有機酸「spray」、40mP「春に一番近い街」、halyosy「桜ノ雨」…“歌ってみた”で人気の春曲
halyosy「桜ノ雨」
2007年に「メルト」の歌ってみたを投稿し、後に続く「ボカロ曲を歌ってみた」の流れを作り出した先駆者ともいえる歌い手かつボカロPのhalyosyが、2012年に公開したオリジナル曲「桜ノ雨」。卒業ソングに相応しい合唱曲で、〈教室の窓から桜ノ雨〉と、舞い込んでくる桜の‟花弁”を‟雨”とした比喩表現は実に見事だ。3人の演奏姿を映したhalyosy本人歌唱の動画も人気だが、歌い手・Souと、現在9人組の男性アイドルグループ・めせもあ。で活動する、あおいによる「桜ノ雨」の歌ってみたにも注目したい。
キャラクターとして登場する高校生のSouとあおい、さらに高校を舞台とした卒業を彷彿とさせる春らしいアニメーションが、情感溢れるリリックと相まって、原曲以上に春を感じさせる作品に。各々のソロパートで構成されたしめやかな前半から徐々に盛り上がり、大サビでの二重唱は、まるで卒業式で本当に2人が歌っているかのようである。
春をテーマとしたボカロ曲は紹介した作品以外にもある。このように「歌ってみた」の二次創作で原曲に風情を足すような作品が、令和の春にも誕生することを楽しみにしたい。
■小町 碧音
1991年生まれ。歌い手、邦楽ロックを得意とする音楽メインのフリーライター。高校生の頃から気になったアーティストのライブにはよく足を運んでます。『Real Sound』『BASS ON TOP』『UtaTen』などに寄稿。
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