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ニューアルバム『2019』インタビュー

INORANが語る、“まだ見ていないもの”に向かう姿勢「音楽の力の信じて生き勝る」

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 INORANが、8月7日にニューアルバム『2019』をリリースした。「僕が主役じゃなくてもいい」と本人が語るように、女性ボーカルをフィーチャーした楽曲やMuddy Apesで活動を共にするディーン・タイディやタカ・ヒロセ作曲による提供曲なども収録した本作。サウンド面の多彩な挑戦を盛り込んだ『2019』は、ソロ活動20周年、LUNA SEA30周年を経たINORANだからこそ作り得た充実のアルバムと言える。今回のインタビューでは『2019』の話題を中心に、INORANの音楽に向き合う姿勢をじっくり聞いた。(編集部)

生かされている意味を考えながら音楽を奏でていく

ーー今作『2019』はオリジナルアルバムとしては、前作『Thank you』(2016年)以来3年ぶり。その間にソロ活動20周年のタイミングにセルフカバーベストアルバム『INTENSE / MELLOW』(2017年)のリリースもありました。ソロ活動を20年続けてみて、まず最初にどういうことを感じましたか?

INORAN:LUNA SEAの30周年もそうなんですけど、もちろん一瞬ではないですけど、気がつけばそのぐらい経っていたという感じで、まずは感謝しかないですよね。ずっとこのポジションに立っていられて、アルバムを出せていられるということに、素直に感謝しています。

ーー10代で音楽を始めた頃は20年後、30年後にこうなっているイメージというのはなかったわけですよね?

INORAN:ないですね。

ーーでは、LUNA SEAを始めた30年前というのは正直、どうなりたいか、どこまで行きたいかと考えていましたか?

INORAN:わかりやすい言い方をすると、たくさんの人に聴いてほしいという思いがあって。それが100万枚なのか200万枚なのか300万枚なのかはわからないですけど、当時はそれぐらいCDが売れる時代だったので。あとは、ライブをやる場所、最初に目指したのは武道館であったり、そのあとは東京ドームであったり、そういう部分は続けながらみんなで描いていったところもありますね。

ーーそこがバンドとソロとでは、また変わってくるんじゃないかなと思いますが。

INORAN:そうですね。でも、やっている内容は違うけど、スピリットは一緒なので。場所とかセールスとかじゃないかもしれないですけど、まだまだ自分のミュージシャン人生の中で上は限りないですし。空を見上げながらちゃんと前に歩いていくというのは、年を重ねるごとに、キャリアを重ねるごとに大事になってきているところでもありますよね。だから、未来に夢や思いを描くことも大切な部分ではあるんですけど、今を生きている、生かされているミュージシャンとして、その生かされている意味を考えながら音楽を奏でていくという部分も重要で、今はそういうことを考えながらやっているかな。特に震災が起こった際には、みんないろいろ考えたと思うんです。そういう意味でも、生かされている自分の存在を考える部分が強いですね。

ーーなるほど。では、年齢的な部分に関してはいかがでしょう? これまでたくさんの経験を積み重ねてきましたが、ここから先は「あとどれだけ、何を残せるのか?」と考えながら動いていくこともあるんじゃないかと思います。

INORAN:まあ、ふとそういうことも思いますよ。でも、ふと思う前にまだやりたいことがたくさんあるっていう思いのほうが強くて。まだ見ていない景色もできるだけ見たいし、聴いていない音楽もまだまだたくさんあって悔しいし。僕はそっちのほうが強いですね。

ーーそこに対しての貪欲さやアイデアが枯渇することは?

INORAN:ないですね。それはなぜかというと、昨日よりも日に日に音楽が好きになっていると思うし、音楽に対する情熱がまだまだ下がることがないから。なので、今のところはまったくないです。

音のクオリティは落としたくない

ーー音楽シーンもこの30年で大きく変動しています。30年前に常識だったことがもはや通用しなくもなっていますし、それこそ90年代にはCDが100万枚、200万枚と売れていたけど、今やCDを買う人を探すほうが大変なんじゃないかという時代に変わってしまった。そういう現状はINORANさんの目にはどう映りますか?

INORAN:ふたつあって。売れてはいないですけど、ストリーミングサービスが始まったことで裾野が広がって、音楽を聴く人は増えているとは思うんですよ。確かにパッケージを買ったりとか、音楽を手に取る人は少なくなったかもしれないですけど。だから、そこに関して悲観視はまったくしていない、というのがひとつ。

 あともうひとつは、テクノロジーが発達して誰でも歌がうまく聞こえるように編集できたり、ドラムも生で叩かずに好みの鳴りをシミュレートできたりと、予算を抑えて制作することができるようになったこと。でも、それって激安ショップのファストファッションでコーディネートしているようなもので、それでファッションショーには出られないでしょ? っていう。もちろん、ただお金をかければいいわけではないけど、そんなの手法でごまかすことができないのが音楽だと思うからみんな頑張っているはずなのに、音楽の力を本当に信じずにそうやってしまえば、そりゃこうなるよね、っていうのがふたつめに思っていること。そこが60%ぐらいを占めるんじゃないですかね。だから僕は、できる限り音のクオリティは落としたくないし、そこに込める思いももちろん落としたくないし、ということを試行錯誤しながら続けています。

ーー音を届けるということが大前提としてあり、それを手に取ってもらうためにパッケージにいろんな工夫を加えるわけですよね。

INORAN:もちろん。やっぱり手に取ってもらいたいですし、音楽だけじゃなくてアートワークというのもカルチャーだと思っているので。

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