井上陽水、ライブのMCに対する考え方の変化明かす「羞恥心が摩耗してくるんですよね」
井上が23歳の頃に発表した「傘がない」は、男女の恋愛に絡ませて社会問題をシニカルかつリリカルに表現した楽曲だ。最近では歌い続けてきた「傘がない」に井上の中で変化が生まれているようだ。「この頃ね、こういう年齢になってくると『傘がない』っていうのが、僕らがさしている傘がないっていうだけではなくてね、もう少し広がった感じのように聴こえだしてきたっていうか、思えるようになってきたというか。こうして暮らしていると、全部満足のいくような状況じゃ当然ないわけで。大きないろんなものを象徴している傘なのかなって時々思えるようになってきたんですよ」と児童虐待のニュースや男女の恋愛を例えに出し、“ない”を説いていく。「いまから30年とか50年は常識的には生きないんだろうなと思うわけですよ。もう少し時間があれば、あれもやれるかもしれないし、これにも挑戦したいかもしれないけど、『ない』んだなって。やっぱり『ない』んだって。いろんなことを思い浮かべながら、あの曲を歌うんですけどね」と自身の中にある表現しづらい捉え方の変化に、井上は時々言葉を詰まらせながら、「うーん。いまいち説明能力がないんで、やっぱり歌を聴いてほしいかな(笑)」とおどけて見せた。
次回は4月20日の放送にTHE YELLOW MONKEYが出演する。
(文=向原康太)