『Beloved One』インタビュー
黒崎真音が語る、音楽で育まれた“自分らしさ”と“歌への愛情”「みんなと愛が共有できるようになった」
「私、すごいポジティブなんですよ、結局!」
ーーで、続く新曲は「僕だけが世界から消えても」ですけど……。
黒崎:ここでちょっとまた景色を変えてみました。「Black bird」で沈むところまで沈んだあと、また少しだけ浮上した感じ。曲調はギターロックだし、歌詞も部屋の片隅で静かに膝を抱えて泣いていそうなイメージというか、ちょっとツラそうなんだけど、最終的には〈土に還り花が咲くのなら 今を愛してみたい〉というところに着地させていますし。だから「Renka.」と「Black bird」もそうだし、「Black bird」とこの曲もそうなんですけど、CDの曲間を5.5秒くらい空けてるんですよ。
ーー5.5秒って実はけっこう長いですよ。
黒崎:そうなんですよね。でもそのくらい大胆なことをすることでちょっと世界観が変わったことを伝えたくて。逆に一気にエンジンをかけたかった「アイヲツナイデ -Angel of the wheel-」と「Gravitation」の曲間は0.5秒くらいしか空けなかったり、今回は特に細かい調整をしています。
ーーそう伺うとCDを手に入れて、あえて無音の5.5秒を聴いてみたくなりますね。
黒崎:逆に5.5秒を一瞬に感じる方もいらっしゃるかもしれないし、いろんな感じ方をしてもらいたいですね。
ーーところで、なんで「僕だけが世界から消えても」で、少し気持ちを浮上させようと?
黒崎:次の「幻想の輪舞」に続けたかったからですね。「幻想の輪舞」が「まだやり直せる」「生まれ変われるよ」っていう曲なので、その前の物語になるような曲があったらいいなと思って。
ーーそこで面白いのが「幻想の輪舞」の作詞は桑島由一さんなんですよね。言ってしまえば他人の言葉に寄り添おうとしている。
黒崎:そうですね。
ーーところがその他人の言葉に寄り添った「僕だけが世界から消えても」の黒崎さんの歌詞(共作)にはウソがないというか、ちゃんと黒崎さんの言葉になっています。
黒崎:桑島さんの歌詞が本当に大好きなので、「幻想の輪舞」に輝いてほしいっていう気持ちで書いたのが「僕だけが世界から消えても」の歌詞で。その輝いてほしいっていう気持ちはもちろんウソじゃないから、ちゃんと私の言葉になっているのかもしれないですね。
ーーそして最後の新曲はアルバム表題曲「Beloved One!」です。
黒崎:私、すごいポジティブなんですよ、結局!
ーー歌詞の主人公は確かにそういうタイプですけど、さっき「ほかの声優さんやシンガーさんみたいに明るくないからなあ」ってボヤいてませんでしたっけ?
黒崎:だから「なに言ってんの?」って感じかもしれないんですけど、ホントにポジティブなんです(笑)。確かにネガティブなときはトコトン落ちる。自分の存在がイヤでしょうがないから「夜寝るとき、明日なんか来なきゃいいのになあ」って思うくらいネガティブになるんですけど、いざ次の日になるとちゃんと時間どおりに起きるし、お化粧もするんですよね。しかも「あっ、今日のリップの発色がいい」とか思っちゃったりもして。ネガティブになったときの落ち方はスゴいかもしれないんですけど、結局それは瞬間的なもの。好きなものに触れていればポジティブになれるんだな、って気付いたんです。
ーー言い換えるなら、今の黒崎さんは好きなものや愛すべきものに囲まれて生きている?
黒崎:そうなんだと思います。だからアルバムの表題曲であり、最後の曲は聴いているみんなとちゃんと笑顔になれる、そしてみんなに対して愛を届けられる光のような曲にしたいと思ったので、井内(舞子)さんにそういう曲に仕上げていただきました。
ーー黒崎さんのディスコグラフィを見てみると、その「みんな」に向けた曲って……。
黒崎:けっこう珍しいかもしれないです。でも振り返ってみると、いつもみんなに支えられてたんですよね。初めて『アニサマ』(Animelo Summer Live)に出たときって、気持ち的にはどん底状態だったんですけど、ステージに上がったらペンライトの光はすごくキレイだったし、みんなのワクワクした目も、共演者さんの歌っている姿も全部が美しくて。それにすごく勇気をもらったし「そのキレイなところに私も向かっていきたいな」「キレイなところにいられる人でありたいな」と思い続けてここまで来たので、みんなの愛がこうやってアルバムという形で芽吹いたんだよ、っていうことを歌いたかったんです。デビュー9年目にして、そんなことに気付けました。
ーーまさに歌詞の最後の一文のとおり〈やっと〉なんですね。
黒崎:歌うことがツラかったことがなかったか、って言われたらもちろんそんなわけはないんですけど、実はデビューしたときから私は私が求めていたみんなの愛の中に包まれていたんだな、っていうことがわかって。ワガママな自分からやっと抜け出して、〈やっと〉みんなと愛が共有できるようになったことを歌ったのが「Beloved One!」という曲なんです。
ーーあと初回限定盤の特典CDなんですけど、面白い企画ですね。
黒崎:私が歌ったものはもちろんなんですけど、(川田)まみさんや、IKUさんが歌ったものも含めて『とある魔術の禁書目録』のテーマソングを全曲カバーして、それをDJ WILDPARTY(ワイパ)さんにDJ MIXしてもらいました。
ーーワイパさんは腕っこきのDJだから、まず間違いなく面白い1枚になっているとは思うんですけど、これだけの曲を短期間でカバーするのって大変じゃないですか?
黒崎:まみさんの曲やIKUさんの曲は1コーラスだけカバーさせてもらって、その音源をワイパさんに繋いでもらっているんですけど、1日5~6曲は録らなきゃいけなかったから、大変は大変でした。しかもまみさんやIKUさんの曲ってすごくテクニカルなんですよ!
ーー存じ上げております(笑)。
黒崎:カラオケで歌うのは楽しいんだけど、いかに「See visionS」や「FIXED STAR」を黒崎真音として歌うかっていうことを常に心がけていました。
ーーカラオケならむしろ川田さんのモノマネをしたほうが盛り上がるけど……。
黒崎:そうなんですよねえ(笑)。でもちゃんと黒崎真音らしくもあるし、DJ WILDPARTYさんらくしもあるし、それでいてちゃんと『とある~』の歴史も感じられる聴き応えのあるものにはななった気がしています。
ーー最後に、ちょうど2019年の折り返しの時期に差し掛かってますけど、2019年の後半戦はなにをしましょう?
黒崎:具体的に決まっているのは11月のライブですね。まさにこの『Beloved One』を引っ提げて東名阪を回ります。
ーーセットリストはやっぱり新曲中心に?
黒崎:でも、ここ最近ライブをあまりやっていないこともあって、『幻想の輪舞』や『ROAR』のカップリング曲をまったくお披露目できていないので、それはぜひ歌いたいですし、これまでにも「Beginning☆Journey」や「peko peko peach♡」みたいなパーティソングは作っているので、この2曲と一緒に披露したら盛り上がるとも思いますし……。なんかやりたいことがいっぱいあるから、この際2部構成でもいいのかな? とも思ってます。片一方では好きな曲を歌って、もう片一方では『Beloved One』の再現ライブをやるって感じで。
ーー確かにコンセプトアルバムではないんだけど、CDの曲間の秒数まで細かくエディットされた物語性の高いアルバムだから、このトラックリストのまま、生で聴いてみたくもあります。
黒崎:なんか最近ワーカホリック気味なのか、いろんなアイデアが湧いて出てきて止まらない状態な上に、ツアーは1年ぶりくらいになるので、いずれにせよ黒崎真音らしい面白いステージにはなるのかな、と思っています。
(取材・文=成松哲)
■ライブ情報
『黒崎真音ツアー2019 Beloved One』
11月3日(日)東京:マイナビBLITZ赤阪 17:00開場/18:00開演
11月9日(土)大阪:RUIDO 17:00開場/17:30開演
11月10日(日)名古屋:池下CLUB UPSET 16:30開場/17:00開演
チケット料金:¥6,300(税込・1D別)
東京公演 問い合わせ DISK GARAGE 050-5533-0888(平日12:00-19:00)
大阪・名古屋公演 問い合わせ HANDS ON ENTERTAINMENT
03-6812-9539(平日 11:00-18:00)
■リリース情報
黒崎真音『Beloved One』
初回限定盤(2CD)¥4,500+税
通常盤(CD)¥3,000+税
<収録曲>
M01.アイヲツナイデ-Angel of the wheel-
作曲:generatiONmaster
M02.Gravitation(TVアニメ「とある魔術の禁書目録Ⅲ」オープニングテーマ)
作詞:川田まみ 作曲:中沢伴行 編曲:中沢伴行、尾崎武士
M03.Brand new,Standing wings(CR東京レイヴンズ 搭載曲)
作詞:黒崎真音 作曲:高瀬一矢 編曲:高瀬一矢
M04.Beginning☆Journey
作詞:黒崎真音 作曲:佐高陵平 編曲:佐高陵平
M05.peko peko peach♡
作詞:黒崎真音 作曲:齋藤真也 編曲:齋藤真也
M06.décadence-デカダンス-(TVアニメ「されど罪人は竜と踊る」エンディングテーマ)
作詞:黒崎真音、akane 作曲:藤井亮太・奈須野新平 編曲:藤井亮太・奈須野新平
M07.A.I.D
作詞:黒崎真音 作曲:頓宮秀人(KEYTONE) 編曲:頓宮秀人(KEYTONE)
M08.Renka.
作詞 :黒崎真音 作曲:板倉孝徳 編曲:宮崎京一(KEYTONE)
M09.Black bird
作詞:黒崎真音 作曲:宮崎京一(KEYTONE) 編曲:宮崎京一(KEYTONE)
M10.僕だけが世界から消えても
作詞:黒崎真音・Yo-Hey(KEYTONE)作曲: Yo-Hey(KEYTONE)
編曲 : 飯田涼太(KEYTONE)、generatiONmaster
M11.幻想の輪舞(「グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION」オープニングテーマ)
作詞:桑島由一 作曲:藤間仁(Elements Garden) 編曲:藤間仁(Elements Garden)
M12.New world order(CR 東京レイヴンズ 搭載曲)
作詞 : 黒崎真音 作曲 : 中沢伴行 編曲 : 中沢伴行
M13.ROAR(TVアニメ「とある魔術の禁書目録Ⅲ」新オープニングテーマ)
作詞:黒崎真音 作曲:中沢伴行 編曲:中沢伴行、尾崎武士
M14.Beloved One!
作詞 :黒崎真音 作曲 :井内舞子 編曲 :井内舞子
<初回限定盤特典>
ノンストップクラブミックスCD
『とある魔術の禁書目録』シリーズの主題歌を黒崎真音歌唱によりノンストップクラブミックス化
<特典CD収録曲>
とある魔術の精霊讃歌(アルトルムフィア)〜DJmix〜
(『とある魔術の禁書目録』シリーズの主題歌を黒崎真音歌唱によりノンストップクラブミックス化!)
PHOTO BOOK(24P)
とある魔術の精霊讃歌(アルトルムフィア)〜DJmix〜収録曲
PSI-missing (川田まみ 『とある魔術の禁書目録』OP)
雨 (川田まみ 『とある魔術の禁書目録』挿入歌)
Rimless~フチナシノセカイ~ (IKU 『とある魔術の禁書目録』ED)
masterpiece (川田まみ 『とある魔術の禁書目録』OP)
誓い言~スコシだけもう一度~ (IKU 『とある魔術の禁書目録』ED)
Jellyfish (川田まみ 『とある魔術の禁書目録』挿入歌)
No buts! (川田まみ 『とある魔術の禁書目録Ⅱ』OP)
Magic∞world (黒崎真音 『とある魔術の禁書目録Ⅱ』ED)
See visionS (川田まみ 『とある魔術の禁書目録Ⅱ』OP)
メモリーズ・ラスト (黒崎真音 『とある魔術の禁書目録Ⅱ』ED)
Gravitation (黒崎真音 『とある魔術の禁書目録Ⅲ』OP)
ROAR (黒崎真音 『とある魔術の禁書目録Ⅲ』OP)
FIXED STAR (川田まみ 劇場版『とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇蹟-』ED)
ANSWER (黒崎真音 PSP(R)専用 3D対戦格闘アクション『とある魔術の禁書目録』OP)
Snap out of it!! (川田まみ&黒崎真音 『とある魔術の禁書目録』イメージソング)
Mixed by DJ WILDPARTY
(収録曲はすべて黒崎真音歌唱です。ただし、「Snap out of it!!」に関しては川田まみとのデュエットとなります。特典CDの収録順ではありません)
■リリースイベント情報(終了公演は割愛)
6月29日(土)アニメイト札幌
【1回目】12:30開場/13:00開演
【2回目】15:30開場/16:00開演
<内容>
【1回目】私物サイン会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
【2回目】握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月30日(日)とらのあな名古屋
13:30開場/14:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
6月30日(日)タワーレコード名古屋近鉄パッセ店
16:30開場/17:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
※詳細は公式サイトまで
終了分は割愛