライター講座』の講師を担当している(東京は『オトトイの学校』にて。京都は手弁当で開催中)ほか、京都精華大学にて非常勤講師、α-STATION(FM京都)『Imaginary Line』(毎週日曜日21時〜)のパーソナリティも担当している。

      

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