ACTORS、緒方恵美、神田沙也加……声優としても活躍するアーティストと“歌ってみた”の相性

 近年では、歌い手のほか、声優、YouTuber、Vtuberなど、様々なシーンで活躍するアーティストがボカロ曲を歌う機会が随分と増えた。例えば、声優・小岩井ことりが、歌声合成ソフト『VOCALOID5(ボーカロイド5)』向けの新ボイスバンクとして、ボーカロイド『鳴花ヒメ・ミコト』に起用されたように、声質、演技力が問われる声優として活躍するアーティストは、ボカロ曲をカバーするだけでなく、ボーカロイドそのものに関わっている場合もあり、ボカロと密接な関係性にあると言える。今回は、ボカロ曲をカバーし、声優としても活躍するアーティストの中で、注目したい3組を取り上げたい。

ACTORS

『ACTORS 5th Anniversary Edition』(通常盤)

 蒼井翔太、置鮎龍太郎、小野友樹など男性声優が人気ボカロ曲を歌うシリーズ・ACTORSは、今年の秋から、テレビアニメ『ACTORS -Songs Connection-』の放送が決定しており、さらなる注目を集めそうだ。YouTubeに投稿されるすべてのMVは、声優・浅沼晋太郎が飯盛 駆役としてカバーする「About me」のように、その曲を歌う声優が演じる登場人物が描かれた完全オリジナル映像。それぞれが、もともとの声質を活かして、ボカロ曲の魅力を引き出すほか、登場人物の魅力を歌をもって伝える。

【ACTORS】About me / 飯盛 駆(CV:浅沼晋太郎)【PV】

 CDとしては、アルバムシリーズ、Extra Edition シリーズ、アナザーシリーズ、ミュージックシチュエーションCDシリーズといった多彩なシリーズを展開しているが、中でも本領の見せ所となるのは、ミュージックシチュエーションCDではないだろうか。このシリーズは、ボカロ楽曲をもとにシナリオを作成したオリジナルストーリーをそれぞれのキャラクターが演じるものであり、プロローグから本編、エピローグまでを順に収録している。歌とは異なる形でボカロ楽曲の世界観を一層深みのあるものに仕上げるのは、声優だからこそ生み出せるカテゴリーだろう。

緒方恵美

 『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジや、初代『遊☆戯☆王』の武藤遊戯などの中性的な声で知られ、歌手としても活躍する・緒方恵美。2016年10月27日、ニコニコ動画で、人気のボカロ曲「脱法ロック」の“歌ってみた”動画を公開すると、再生回数は初日に28万回を超え、ニコニコ動画カテゴリ別・総合共に堂々の1位を飾った。作曲者・Neruも動画に関して、「緒方恵美さん歌ってみた初投稿が脱法ロックって面白過ぎる」とツイートし、ボカロシーンでも話題になったほど。

 さらに11月11日には、ニコニコ動画にNeruとイラストレーター・りゅうせーが緒方のために書き下ろしたという「オオカミ少年隊のテーマ」を公開。作曲者にとっても様々な舞台で活躍するアーティストが自分の曲を歌ってくれるのは喜ばしいはずだ。多くの役柄を演じてきたこともあり、これまでに演じてきたキャラクターの声と彼女の歌声を重ねて、聴き入るリスナーも多い。彼女の声には、「脱法ロック」のような疾走感のある楽曲が合っている。職業柄、自分の声が生かせる楽曲を選ぶことを得意だと考えれば、声質と楽曲による相乗効果が期待できる。緒方はボカロ曲の魅力を最大限に伝えることができるアーティストなのかもしれない。

【緒方恵美】オオカミ少年隊のテーマ【Neru】【りゅうせー】【real/dummy】

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