音楽プロデューサー 近藤ひさしが明かす、今チームワークでアーティストを育てるメリット

音楽プロデューサー 近藤ひさしインタビュー

写真1枚の大切さを考えることができる人が成功していく

ーー現在近藤さんは講師として代アニで授業もしていますが、どういった学生が多いですか?

近藤:代アニさんなのでやはり声優を目指している方が多いです。ただ、今の声優さんってオーディションの中には、「歌」を出すこと前提で選ばれることもあるようで、生徒さんたちもそれをわかっているからなのか、声優だけでなく歌もできた方がいいと感じている方も多いです。年齢層もいろいろな方々が授業を受けにきていてやる気に満ちていますよ。

ーーこれまで携わってきたアーティストと比べて、近年のアーティストから感じる変化はありますか?

近藤:とあるコンテストの決勝大会に優勝したバンドが、デビューに向けたミーティングで「高校を卒業したら就職するのでデビューは考えてないです」と言っていたというところに遭遇したことがあります。一昔前には大きな賞をもらったら“音楽で食べていこう”とする考えるバンドが多かったと思うけれど、最近はそういったコンテストに出場して優勝するようなバンドでも“趣味でいい”と思っていることが多いと聞きました。

 今は、音楽業界の中でも、ほんの一部の現場以外、新人アーティストはもちろん、”スタッフたち”のほうこそ、「売れる」ということを味わったことのないまま仕事をしている人が増え続けている業界になっています。大きな夢を現実に見れない現状があるようですね。みんなが知っている流行歌になるものも数曲程度。ここ数年でレコード会社に入社した人たちはさらに現実味はないものになっているかもしれません。でもそれは、音楽が売れなくなって寂しいという話よりもリスナーの趣味嗜好が細分化されて、その分野に強い人が自ら作品を発表できるようになってきている流れでもあるわけですし、どう向き合うかだとは思います。

 代アニさんのように強いジャンルを持つ会社がマネージメントやレーベル機能を持ったり、バンドやアーティストも自分で自分のことをマネージメントしていく時代になっていくのかなと思いますね。

ーー個人でも活動することができる一方で、プロデューサーをはじめノウハウを持った一流の人たちと手を組んで活動するメリットもありますよね。

近藤:アイドルは特にその必要が大きいですよね。ビジュアルイメージを含めたアーティスト像/アイドル像って、それぞれのプロフェッショナルが揃って作られていくもの。振付、デザイナー、様々なクリエイターとチームワークでいいものを作っていけるものだと思いますから。

 昔は、街で鳴っている音楽を聴いてその楽曲やアーティストに興味を持つことも多かった。でも今は、もしかしたら音楽よりもイメージが先。スマホの画面に流れてくる写真や映像のムードや、キャッチコピーを読んで、そこから初めて興味を持たれる。音楽はその奥にあるんですよね。かつては、“曲は知っているけど顔は知らない”ということがよくあったけど、今は逆。そう考えると、写真1枚、映像1本がより大切になってきているんです。

 「今、どんなアーティストが求められていますか?」という問いに対して、「これからは自分で発信できる人」と言っている方もいます。もちろんそれを否定もしませんが、本人発の配信番組などを見て、せっかくチームで質感にまでこだわったアーティスト写真のイメージと全然違うことってあるじゃないですか。チームで作り上げたイメージを本人が簡単に壊してしまっている……僕自身、そういうのを見てガッカリすることがあります。自分で簡単に発信することができるからこそ、写真1枚、映像1本の大切さを俯瞰して考えることができる人がアーティストでも、アイドルでも、これからの時代には成功していくんじゃないかなと思います。

ーーMISS MEのメンバーはどういう人に集まってほしいですか?

近藤:アイドルに興味はあっても、自信がなくて“私なんかダメだ”って感じている人はたくさんいると思うんです。でも、そういう人のいいところ得意なことを見つけたいと思っています。たまに「“なんでもやります”というのはダメだ」という人もいるけど、僕は「なんでもやります」を「任せます」だと受け取って、その人に向いていることを見つけたい。もちろん、やりたいことが明確にある人も歓迎ですが、やりたいことが見つけられない人こそ、会いに来てくれたらアドバイスできるんじゃないかなって思っています。そういう可能性のある方々にたくさん出会いたいです。グループの中でもいろいろな役割があります。このチーム全体で100点を目指します。とにかくまずは会いに来てください。待っています。

(取材・文=久蔵千恵)

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