音楽アート集団 CHRONICLEが描く壮大な世界 物語/映像/音楽が影響し合う制作手法から解説

音楽アート集団CHRONICLEが描く壮大な世界

 また、「宇宙」予告編アニメでもうひとつ印象的なのは、中盤に登場する渋谷のスクランブル交差点の風景だろう。説明するまでもなく、日本屈指の交通量を誇るスクランブル交差点は、“様々な人が交錯する場所=いくつもの人生が交錯する場所”の象徴でもある。予告編を見ただけのため断定こそできないものの、その風景は、『CHRONICLE』の物語から想像できる「人と人の人生が交差する=出会う」ことの素晴らしさを、最も視覚的に象徴しているようにも感じられる。同時に、「CHRONICLE」という言葉は“物語”を意味する様々な単語の中でも「時間の経過を書き記す」というニュアンスが強く含まれるものが多いため、2人の過去や現在、そして未来がどんな風に繋がっていくのか――。と、他にも様々な想像を広げることができる。

 まだこの物語がどんな過程を経て、どんな結末に辿りつくのかはまったく分からない。とはいえ、心にどこか喪失感を抱えた2人の男女がそれでも未来へと進んでいく姿が描かれていくと思しき『CHRONICLE』の物語は、他人の人生が見えすぎてしまうからこそ悩みを抱える人も多い現代において、とても普遍的なテーマを描いたものと言えそうだ。映像や楽曲の中には、今後の物語に関する様々なヒントや伏線も隠されているとのこと。その本格的なスタート地点として、まずは「宇宙」予告編アニメ映像とデビュー曲「宇宙」をともに楽しんでいただきたい。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

CHRONICLE「宇宙」

■配信情報
デビュー曲「宇宙」配信URL

CHRONICLE「宇宙」

<CHORONICLEデジタルスタンプラリー>
CHRONICLE「宇宙」予告編アニメ映像で登場する渋谷のロケーションを巡る、デジタルスタンプラリーを開催中。実際に渋谷の街を歩いてスタンプを集めたり、配信デビューシングル「宇宙」をiTunesで購入することで特典を受け取ることができる。
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