変化を乗り越えたBABYMETAL、二人の証言から伝わるユニットとしての“強さ”

SU-METALに寄り添ったMOAMETAL

 自分たちの存在を「ライブの中に生きている」と語ったのは、MOAMETALだ。昨年の活動を振り返るとやはり、新たなイメージを見せる上で「どう表現するのか、お客さんにちゃんと伝わるのか」と不安も抱えていたというが、フォーメーションの変化によるプレッシャーもあったと打ち明ける。

 従来は中央にSU-METALが位置し、両脇のやや下がった場所をYUIMETALとMOAMETALが固めるというトライアングルのフォーメーションが基本だった。しかし、昨年以降のステージでは「後ろを振り返ってもSU-METALが見えないし、自分が前へ前へ出ていかないと後ろにいるSU-METALに伝わらない」といった場面もあり、本番でのアイコンタクトが満足に行かず、とまどう機会もあったと話す。

 ただ、その経験は「これまで以上にSU-METALに寄り添えるいい機会だった」とも明かす。従来のフォーメーションではSU-METALを背後から見守ることが多かった彼女であるが、ステージ前方で観客の前に立つ機会が増えたことで「SU-METALはこういう気持ちでステージに立っていたんだ」と確認するきっかけにも繋がったという。

ライブに魂を込める彼女たちの強さ

 さて、モッシュッシュメイトと称される、BABYMETALを愛するファンたちに大きな動揺が走った昨年。しかし、僕らの抱いていた感情はすべて、表面的な変化にしか焦点を当ててられなかったがゆえの“取り越し苦労”だったのかもしれない。

 インタビューを読んで素直に伝わってきたのは、時には葛藤を抱えながらも変化を前向きに味わい、ライブのパフォーマンスになおも魂を込めようとする彼女たちの“強さ”だった。さて、今年は彼女たちの大きな節目となる4月1日の「FOXDAY」に、年内のアルバム発売や6月の横浜アリーナ、7月のポートメッセなごやでの公演が告知され衝撃が走った。それだけではなく、8月には台北のフェスへ参加し、2年ぶりに『SUMMER SONIC』へ凱旋。さらに、10月には多くのファンが心待ちにしていたアメリカでのアリーナ公演も告知され、今から楽しみでならない。

 思えばかつて“アイドルかメタルか”と議論されていたBABYMETALであるが、それすらも払拭するかのごとく、常に強い説得力を持つパフォーマンスで多くの人びとを魅了してきた。ユニットの根幹を揺るがすかのような変化を乗り越えて、どのような進化を遂げるのか。そして、“新生BABYMETAL”としてどのような衝撃を与えてくれるのか。想像は尽きないがやはり、その活躍は体感するほかにない。

■カネコシュウヘイ
編集者/ライター/デザイナー。アイドルをはじめ、エンタメ分野での取材や原稿執筆を中心に活動。ライブなどの現場が好きで、月に約数万円はアイドルへ主に費やしている。単著に『BABYMETAL 追っかけ日記』。執筆媒体はWeb『ダ・ヴィンチニュース』『クランクイン!』『ウレぴあ総研』、雑誌『日経エンタテインメント!』など。

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