HAN-KUNが語る、初のカバーアルバムで目指した“J-POPとレゲエの架け橋”

HAN-KUNが繋ぐJ-POPとレゲエ

レゲエが広がれば切磋琢磨している仲間たちにも光が当たる

ーーHAN-KUNさんのソロ活動は今年で10周年。ソロアーティストとして作品を発表し、ライブをやることの意義も変化していますか?

HAN-KUN:漠然とした夢だったものが少しずつ具現化している感覚はあります。日本のリスナーにも、もっと聴いてほしいし、見てもらいたいんですけど、個人的にはレゲエが生まれた国だったり、ヨーロッパでもパフォーマンスしたいという気持ちがあって。日本人のミュージシャンとして、海外で活動するための可能性を高めたいというか。そのためにはどうしたらいいか、どんな音楽をやるべきなのかを考えなくちゃいけないし、それは自分自身と向き合うことでもあるんですけど、そういう部分に対する意識は明確に強くなっています。若いときは漠然と「一番になりたい」みたいなところでがんばってたんだけど(笑)、その先にある感情が芽生えてきたというか。歳を重ねて、いろいろなものを見て、感じるなかで、夢に対するディテールがはっきりしてきたんでしょうね。そのために何をやるべきかも見えてきたし、仲間も協力してくれて。可能性は確実に高まってるし、口だけで終わらないようにしたいです。

ーーこれまでにジャマイカでパフォーマンスしたことはあるんですか?

HAN-KUN:滅多にないですけど、何度かは。向こうでめちゃくちゃ有名なサウンドプレイヤーの方がいて、彼が日本にツアーで来たときに知り合いになって。彼は毎週イベントを開催しているんですけど、ジャマイカに行ったときに「来たよ」って挨拶にいったら、いきなり音を止めて、「日本から友達が来た! HAN-KUN、何かやってよ」と言われて。「え、無理無理」って感じだったんだけど、アカペラで自分の曲を歌って、ジャマイカへのリスペクトも言わせてもらって。

ーーシビれますね、そのシチュエーション。

HAN-KUN:「誰だ、お前?」っていう感じですからね(笑)。スベったらマジでシカトされるし、現地のミュージシャンでも、つまんないと思ったら平気でブーイングする人たちなので。俺がアカペラで歌った後、サウンドプレイヤーの方が同じ曲をかけてくれたんですよ。それは本当に嬉しかったです。

ーーやはり現地の空気に触れることは大事ですね。

HAN-KUN:そうですね。ジャマイカという土地や文化が生んだ音楽だし、本などで知識を得ることも大事だけど、百聞は一見に如かずというか、現地でレゲエを感じるのが一番なので。

ーー今回のカバーアルバムもそうですが、日本でレゲエの存在感を高めたいという思いも一貫してますよね。

HAN-KUN:うん、もちろん。自分自身を知ってほしいというのもあるけどーージャマイカのアーティストが海外で自分以外の曲をやるようにーーレゲエという音楽が広がれば広がるほど、切磋琢磨し続けている仲間たちに光が当たると思うので。俺よりも才能があって、可能性を持っているヤツらがいっぱいいるんですよ、日本にも。

ーー80年代から90年代の初めまでは、日本にもレゲエフェスがたくさんあって。それが廃れてしまったのはどうしてだと思いますか?

HAN-KUN:いろんな理由があると思いますが、流行りになってしまったことがデカいのかもしれないですね。当時の日本のレゲエフェスにはジャマイカから錚々たるメンツが集まっていたし、規模も大きくて。ただ、“夏だ、レゲエだ”というファッション感覚があったのも事実だと思うんです。それはそれでいいことだけど、その後、一定の層に根付かなかったのかなと。

ーーレゲエの豊かさを伝えられなかったメディアの責任もありますね。

HAN-KUN:どうしても表面的な部分が広がりますからね。でも、その後もすごいレゲエアーティストはどんどん登場しているし、理解も深まっていると思います。ヒップホップも『フリースタイルダンジョン』の影響で広がっているけど、次はそれをどう根付かせるか? ですよね。もちろん、たくさんの人がそのために動いていると思いますが。

ーー下の世代のミュージャンとも、そういう話をしているんですか?

HAN-KUN:しますけど、彼らは彼らのシーンがあるし、俺の世代の考え方を押し付けるようなことはしたくなくて。ただ、彼らが5年後に経験すること、感じることを俺らはすでに知っているかもしれないし、それを伝えることはできますよね。そのことによってスピードが上がるし、俺らが知らない、もっと先の世界を見ることができると思うので。俺も先輩にそうやってもらいましたから。

ーーソロ活動10周年を記念したライブ(HAN-KUN 10th Anniversary special live『MUSICAL AMBASSADOR』/2019年5月31日TOKYO DOME CITY HALL)もひとつのきっかけになりそうですね。このライブは『Musical Ambassador』の曲が中心なんですか?

HAN-KUN:そうですね、カバーアルバムのリリースパーティなので。むしろカバーだけでもいいかも(笑)。それくらい違うことをやるのは初めてだし、10年間、サポートしてくれているお客さんにも新鮮さだったり、違いを感じてもらえたらなと。いままで俺に興味がなかった人にもぜひ来てもらいたいですね。あとは、ライブをきっかけにして、レゲエを知ってくれたり、自分のオリジナル曲も掘ってもらえたらなと。そうじゃなくても、ただ音楽として楽しんでもらえるだけで嬉しいんですけどね。

(取材・文=森朋之/写真=西村満)

HAN-KUN『Musical Ambassador』(通常盤)

■リリース情報
『Musical Ambassador』
5月29日(水)発売
通常盤¥2,500+税
初回盤¥4,200+税

<収録曲>

1.Intro 〜No Tree Without Roots〜 (by Big Youth)
2.湘南 My Love【オリジナル:TUBE(1991)】
3.もっと強く抱きしめたなら【オリジナル:WANDS(1993)】
4.このまま君だけを奪い去りたい【オリジナル:DEEN(1994)】
5.木蘭の涙【オリジナル:STARDUST REVUE(1993)】
6.海の声【オリジナル:浦島太郎(桐谷健太)(2016)】
7.ひまわりの約束【オリジナル:秦 基博(2015)】
8.空も飛べるはず【オリジナル:スピッツ(1994)】
9.Tommorow never knows【オリジナル:Mr.Children(1997)】
10.上を向いて歩こう【オリジナル:坂本九(1962)】
11.離したくはない【オリジナル:T-BOLAN(1991)】
12.あなたに【オリジナル:MONGOL800(2001)】

<初回盤DVD収録内容>
10周年記念ワンマンライブ『HAN-KUN 10th Anniversary Show Case “SUPA DUPA FLY”』2018.11.9@渋谷WOMB

DEEP IMPACT
TEPPEN!!
ROAD TO ZION
FIRE AGAIN
KEEP IT BLAZING
SAIKOH
MAGIC MOMENT
JOURNEY
DREAMER
FOREVER...
NOT AN EASY ROAD
T.R.Y.
TOUCH THE SKY
Roots&Future
REGGAE MAN
PULL UP
I&I
Never Mind!!
Don't Give Up Yourself!!
POSSIBLE
ずっと feat. TEE (SPICY CHOCOLATE)
One Song
♯IROIRO
New Era
SUPA DUPA FLY feat. 湘南乃風, MOOMIN, KENTY GROSS, BES, APOLLO, NATURAL WEAPON, 導楽

■ライブ情報
HAN-KUN 10th Anniversary special live『MUSICAL AMBASSADOR』
5月31日(金)開場18:30/開演19:30
TOKYO DOME CITY HALL
指定席¥6,000(ドリンク代別¥500)

<ライブ終演後握手会>
5月31日(金)ライブ終演後
【場所】TOKYO DOME CITY HALL
【握手会参加方法】公演チケットがあり、HAN-KUNのニューアルバム『Musical Ambassador』当日会場内CD販売所で購入すると「握手会参加券」を1枚配布。
詳細はこちら

『Hyper Night Program GOW!!×HAN-KUN 10th Anniversary
LIVE GOW!! in JR HAKATA CITY』
6月20日(木)19:15~20:00
会場:JR HAKATA CITY STUDIO前テラス
イベントの模様はHyper Night Program GOW!!で生放送
詳細はこちら

HAN-KUNオフィシャルHP
「Musical Ambassador」特設サイト
ユニバーサル ミュージックHAN-KUNオフィシャルHP

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