水瀬いのりは歩を進め始めるーーさらなるアーティストとしての発展を期待させた日本武道館公演

水瀬いのりは歩を進め始めるーーさらなるアーティストとしての発展を期待させた日本武道館公演

 また、ステージ上で膨らんだ想いが思わずこぼれた点も、このツアーファイナルをかけがえのないものに。特に本編ラスト曲「harmony ribbon」では、後奏での美しいペンライトの輝きとファンの合唱とで胸に熱いものがこみ上げると、この日のなかでいちばん大きく自らも手を振り返す。その声のもとにマイクを向けて声を受け止めつつ、最後に自らもフェイクでそのなかに加わったことで、直前のMCで語った武道館に“温かい輪”を完成させたというのも実に美しい光景だった。その後アンコールで歌われた、自ら歌詞を手がけた「Catch the Rainbow!」で、ファンとともにいることで胸を弾ませ幸せを感じるという歌詞通りの世界観を現実のものにしていたというのも、実に素敵なことだったように思う。

 Wアンコールとして歌われたデビュー曲「夢のつぼみ」の中の〈未来に虹を架けよう〉というフレーズを、アルバムと公演自体をもって見事に回収。さらにその先に向けて、水瀬いのりは歩を進め始める。観る側としてもこの公演を通じて彼女のさらなるアーティストとしての発展への期待は自然と湧き上がってきたし、「TRUST IN ETERNITY」で2階席の高さまでリフトアップしてオレンジの光が灯るアリーナを見下ろしながら堂々と歌う姿からも、今後のシーンを引っ張っていってくれるであろう力強さも感じさせられた。MCで語った「またこの場所でみんなと一緒に歌いたい」という大きな夢も彼女なら叶えてくれるだろうし、その先にはさらに大きな場所で、この日と同じように私たちと想いを通じて繋がり、幸せな輪を形作ってくれるはずだ。

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(写真=加藤アラタ、堀内彩香)

■須永兼次(すなが・けんじ)
アニメソング・声優アーティスト関係を中心に活動するフリーライター。大学の卒論でアニソンの歌詞をテーマにするほど、昔からのアニソン好き。現在は『リスアニ!』『月刊ニュータイプ』や『TV Bros.』等に寄稿。

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