乃木坂46×ラジオはなぜ人気? 齋藤飛鳥、新内眞衣、梅澤美波ら個性が見える番組の特徴

『乃木坂46の「の」』(文化放送)

 『乃木坂46の「の」』(以降『乃木のの』)は、2013年4月よりスタートしたグループ初の冠ラジオ番組。週代わりで2、3名のメンバーが出演する、今年6年目、放送300回を迎えた長寿番組だ。『乃木のの』には、番組オリジナルの企画があるが中でも一番の人気を誇るのが、勝手に選抜シリーズ。汗かき選抜、ぷく顏選抜、好きな声選抜、お姫様選抜、妹選抜、いじられキャラ選抜に続く第7弾「寝顔選抜」が先日の放送で発表され、見事センターには与田祐希が輝いた。

 また代々MCが継承されているのも『乃木のの』の特徴。樋口日奈から受け継がれ現在MCを務めているのが梅澤美波だ。3期生としては歴代初のMC。梅澤は3期生のまとめ役として同期だけでなく先輩からも定評のあるメンバーであり、番組でも自然なトーク回しを見せている。特に印象的だったのは、井上小百合と高山一実が出演した第322回。『乃木坂46版 ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」』の出演者同士ということもあり、まるで楽屋トークのような仲睦まじい関係性と先輩2人が梅澤に信頼を寄せているのが伝わって放送であった。

 ほかにも、今年4月にはグループ切ってのアニメ好きである佐々木琴子が、アニメについて熱く語る『乃木坂46佐々木琴子のトップギア』が『A&Gリクエストアワー 阿澄佳奈のキミまち!』(文化放送)内でスタートしており、昨年7月からは高山一実が『ザ・ヒットスタジオ(水)』(MBSラジオ)のレギュラーに。『らじらー!SUNDAY』(NHKラジオ第1)では、星野みなみと大園ももこが隔週でレギュラーを務め、松村沙友理は2016年より『イマドキッ』(MBSラジオ)に出演。オテンキ・のりの“小ボケ”の連続にツッコミを入れる堀未央奈の『レコメン!』(文化放送)、同じくパーソナリティのHappyだんばらにキツイコメントを返すのが恒例な斉藤優里出演の『Nutty Radio Show THE魂』(FM NACK5)。『金つぶ』(bayfm)山崎怜奈、『沈黙の金曜日』(エフエム富士)中田花奈の2名は、自身もラジオのヘビーリスナーという、よりファンと密接な距離にいる。

 ラジオの最大の魅力は、メンバーの素の表情が見える点だ。ラジオで“見える”という表現は少し変に思えるかもしれないが、スタジオにいる彼女たちを想像し姿を思い浮かべるというメディアだからこそ、見せられる等身大のやり取りがある。また、即時性の高いトークや新曲の解禁が出来るのもラジオの優れたポイント。先日、結婚を報告した山里亮太は、当日の『不毛な議論』でリスナーには肉声で説明したかったと明かしていたが、それに通ずる思いを感じさせるのが『THE魂』でグループからの卒業を発表した斉藤優里。前身番組から数えると6年もの間、パーソナリティを務めている番組だ。姿は見えなくとも、心の距離が一番近いラジオは、これからも乃木坂46にとって特別な場所で在り続ける。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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