琴音の歌声とオーガニックなバンドアンサンブルで魅せた、初ワンマンツアー最終公演

琴音『1st note TOUR 2019』レポ

 星野源のカバー「Week End」では、音域の広さを見せつけ、大好きな映画『SING/シング』がきっかけで知ったというスティーヴィー・ワンダーのカバー「Don't You Worry 'bout a Thing」では、中盤でパワフルなフェイクを披露。以降の畳み掛けるような展開に、会場からは大きな歓声が上がった。

 デビューEP『明日へ』収録曲の中で、唯一の提供曲「しののめ」(作詞:小松令奈、作曲:河野圭)も、中盤のクラシカルな展開などビートリー色の強い曲で、琴音の透き通るようなファルセットが会場いっぱいに広がった。続く「大切なあなたへ」は、琴音が初めて作詞作曲に挑戦したフォーキーかつキュートなナンバー。自らアコギを抱え、軽快なシャッフルを刻むと再びハンドクラップが鳴り響いた。

 軽快なフィリーソウル調の未発表曲「Glorious」を挟み、いよいよラストスパート。言葉を詰め込んで畳み掛けるように歌うフォークロック調の「音色」では、〈大丈夫 君は一人じゃない〉というラインでシンガロングが巻き起こる。そして最後は、ミニアルバム『願い』のリード曲「ここにいること」。アレサ・フランクリンもカバーしたキャロル・キングの名曲「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」を思わせる、ソウルフルかつ高揚感溢れるメロディを伸びやかに歌い上げた。

 アンコールでは、1人登場した琴音。彼女にギターを教えた父親が、まだ幼い頃の琴音に向けて書いたという「僕にだけ教えてよ」を弾き語りで披露。音楽が脈々と受け継がれていく瞬間を目撃したような、そんな感動的な一幕だった。

 本公演の最後には、2ndツアー『2nd note TOUR(仮)』を発表した琴音。序章を終え、どのように飛躍していくのか今から楽しみだ。

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(取材・文=黒田隆憲/写真=八尾武志)

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