関ジャニ∞「crystal」が描く、未来へ立ち向かう姿勢 変化見せることでグループは進化していく

 カップリング曲の「咲く、今。」は、ピアノが全面的に押し出されたバラード。作詞を松原さらり、作曲をオカダユータ、編曲を高慶"CO-K"卓史がそれぞれ担当している。ピアノの伴奏とギターの響きがセンチメンタルな情景を描く中、後半の切ないメロディが印象的で、いきものがかりやコブクロといった春ソングの定番アーティストを思い起こさせる作風だ。

 また、もうひとつのカップリング曲「月曜から御めかし」はアップテンポなロックナンバーで、作詞を錦戸亮、作曲を南田健吾、編曲をPeachが担当している。錦戸亮が作詞を務めるのは前作『ここに』収録のカップリング曲「All you need is laugh」や、アルバム『ジャム』収録の「Traffic」など、グループのディスコグラフィーには珍しくない。歪んだギターがメインの若さみなぎる青春パーティーロックだが、たまにロービットな電子音が施され、ポップな雰囲気を強めるよいアクセントとなっている。

 3曲を全体的に見ると爽やかな印象のシングルリリースで、重さや過剰さはない。その分クールで、果敢に前へ飛び出しているイメージがある。それを生み出しているのが先述したサウンド面と歌詞であろう。特に表題曲のサウンドはグループにとっては新鮮な響きで、それ自体が今回の作品で歌われている〈進みたいんだ〉というテーマに直結している。前作『ここに』は新体制後初のシングルだったもののサウンド面にグループの“らしさ”が表れていたが、今作は音にも言葉の面においてもじりじりと駒を進めている印象だ。

 長く続くグループは自身のイメージとどう付き合っていくのかが常に課題だが、こうした変化のさせ方を見せることで徐々に新しいグループへと進化していくのだろう。

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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Twitter(@az_ogi)

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