ブルエン、KEYTALK、フォーリミ……ロックバンドが彩る2019年夏ドラマ主題歌に注目

夏ドラマシーン彩るロックバンドの主題歌

 戦友ともいえる04 Limited SazabysやKEYTALKがそれぞれのカラーを活かした楽曲で夏ドラマの世界観を彩っている中、特に注目したいのが唐沢寿明主演の土曜ドラマ『ボイス 110緊急指令室』(日本テレビ系)へ主題歌を提供したBLUE ENCOUNTだ。今年、新たな音楽的フェーズへと足を踏み入れたバンドの等身大の姿を表現したミニアルバム『SICK(S)』で音楽雑誌『MUSICA』の「BEST OF THE MONTH」に選ばれるなど非常に高い評価を得たBLUE ENCOUNT。その成長は留まるところを知らず、今回ドラマ主題歌として製作された「バッドパラドックス」ではさらに劇的な進化をリスナーにこれでもかと見せつけている。

BLUE ENCOUNT 『バッドパラドックス』Lyric Short Video【日本テレビ系土曜ドラマ「ボイス 110緊急指令室」主題歌】

 第一印象は、BLUE ENCOUNTの神髄ともいえる疾走感あるギターロックのスタイルをなぞる勢いと疾走感。既に盛り上がりつつある夏フェスシーンでも映えそうなパワフルさとキャッチーさもあり、この夏のBLUE ENCOUNTのアンセムとなりうる華やかさを一瞬で感じられる。

 一方で、ボーカルやビート感を際立たせたい部分では最低限のサウンドだけで引っ張っていくタイトな音作りには、BLUE ENCOUNTとしては“新境地”という言い回しが相応しいだろう。更に注目したいのが、サビに差し掛かったところで登場するピアノサウンド。その控えめな存在感は、流麗でカタルシス感のあるサビメロを底上げする役割を担っている。

 ファルセットを巧みに駆使した田邊駿一(Gt/Vo)のボーカルにも注目だ。言葉を細かく区切ったスピーディなAメロと、優しさとやるせなさが共存するサビのボーカルのギャップが、「迫りくるタイムリミット内に命を救う」というドラマ本編のストーリーにリンクした歌詞のメッセージを力強く際立たせている。“タイムリミット・サスペンス”を謳うドラマ『ボイス~』の世界観にこれ以上ないほどフィットした楽曲を提供したBLUE ENCOUNTのバンドとしての進化、そして作詞作曲を手掛けた田邊の才能の底知れなさを改めて感じざるを得ない。今回のドラマ主題歌起用によってさらなるステージへと躍進を遂げたBLUE ENCOUNTの楽曲に、にロックファンのみならずJPOPリスナーなど、より広い層の音楽ファンからも熱い注目が集まっている。

 楽曲のドラマ主題歌への起用はバンドの新境地を開拓するのに大きな影響力を持っていると言っても過言ではない。それぞれのバンドの元々の持ち味であるエモーショナルさや疾走感などの要素を活かしながらも、それぞれのドラマが持つ世界観やテーマと絶妙にリンクしてそれまでのバンドにはなかった魅力が引き出されたりもする。

 今回紹介したドラマ主題歌はまだドラマ本編や動画サイトなどでしか耳にすることができない楽曲ばかりだ。どれもがバンドの魅力が今まで以上に引き出された楽曲ばかりで、フル尺での解禁が今から待ち遠しい。

 まずは8月3日に先行配信が決定しているBLUE ENCOUNTの新曲『バッドパラドックス』のリリースを心待ちにしたいところだ。

■五十嵐文章(いがらし ふみあき)
音楽ライター。主に邦楽ロックについて関心が強く、「rockinon. com」「UtaTen」などの音楽情報メディアにレビュー/ライブレポート/コラムなどを掲載。noteにて個人の趣味全開のエッセイなども執筆中。ジャニーズでは嵐が好き。
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■リリース情報
『バッドパラドックス』
発売:9月11日(水)
<初回生産限定盤(CD+DVD)>
価格:¥1,759(税抜)
<CD>
1. バッドパラドックス
2. ギブス※椎名林檎楽曲カバー
<DVD>
2019年6月21日に東京中野サンプラザホールにて行われた<HALL TOUR 2019 apartment of SICK(S)>のライブパフォーマンスとツアードキュメンタリーを収録
1. PREDATOR
2. ハウリングダイバー
3. VS
4. もっと光を
5. アンコール
6. Making of HALL TOUR 2019 apartment of SICK(S)

<通常盤(CD)>
価格:¥1,111(税抜)

BLUE ENCOUNT オフィシャルサイト

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