長濱ねる、今夏に欅坂46を卒業へ 中心人物としてグループを牽引した活躍を振り返る
最近は、『こちら有楽町星空放送局』の欠席や『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)にも姿を見せずファンからは心配の声が挙がっていたのも事実。「黒い羊」のMVでは、一人長濱が階段を降りるシーンがあり、MVで平手友梨奈が持つ彼岸花の本数3本(卒業メンバーの人数)が、音楽番組出演時には4本になっていることも長濱の卒業を示唆していたのではないかとファンの間で予想されていたが、それを裏付ける確証はない。『欅って、書けない?』(テレビ東京)の企画「新成人メンバーによる大人ツアー!」にてニューハーフバーに出向いた長濱が、「『やりたいこと』と『やった方がいいこと』はどっちを優先した方がいいんですか?」と相談し、「やりたいことをやればいいのよ」という回答に涙を流す一幕は、自身の思い描くビジョンと実際の活動が乖離していたとも取れる。けやき坂46のラストライブであり、日向坂46の初ライブとなった『デビューカウントダウンライブ!!』翌日の卒業発表というのも、けやき坂46を見届けるようなタイミングだ。
「欅坂46の詞は、彼女たちを見ていた僕の、観察日記のような気がします」というのは秋元康が『クイック・ジャパンvol.135』のインタビューで語っていることで、長濱の最後のソロ曲となった「否定した未来」は迷い、苦悩し、本当の自分を見つけられずにいる彼女を想像させる。18歳の夏、故郷・長崎で撮影された写真集『ここから』のインタビュー、あとがきには欅坂46加入後、居場所を探し続けた彼女の赤裸々な思いが綴られている。葛藤しつつも少しずつ自分の世界の扉を開いてきた長濱は「今いる場所で試行錯誤しながら少しずつ改善していけたらいいけど、全てを変えてしまうのも一つの手段だと思います。今いる環境が全てに感じてしまうけど。外は広いのかもなー。と」と記しており、この2年間でその根本にある思いが形になったとも捉えられる。
2018年2月には長崎市観光大使に就任しており、写真集では「ゆくゆくは平和のための国際貢献活動に携わるような人になりたいです」と明かしていた長濱。欅坂46としてのパフォーマンスが見られなくなるのは残念だが、“やりたいこと”を優先した彼女の決断を応援したい。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter