KIRINJIが次に向かうサウンドの方向性は? 新曲「killer tune kills me」や「雑務」生演奏を見て

KIRINJIが次に向かうサウンドの方向性は? 新曲「killer tune kills me」や「雑務」生演奏を見て

 2018年11月に開催された20周年記念ライブ以降、人前で演奏する機会のなかったKIRINJIだが、6月に毎年恒例のプレミアムライブを行なった。公演は、6月6日と6月7日の2日間がビルボードライブ東京、6月14日に名古屋ブルーノート、最後に6月15日のビルボードライブ大阪と3都市のツアーとなった。ステージと客席が非常に近いプレミアムライブは、他の会場では味わえない臨場感が魅力であり、意外なカバー曲やリリース前の新曲などのサプライズも期待できる人気の公演だ。ライブに先行して、6月5日にはニューシングル『killer tune kills me feat. YonYon』もリリースされ、本年度の活動も期待の高まるKIRINJIである。

KIRINJI

 新曲「killer tune kills me feat. YonYon」は、ソウル生まれ・東京育ちのDJ/シンガーソングライターであるYonYonをゲストに迎え、彼女のコーラスのみならず、韓国語のラップまで取り入れた意欲作だ。メインボーカルを担当するのは弓木英梨乃。弓木はこれまでも「Mr. BOOGIEMAN」や「After the Party」といった楽曲で歌っているが、シングル曲でボーカルを披露するのは初。今回のシングルについて堀込高樹は「KIRINJIに女性ボーカルの曲があることを知らない聴き手へ向けたアピールでもある」と説明している(6月11日放送TBSラジオ『生活は踊る』ゲスト登場時の発言要約)。

 新曲「killer tune kills me feat. YonYon」は失恋の記憶を歌った曲である。この曲における「キラーチューン」とは「かつての恋人との思い出が詰まった曲」の言い換えであり、語り手である女性は〈アドレスもアカウントも変えたの/写真も消した/終わったことだもの〉と、過去の恋を振り切って前に進もうとしている。しかし、女性が終わったはずの関係をどこかで引きずっていることは、この印象的な曲タイトルからも察せられる。

 ”kill” をタイトルに冠した曲、たとえば「ラジオスターの悲劇」(Video Killed the Radio Star)との違いは、動詞が現在形(kills)である点で、語り手の女性はいまもなお「キラーチューン」を耳にするたび心を揺さぶられてしまう。過去が本当に「終わったこと」であれば、タイトルは「killer tune killed me」でなくてはならない(ラジオスターは、もはやスターではないからこそ、killed と過去形で語られる)。いまだ完全には癒えていない傷、という作詞意図を的確に汲み取ったYonYon のヴァース(本人による歌詞の日本語訳は〈ずっと隠し続けてきたその傷跡は/絆創膏を貼って見えてなかっただけで/そのまま残ってしまっているの〉となっている)もあいまって、聴く者の想像力に働きかける豊かなポップミュージックに仕上がっている。

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