BLUE ENCOUNTが今伝える、力強いメッセージ 最新曲「灯せ」までの歩みを辿る

ブルエンが今伝える力強いメッセージ

 BLUE ENCOUNT(通称・ブルエン)が3月21日に待望の3rdアルバム『VECTOR』(読み:ベクトル)をリリースすることを発表した。

 今回はブルエンの楽曲を軸に、彼らが歩んできた道のりを振り返りつつ、ファンの心を鷲掴みにしてきた音楽的魅力について述べたい。ここでは彼らが過去に発表してきた5曲に加え、最新曲「灯せ」で辿り着いた新たな境地について解説したい。その都度、リアルな心情を楽曲に込めてきたバンドゆえに、そこには常に噓偽りのないエモーションが表出していると言っても過言ではないのだから。

 まずはインディーズ時代の2曲から取り上げよう。最初は2012年4月にリリースされた2ndミニアルバム『HALO EFFECT』収録の「HANDS」だ。この曲は1stフルアルバム『BAND OF DESTINATION』(2014年2月リリース)にも再録された楽曲で、先日行われたバンド初のリクエストライブ(1月17日、東京・新木場STUDIO COAST公演)でも第2位を獲得した人気曲である。当時はまだライブの動員も今ほどではなく、これからの先行きも見えない状態だった。それを見かねて、辻村勇太(Ba)が脱退したいと言い出し、バンドは最大の危機を迎える。その危機的状況を打破していくかのように、「HANDS」はライブでも徐々に観客の反応を得るこことなる。今では曲が始まるや観客は両手を天井にかざし、会場をひとつに束ねる素晴しい光景を作り出している。〈いつだって君のその手は いつでも世界を変えられるよ〉の歌詞に象徴的なように、あなた(聴き手)に向かってストレートな言葉を投げかける応援ソングとなった。今がどんなに辛くても諦めるな! というメッセージ性は、バンドが置かれた境遇から絞り出された楽曲に違いない。

 続いては同じくインディーズ時代の1stアルバム『BAND OF〜』収録の「THANKS」。この曲は彼らのルーツにあるELLEGARDENを彷彿させるメリハリを効かせた疾走ナンバー。ギリギリ3分を切ったショート曲にも関わらず、熱いパッションを封じ込めることに成功。〈君がいて僕がいる〉の歌詞通り、ここでもリスナーを意識したブレない姿勢を貫き、最大級の感謝の気持ちを歌い上げている。

 そして、先日のリクエストライブで堂々1位に輝いたのが「もっと光を」。結成10年目を節目にインディーズからメジャーに舞台を移し、デビューEP『TIMELESS ROOKIE』を発表。それから初のメジャー1stシングル表題曲としてリリースされた。歌詞も曲調も小細工なし、真っ裸の、ド直球のアプローチで挑みながらも、“あなたをもっと大きな光で包み込むよ”という大きなメッセージを掲げている一曲である。この頃はライブにも変化が訪れ、あなたたちを引っ張って行くから! という能動的なステージングに切り替わってきた。「もっと光を」がプレイされると、観客は感動のあまり泣いてしまったり、または至福の笑顔を浮かべたり、あるいは真剣な表情で聴き入ったりと、反応は様々。ひとつだけ言えるのは、この曲がバンドと聴き手の絆を強固にする名曲へどんどん成長したことである。現在、「もっと光を」はブルエンを代表する楽曲と言って差し支えない。

BLUE ENCOUNT 『もっと光を』

 2015年7月にはメジャー1stフルアルバム『≒(ニアリーイコール)』を発表し、バンドは数多くのフェスに出演するなど上昇気流に乗っていく。バンドの知名度も上がる中、2016年1月にメジャー3rdシングル『はじまり』をリリース。表題曲は『第94回全国高校サッカー選手権大会』応援歌に抜擢。田邊駿一(Vo/Gt)が自らの高校時代を振り返って書き下ろした曲で、ブルエンらしい優しさと強さを兼ね備えたバラード風の曲調に仕上げている。情感溢れる歌メロを軸に右から左へ流れるサウンドに終始せず、中盤に聴ける江口雄也(Gt)の扇情的なギターフレーズも実にかっこいい。

 2016年4月にはブルエンの地元である熊本で地震が起きた。その同年6月にメジャー5thシングル『だいじょうぶ』という、これまたど真ん中の表題曲をリリースする。この4カ月後に初の日本武道館ワンマン公演(10月9日)を控えていたこともあり、表題曲は武道館でやることを念頭に作られた。2ビートを用いたアップテンポな曲調で、シンガロングパートもふんだんに取り入れた合唱ナンバー。〈カッコ悪い「あなた」が一番かっこいい〉というキラーフレーズはもちろん、〈あなたが笑ったそれだけで救われるやつがどこかにいる〉の歌詞などポジティブなエネルギーを全力で解き放ち、多くの人を元気づけて励ます楽曲として支持された。

BLUE ENCOUNT 『だいじょうぶ』(Short Ver.)

 2017年に入ると、バンドはひとつのターニングポイントを迎える。メジャー2ndアルバム『THE END』は従来のブルエン像を破壊し、刷新するチャレンジングな作風となった。より自由度が増した曲調により、ライブも格段と勢いが付いてくる。そして、彼ら憧れのバンド・ELLEGARDENも過去に行った初の幕張メッセ公演(3月20日)にて度肝を抜くパフォーマンスを見せつけた。

 その後もライブに磨きをかけ、2018年初頭にドラマ24第50弾特別企画『オー・マイ・ジャンプ!〜少年ジャンプが地球を救う〜』(テレビ東京系)エンディングテーマに新曲「灯せ」(1月26日配信リリース)決定のニュースが飛び込んできた。先日のリクエストライブでも初披露された楽曲で、早くも観客から熱いリアクションを得ていた。曲調的には春、夏、秋、冬というワードが歌詞に散りばめられ、365日、オールタイムでリスナーに寄り添いたいという気持ちが込められているよう。また、〈灯せよ 希望を 暗闇を溶かせ〉というシンプルな歌詞には聴く者の背中をずっと押し続けてきた彼らのエッセンスが凝縮され、より幅広い層に訴える“スケールの大きな歌”へと昇華されている。この曲を聴き、来たるべきニューアルバム『VECTOR』が俄然楽しみになったのは言うまでもない。

 ちなみに、1月28日には田邊があの『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)に出演するそうなので、そちらも是非チェックしていただきたい。以前は「泣き虫・田邊」という形容と共にブルエンが紹介されることも多かった。しかし、今ではキリッと前を向き、精悍な顔つきで観客と対峙している。〈毎月記録を更新するほど泣くけど 何も変わらない〉(「だいじょうぶ」)と吐露していた季節を経て、〈灯すよ 時代を 僕らここにいる 君と共に行く〉(「灯せ」)と断言調に言い切るこの歌詞の歯切れの良さはどうだろう。バンドとして、人間として、一回りも二回りも大きくなったブルエンの姿が最新曲には刻まれている。あなたの道を灯し、後押しするバンド=それが今のブルエンと言っていいだろう。

『灯せ』(Special Movie)【ドラマ24第50弾特別企画『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~』エンディングテーマ】

(文=荒金良介/写真=浜野カズシ)

■リリース情報
『VECTOR』(読み:ベクトル)
発売:2018年3月21日(水)
【初回生産限定盤(CD+DVD)】
価格:¥3,500(税抜)
特典DVD内容:後日発表
【通常盤(CD)】
価格:¥2,800(税抜)
〈収録曲〉
M01. 灯せ(ドラマ24第50弾特別企画『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~』エンディングテーマ)
M02. Waaaake!!!!
M03. コンパス
M04. VS(テレビ東京系アニメ「銀魂」オープニングテーマ)
M05. RUN
M06. ...FEEL ?
M07. ハンプティダンプティ
M08. résistance
M09. 虹
M10. グッバイ。
M11. coffee, sugar, instant love
M12. 「77」
M13. さよなら(映画「ラストコップ THE MOVIE」主題歌)
M14. こたえ

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■ライブ情報
『BLUE ENCOUNT TOUR 2018 Choice Your 「→」』
6月9日(土) 北海道:サッポロファクトリーホール 
6月14日(木)名古屋:Zepp Nagoya
6月15日(金)名古屋:Zepp Nagoya
6月21日(木)金沢:EIGHT HALL
6月22日(金)新潟:新潟LOTS 
6月24日(日)仙台:SENDAI GIGS
6月29日(金)福岡:福岡DRUM LOGOS 
6月30日(土)福岡:福岡DRUM LOGOS
7月7日(土)広島:BLUE LIVE広島 
7月8日(日)香川:高松festhalle 
7月13日(金)大阪:なんばHatch
7月14日(土)大阪:なんばHatch 
7月18日(水)東京:Zepp Tokyo
7月19日(木)東京:Zepp Tokyo 

オフィシャルサイト

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