清水翔太が語る、R&Bでユーモアを取り入れる難しさ 「チャンスは常に探してる」

清水翔太が語る、R&Bでユーモア取り入れる難しさ

常に自分はオンラインでありたい

ーー絶対的に難しいことではないのかもしれないけれど、日本のR&Bでそういった前例があまりに少なすぎて、サンプルとなる比較対象もないことから難しさに拍車がかかってしまうんだろうね。

清水:海外のR&Bも振り切れていない感じがしますよね。例えば、リアーナやザ・ウィークエンドも、ヒップホップに寄り添ったりフィーチャリングで起用することでスパイスやユーモアを取り入れられている。僕も過去の楽曲「ANIMAL」や「いつもBlue」でチャレンジしているけど、そういう意味でもR&Bで上手くユーモアを入れる方法は常に模索してます。

ーーそのチャンスを見逃さないのが清水翔太、という印象。

清水:もちろん、チャンスは常に探してる。僕自身、80点を継続していくのはわりに合っていないと思っていて。「ずっと0点を取り続けていても、どこかで100点以上を出せれば問題ない」、常にそういう気持ちと向き合っている。「自分はこんなもんじゃない」という感覚が突き動かしている反面、「実はこんなもんなのかな」と気づいてしまうことへの恐怖もあります。

ーー才能が枯渇してしまうことへの恐怖?

清水:いや、曲自体はいつまででも書き続けられると思うんですよ。それに、まわりの人が「清水翔太はこんなもんじゃない」と思ってくれている限りは、大丈夫だとも思っているので。

――「Sorry」のインタビュー時に、「理解されなきゃ意味がない」と話していたのが印象的だったんだけど、まさに『WHITE』の反省点とつながっているなと感じました。その言葉をわかりやすくほかの事象でたとえると、どんなことになる?

清水:「オンライン」と「オフライン」かな。例えば、『桃太郎電鉄』を僕とコンピュータ3人の4人でプレイしたとして、僕がすべての物件を買い占めて、2位以下に大差をつけてトップになったとするじゃないですか。でも、結果は「だからなんなんだ」ですよね。ほかに戦うプレイヤーがいて勝つからこそ意味がある。「良い作品ができた。まったく評価されていないけど、僕は最高傑作だと思う」――それは結局オフラインで、どこともつながっていない。『桃鉄』って小さい頃に植え付けられた競争心じゃないですか。嫌われることがあっても、そこにはドラマがある。誰かとプレイしていれば、「刀狩りカード」や「カードつかえカード」「福の神カード」のようなカードを使うことで感謝されることだってある。オフラインでコンピュータと戦っていてもドラマ性に欠けるんですよね。なので、常に自分はオンラインでありたい。

――秀逸な桃鉄のたとえを経て、新作「Breathe Again」について聞きます。

清水:2年くらい前に作った曲で、当時一部分だけInstagramにアップしたんですけど、えらい評判がよかったんですね。それ以降も「あの曲はリリースしないんですか?」というコメントが多くて、いつか(曲として完成させるために)向き合わねばと思っていた曲で。なので、わりとファンに向けて作った曲という意味合いが強くて、世間からどういう評価をされるのかはわからないです。今さらトロピカルハウスかい、って思われるかもしれないし。ただ、世界的に流行したトレンドを取り入れるのは(日本では)ちょっと遅れたほうがいいかな、と思う部分もあったり。

清水翔太 『Breathe Again』Music Video

――実はこの曲を聞いて、一発目に思い浮かんだのが、結婚・出産を経た加藤ミリヤに対するメッセージだったんです。ミリヤの10年前のアルバム『Ring』には同タイトル曲「Breathe Again」が収録されていて、同時に2009年は「Love Forever」で加藤ミリヤ×清水翔太が始動した年でもあったり。

清水:相変わらず都市伝説みたいな聴き方してますね(笑)。そういった推測がひとり歩きするのは全然構わないけど、公式では認定しないからね。ただ、無意識で曲を作っていることも少なからずあるだろうし、まるで未来を予知したんじゃないか? って思う曲を作っていることもあるし。音楽にはそういったシックスセンス的な感覚はあって、ヒットさせようと作っても、まったく響かないこともあれば、自分とは意図せぬところでヒットが生まれたりすることもあるからね。

――最後に、9月からツアーが始まるけど、どんなツアーになりそうですか?

清水:このタイミングでアルバムのリリースはないんで、好き放題……と言ったら語弊があるけど、良い雰囲気のライブにしたいと思ってます。ファンのみんなも良い意味でコアな曲を聞きたがってきているので、セットリストを考えるのも難しい。

――これまでのライブで一度も歌ったことがない曲はある?

清水:ありますよ。単純にライブを想定せずに作り込みすぎた曲は、ブレスの場所も難しく、音階の高低が行き来する曲が多かったり、歌うのが本当に難しくて(笑)。でも、何か面白い施策を考えながら、そういった曲もしっかりフルで披露してみたいと思ってます。

(取材・文=佐藤公郎)

清水翔太『Breathe Again』

■リリース情報
『Breathe Again』
リリース日:8月21日(水)
各配信サイトにてダウンロード配信開始
詳細はこちらから

■ライブ情報 
2019年清水翔太全国ツアー公演日程
9月2日(月)大阪@Zepp Namba
9月3日(火)大阪@Zepp Namba
9月6日(金)北海道@Zepp Sapporo
9月10日(火)愛知@Zepp Nagoya
9月17日(火)東京@Zepp Tokyo
9月18日(水)東京@Zepp Tokyo
9月26日(木)福岡@Zepp Fukuoka
9月27日(金)福岡@Zepp Fukuoka
9月30日(月)鹿児島@鹿児島市民文化ホール第一
10月7日(月)神奈川@神奈川県民ホール 大ホール
10月12日(土)岐阜@岐阜市民会館
10月25日(金)石川@本多の森ホール
11月1日(金)福島@けんしん郡山文化センター
11月4日(月・祝)広島@広島文化学園HBGホール
11月5日(火)岡山@倉敷市民会館
【追加公演】2019年11月8日(金)福岡@福岡サンパレス 
【追加公演】2019年11月9日(土)福岡@福岡サンパレス 
11月17日(日)愛媛@松山市民会館
11月23日(土)三重@桑名市民会館
11月24日(日)静岡@静岡市民文化会館 大ホール
11月29日(金)宮城@仙台サンプラザホール
11月30日(土)岩手@岩手県民会館
【追加公演】2019年12月15日(日)大阪@大阪城ホール 
【追加公演】2019年12月17日(火)東京@東京国際フォーラムホールA 
【追加公演】2019年12月18日(水)東京@東京国際フォーラムホールA 

追加公演チケット先行受付スケジュール
S.S FAMILY先行:8月21日(水)18:00〜8月25日(日)23:59
翔太モバイル会員先行:8月29日(木)18:00〜9月2日(月)23:59
チケット一般発売中<9月2日(月) Zepp Namba〜10月25日(金)本多の森ホール公演>
下記チケットサイトよりお買い求めください。
ぴあ
ローソン
イープラス

■関連リンク
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