しゅーず×みきとPが歌い手/ボカロ曲の可能性を広げる? 「Highway Lover」から分析

 また、「セカンド・キス」にも共通することではあるが、巡音ルカが歌唱するボカロ版は女性視点に、しゅーずの歌唱版は男性視点の楽曲にそれぞれ聴こえてくるのも興味深い。しゅーずの「Highway Lover」MVでは本人のシルエットが可視化されていることはもとより、しゅーずが女性を意識した歌い方に変えることなく、深みのあるセクシーな地声を活かしながら歌っていることが大きく影響しているのかもしれない。それは、ラップ調に進むAメロで顕著に表れている。“イケボ”とも評される声質を活かしたボーカルワークと艶麗な女性のイラストが相まって、しゅーずの個性が表現されているのだ。みきとPが、センスの高さを見せつけるアーバンなポップスをしゅーずに書き下ろしたのは、必然のことなのだろう。

Highway Lover@しゅーず/Shoose

 しゅーずは、2ndアルバム『Shoose Case』の初回限定盤に、靴下屋の店主に扮したオリジナルシチュエーションドラマCDを同梱するなど、声優の如く声の魅力を活かした活動も行っている。しゅーずのように、個性を確立した歌い手の数だけ、ボカロPによる楽曲の表現幅も広がっていくに違いない。

■小町 碧音
1991年生まれ。歌い手、邦楽ロックを得意とする音楽メインのフリーライター。高校生の頃から気になったアーティストのライブにはよく足を運んでます。『Real Sound』『BASS ON TOP』『UtaTen』などに寄稿。
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