>  > KOKIA、20年で築いた歌へのプライド

ライブベストアルバム『ALIVE -the live history-』インタビュー

KOKIAが語る、初ライブベストアルバムと20年で築いた歌のプライド「みんなの人生とお供したい」

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 1998年、シングル『愛しているから』でデビューしたKOKIAが20周年を迎えた。記念すべきこの1年は、オリジナルアルバムやオールタイムベスト、映像総決算のDVDなど様々なアイテムをリリース。日本はもちろん、久しぶりのパリ公演を含む海外でも大成功を収めるなど、コンサート活動も精力的に行われている。本人も「20周年マラソン」と呼ぶほどの時間をかけて走り抜いてきたアニバーサリーイヤー。そのラストを飾る『ALIVE -the live history-』は、意外にもKOKIA初となるライブベストアルバムだ。膨大なライブ音源を聴き返したという今作の制作を通して、彼女はどんなことを感じていたのか。またシンガー/ソングライターとしてだけでなく、個人事務所を立ち上げ、制作に関わる全てを自身で手がけている現在の超人的な仕事ぶりについても聞いてみた。(山田邦子)

歌は自分のライフワーク 

ーーKOKIAさん、20周年おめでとうございます。15周年のお祝いをしたばかりのような気がしているのですが(笑)、月日が経つのは早いですね。

KOKIA:本当に(笑)。自分でもびっくりしました。

ーーこの1年は”20周年マラソン”と称して、リリースやライブなどを含むいろんな動きがありましたね。

KIKOA:はい。周年はただの通過点だとおっしゃる方もいますけど、私は、こういうメモリアルなことってやっていきたい派なんです。周年に限らず、心に残すための点をちゃんとお膳立てしてあげることで、そういった記念ごとに自分もお客様も参加しやすくなる気がするんですよ。KOKIAの音楽って多分、常にフルスピードで「応援するぜ! イェイ!」っていう感じではなく、無性に聴きたくなる時や、必要とする心境の時にグッと入っていくようなものだと思うんですね。だから人によってはしばらく聴いていないなとか、コンサートにもそんなにいっていないなとか、そういう時期があってもいいと思っているんです。でもこうやって「あれ? KOKIA、20周年なんだ」「なんか色々やってるな」って、周年イヤーの活動を何かしらで聞きつけたりできたりすると、久しぶりに聴いてみようとか、コンサートに行ってみようって思うきっかけにもなるじゃないですか。

ーー確かにそうですね。

KOKIA:その人の人生のペースと私の活動が、時間の流れの中でまた交差し始めるみたいなのってめちゃくちゃ面白いなと思うんです。あまり気負わずにお客さんが応援できたり、帰ってきやすいような場所作りみたいなのは、周年こそじゃないかなと思います。

ーー20周年の幕開けは、オリジナルアルバム『Tokyo Mermaid』になりますか。

KOKIA:その前に、オールタイムベストアルバムの『EVOLVE to LOVE -20 years Anniversary BEST-』のリリースがありました。20周年記念として東京オペラシティでコンサートも行いましたし、オーケストラコンサートやパリ公演も。ライブDVDや『Bird Watching』と題した映像総決算の3枚組DVDなどもありましたね。それらの一つひとつを作るために色々考えましたし、またそのアイテムに対して文章を書いたり喋ったりすることで、自分としても、これからの歩みやこれまでのことにすごく気持ちの整理がついた1年でもありました。

ーーそのメモリアルイヤーのラストを飾るのが、Live Best Album『ALIVE -The live history-』。

KOKIA:とにかくKOKIAはライブがいいってみんなが言ってくれるし、ライブが命みたいに言われてもきたのに、ライブ盤は、以前15周年の『Colors of life』というコンサートを収録したものだけ。それしか出してないのが自分でも不思議なくらいだったんですよ(笑)。そう思っていたところに、ちょうどこのお話をいただいたんです。

ーーライブ収録といっても、コンサート1本まるまるDVDにするのか、ライブベストとしてDVDにするのか、音源として出すのかでは全然違ってきますね。

KOKIA:DVDの場合は、もちろん映像があるわけで。視覚効果って素晴らしくて、音だけで聴いたらあまりいいテイクじゃなくても、表情や動き、ライトの感じなど全体の雰囲気のお陰ですごくいいプレイやパフォーマンスに感じれてしまうことがあるんですね。でも音源だけ聴くと、感覚とはずれていることもあって、もっといいパフォーマンスのはずだったのにこのぐらいか、みたいなものもあったりして。逆に、思っていた以上に意外といい歌を歌っていたじゃない! みたいな掘り出し物件もあったりする(笑)。映像という手助けがなくなって削ぎ落とされることで、見え方や捉え方が変わるんだなっていう面白さもありました。

ーー今回は、2010年から2018年までのライブ音源から選曲されているんですよね。

KOKIA:はい。私のコンサートは初めから終わりまでシナリオを作るように繋いでアレンジしていくので、その中の1つだけを切り取ってしまうと、自分の中で成り立たなくなっちゃうんですね。でも今回は各コンサートから曲を抜粋したので、そう言った切り取りの集合体を素材としてアルバムを作らなければならなかったので、最初はちょっとなれなくて、違和感があるなって思っていました。だけど曲順を考えていく中、このバラバラのピースを使って1つのセットリストを組むように曲を置いていけば、過去私が歩んできたライブのヒストリーとしてのセットリストになるなと思ったんです。そうやって組んだことで、なんとなく自分の中にストンと落ちたんですよね。

ーーしかし膨大な数の音源があったわけですよね。

KOKIA:どうやって手をつけようって感じでした。まずはひたすら聴いたんですが、結構大変で。こんなに大変だとは思っていなかったくらい、大変でした(笑)。

ーー今回は2枚組全24曲が収録されていますが、その1曲目は、昨年東京オペラシティで収録された「ありがとう…」。この曲はいつ聴いてもグッときます。

KOKIA:それこそデビューから数え切れないほど歌ってきた曲ですが、時代時代でアレンジが変わったり、歌い方も変わったりしていますので、今回は最新の「ありがとう…」をどうしても入れたかったんです。気持ちとして20周年にストレートに伝わるタイトルですし、歌詞もそうなので。それに、自分の中ではある意味デビュー曲なんですよね。実際のデビュー曲とは違うけど、自分で作詞作曲した曲でCDとなった1枚めなので。

ーー2曲めには、この音源の中では一番古い2010年の「最終上映」が収録されています。

KOKIA:私、結構偉いなって自分を褒めてあげたかったことがあるんです(笑)。今回は9年分ぐらいの音源から選んでいるんですが、それ以前、つまりデビュー当時などは自分が書いたものじゃないものを歌っていたりして、聴くとやっぱり自分の一部じゃない感じがするというか、くすぐったくて恥ずかしかったんです。でも今回のライブ盤では、2018年の「ありがとう…」の次に2010年の「最終上映」があっても違和感がないし、普通に聴ける。それはたぶん、歌を通して自分が伝えたいことに長い年月経ってもブレがないからなのかなって思ったんです。作風や歌い方は長い時間の中で多少変化していますが、歌を通してやりたいことがあまりブレてないんだなってところに感心したというか(笑)。とはいえ進化もしてきたと思うし、それはこれからも同じことのように、より良い、より理想のKOKIAってなんだろうっていう模索はずっと続いてゆくんだと思います。けれど、向かっている方向性は間違えてないんだなって思いました。

ーーKOKIAさんは2006年に独立されていますが、その点も大きかったですか。

KOKIA:はい。私にとって独立が、今なお歌えている理由の1つかもしれないです。どこかに所属して、少しストレスのある中で歌うという歌い手として過ごす時間が長くなっていたら、違う人生を選んでいたかもしれないですよね。でも遅かれ早かれ独立はしていたと思います。歌は自分のライフワークだと思っているので。私、周りから色々言われるの嫌いなんですよ(笑)。だから自分がいいなと思うものを、ステージにしても、アルバムにしても、活動の仕方にしても、自分のペースでやりたい。わがままなんです(笑)。

ーーただのわがままだったら、ここまで続いてないと思います(笑)。

KOKIA:自分を褒めてあげられるとしたら、たぶん、自分のことを俯瞰で見ることができているんですよね。自分には何ができて、何ができないっていうのは一応知っているつもりです。そして、お客様が求めるKOKIAと自分のなりたいKOKIAというものが結構一致しているので、そこをどう開拓していくかということを真面目にやっているつもりです。だから仕事は大好きで忙しくても本当に幸せです。

ーー「一致している」というと?

KOKIA:ミュージシャンはいっぱいいるし、音楽は世の中に山ほどあるけど、KOKIAの音楽じゃなきゃダメっていうお客様は、私の歌から何を感じて、何を得ようとしているんだろうって考えた時に、私の曲が人生の大事な節目で肩を押すきっかけになっていたり、私の曲を聴くことで心が休めたり、自問自答できたりしているのかなと。私自身も、そういう皆さんにとっての人生のテーマソングというか、人生の大事な節目や場面に歌があるっていいなって気持ちで書いているんです。うまく言えないのですが、とても真面目にお客様一人一人の心の中に何かを残したいと考えながら音楽を作っているから、それを同じチャンネルでキャッチした方が今聴いてくれている人たちだと思います。

ーー日本とか海外だとかも関係なく、ですね。今回は、パリや上海の公演で収録された音源もあります。

KOKIA:コンサートや声を通して伝えられることって、たぶん2つに大きく分けられるかなと思っていて。1つは今お話したみたいに、心的なところ。そういうものは日本語の歌詞があって伝わるものなので、日本のお客様はダイレクトに受け止められると思うんです。けれど、海外で公演する時は、歌詞での補足がなくなる分、何でお客様と共鳴するかというと、言葉の領域から離れた、声の持っている振動や感覚ーー私は音波(おとなみ)と呼んでいるんですが、その音波や音の質感みたいなものの力を使って伝わり合うみたいなところがあります。声色の変化も自分の持ち味のひとつだと思っているので、声のバリエーションや歌い方のバリエーション、そういうところから伝わりやすい曲を大切にしたセットリストを組むようにしています。今回のアルバムは、その両方を楽しんでいただけるような選曲になっていると思います。

      

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