ずっと真夜中でいいのに。の音楽の中心にはACAねの歌がある 初の東名阪ツアー最終公演レポ

ずとまよ、東名阪ツアー最終公演レポ

 ACAね、バンドメンバーがフライパン、おたまなどを打ち鳴らしながら、童謡っぽい歌を合唱した「雲丹と栗」(ACAねは最前列の観客にフライパンとおたまを渡していました)の後は、新曲「眩しいDNAだけ」。ブラックミュージックの匂いを微かに感じさせるアレンジ、ラップのテイストを取り入れた歌、サビに入った瞬間に一気に解放されるメロディ、〈今は傷つくことも願ってる〉というラインが共存するこの曲は、ライブでもしっかりと機能し、オーディエンスの体を揺らしていた。 続く「またね幻」は、美しくも切ないピアノのフレーズが印象的なバンドサウンド、 しなやかなでエモーショナルな旋律、〈僕じゃだめだと知ってしまったよ〉という思いを込めた歌詞がひとつになったナンバー。「眩しいDNAだけ」と同様、気持ちよく体を揺らしたくなるグルーヴと深い感情を反映した歌が同時に伝わってくる楽曲だ。 ここからライブは後半へ。強烈なドラムソロから始まり、ACAねがサーチライトで会場を照らしながらパフォーマンスされたパンキッシュナンバー「サメ」、高速で弾むリズム、緻密に構成されたアレンジが生々しい高揚感に結びつき、苛立ちや悔しさを解放するような歌が響き渡る「勘冴えて悔しいわ」などのアッパーチューンを次々と放ち、フロアの興奮を煽っていく。本編ラストは「今日も良い日で、明日も良い日になりますように。単純に、そう願いながら歌います」と「脳裏上のクラッカー」。軽やかに飛び跳ねるビート、起伏に富んだメロディとともに〈わかってるから 繋ぎ止めてよ〉という切実な願いを込めたフレーズをエモーショナルに歌い上げるACAね。力を振り絞るような最後のロングトーンは間違いなく、すべての観客の心に突き刺さったはずだ。

 強烈なコールに応え、ACAね、バンドメンバーが再びステージに登場。

「こうやってたくさんの人の前で歌えることが本当に幸せです」と感謝を表すと、フロアからは大きな歓声が飛んだ。最後にもう一度歌ったのは「秒針を噛む」。〈このまま奪って 隠して 忘れたい〉というサビのフレーズで大合唱が生まれ、ライブはエンディングを迎えた。

 ライブ終了後、6月12日に2ndミニアルバム『今は今で誓いは笑みで』をリリースすることを発表。さらに『FUJI ROCK FESTIVAL』に出演し(7月27日)、8月5、6日には東京・Zepp DiverCity Tokyoで『夏休みLIVE〜水飲み場にて笑みの契約〜』の開催も決定するなど、活動の規模は確実に拡大している。2019年後半、ずっと真夜中でいいのに。は本格的なブレイクの時期に突入することになるだろう。

(文=森朋之/写真=鳥居洋介)

ずっと真夜中でいいのに。オフィシャルサイト

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