King & Princeが注目すべき存在である理由 圧倒的首位獲得した1stアルバムを聴く

 とはいえそれもまた一面にすぎないことは、セルフタイトルの今作を聴けばわかる。「君を待ってる」や「Memorial」といった2nd、3rdシングルのリード曲は「シンデレラガール」の路線を忠実に守っている。しかし、他の楽曲はファンキーなギターをフィーチャーしたダンスポップやR&B調のバラード、軽快なスウィングなどバラエティに富んでいる。なかでもやや異色なのは平野紫耀と髙橋海人による「Big Bang」で、アグレッシブなトラップのビートにふたりのハードなラップがのった一曲。こうしたサウンドにも対応できることをさらっと主張してみせるあたり、今後の展開に含みをもたせてあるように思う。

 初回限定盤Bではディスク2でJr.時代のレパートリーをコンパイルしているとのことで、デビュー後の歩みしか知らなかったこともあってそちらもチェックしてみた。もっとアクティブでスポーティな楽曲が多く、「シンデレラガール」以降のKing & Princeがいかに明確なコンセプトに貫かれているかがわかる。ラウドなディストーションギターとドラムスが登場する「MIXTURE」にはちょっと驚いた。

 ポップスのアルバムとして高いクオリティを誇ることはもちろん、Jr.時代と比較するとあきらかに、グループのアイデンティティを明確に打ち出したディレクションを感じられる。メンバーのキャラクターのみならず、ひとつの世界をパフォーマンスのなかに現出させることで多くのファンを虜にするKing & Princeは、男性アイドル/パフォーマンスグループがしのぎを削る現在にあってやはり注目すべき存在だ。

■imdkm
ブロガー。1989年生まれ。山形の片隅で音楽について調べたり考えたりするのを趣味とする。
ブログ「ただの風邪。」

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