AA=は11年目に向かって走り続けていく 新たな兆しも見えた『TOUR THE NEXT』東京公演

AA=『TOUR THE NEXT』東京公演レポ

 また全体でいえば、白川が助演、サビで上田が主演という基本のスタイルにどんどん幅が出てきているのが興味深い。久々に披露された「DISTRAP」はツインボーカルの掛け合いが続くヒップホップ調のナンバーだし、後半の新曲「DEEP INSIDE」はコラボしたHIROSUKE(BALZAC)のメロディがサンプリングに組み込まれ、そのメロに絡むように白川と上田が〈WOW〜〉とポップなコーラスを重ねていくスタイルだ。曲が盛り上がるにつれ、どれが主旋律とも言い切れない歌声が二重、三重にレイヤーを深めていく。もちろんコラボナンバーなので「これがAA=の未来の布石だ」と断じるのは乱暴だが、11年目のヒントがあるのなら、それはメロディということになるのかもしれない。本編のラストを飾った配信シングル曲「SAW」にしても、歌メロだけでなく、打ち込みのトラック自体が素晴らしくメロディアスな名曲なのだから。

 アンコールには題名もないまっさらな新曲(もっともこれは、メロディアスというより、サイレンのような音と強烈なアジテートが印象的な曲だったが)、そして1stアルバム『#1』収録の「LOSER」と「PEACE!!!」を連打してライブは終了。11年前とは当然体力も違っているだろうが、それでも、箸休め、なんて言葉がどこにも入る余地のない圧巻のテンション。上田剛士の、AA=の音は、ここからまた次に向かって走り続けていく。

(文=石井恵梨子/写真=浜野カズシ)

#6 NEXT INFO 6:6:6:00PM

オフィシャルサイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる