BLUE ENCOUNT、様々な“ベクトル”に乗せた感情 Zepp Tokyo公演を振り返る

BLUE ENCOUNT、様々な“ベクトル”に乗せた感情 Zepp Tokyo公演を振り返る

 BLUE ENCOUNT(以下ブルエン)のツンデレ具合が半端じゃない。それこそ人間なんて闘志が高ぶってるときもあれば、ふと弱気になることだってある。熱く叫びたいときもあれば、誰かにすがって泣きたい気持ちに駆られる日もあるだろう。情緒不安定、と片付けてしまえばそれまでだけど、人の気持ちは刻一刻と移り変わるもの。その感情の揺らめきやグラデーションを隠さず、いや、むしろ最前線に押し出したライブを目の当たりにして、観ているこちらも気持ちいいぐらいに翻弄されてしまった。もちろんいい意味で。

 今年3月に発表された3rdアルバム『VECTOR』に伴う全国ツアー『TOUR 2018 Choice Your『→』』のZepp Tokyo2デイズ初日(7月18日)を観てきた。19時6分、田邊駿一(Vo/Gt)、江口雄也(Gt)、辻村勇太(Ba)、高村佳秀(Dr)のメンバー4人がステージに立つと、最新作収録の「Waaaake!!!!」からバンドのカタマリ感を突きつける豪快な演奏を解き放つ。「LAST HERO」を経て、ここから最新作からの楽曲が3連発続く。疾走感抜群の「RUN」、スケール感のある曲調でディープな大人びた世界観に誘うアリーナロック調の「…FEEL?」、ラウド色の強い「resistance」をシームレスに聴かせる手腕に序盤から驚くばかり。

 それから「Survivor」、「ロストジンクス」で熱気もさらに急上昇。「JUMP」を経て、また最新作から4連発続く流れに会場も大興奮。田邊がハンドマイクでラップを放つ「ハンプティダンプティ」はミクスチャーロックのノリの良さ満載で最高だったし、メンバー4人の個性が前面に出た「coffee,sugar,instant love」のオシャレ感も従来のブルエンのイメージを突き崩す新たな魅力に溢れていた。加えて、スクリーンに歌詞が流れる中で披露した「虹」も求心力抜群で裏声を用いた歌メロにグッと引き込まれた。

 そして、次の「グッバイ。」にスムーズに移行すると思いきや、田邊がコードを間違えたらしく、すぐさま演奏はストップ。これには本人も納得しなかったようで、突如お詫びを兼ねてセットリストになかった「YOU」を田邊1人による弾き語りで披露され、このサプライズにファンも大喜び。その後に再び「グッバイ。」をきっちりとやり切り、最後に「俺自身にグッバイしたい」と言って観客を笑わせた。

 後半は「THANKS」、「NEVER ENDING STORY」、「DAY×DAY」、「VS」と怒濤のアンセムチューンを矢継ぎ早に放ち、お祭り騒ぎの凄まじいカオスを作り上げる。その異様な盛り上がりのさらに向こう側に行くべく、「最高を超えるために行くぞ!」と田邊が言うと、最新作からダメ押しの4連発を見舞う。前へ前へと突き進む力強い推進力に長けた「コンパス」をプレイした後、「あなたに歌ってほしい」と何度も田邊が懇願し、「灯せ」へ。ハミ出した感情の高ぶりをこれでもかと叩き付け、多くの観客を歌わせていた。しかし、まだまだこれでは足りない。もっともっと最高の景色を見たいんだと言わんばかりに「あなたにそばにいてほしい。そばにいてくれたら歌える」と剥き出しの本音を吐露すると、本編最後に「こたえ」を披露。曲中でも「この曲はあなたを浮かべて作った。この景色は確かにある。いつもここで待っているから遊びにこいよ!」と田邊は語りかける。何だろう、このギャップは。容赦なく音をぶちかまし、フロアを熱く牽引するときがあるかと思えば、目の前にいるあなたを強烈に求めまくるブルエンの姿に胸を激しく揺さぶられた。

 アンコールは人懐っこいキャッチーさを振り撒く「77」、そしてラスト曲「もっと光を」で大合唱を巻き起こして終了。様々なベクトルの楽曲に様々な感情を楽曲に乗せ、時にこちらを遠くへ突き放し、時にこちらを抱きしめるように求めてくるブルエンの生々しいライブに魅了されっぱなしであった。

(文=荒金良介/写真=浜野カズシ)

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