nonoc『KODO』インタビュー
『魔法少女特殊戦あすか』で注目のnonoc アニソンシーンの新星が半生と今後の展望を語る
ここまでの成長を作品に残せた
――また、カップリング曲「Lucid Dream」では、プロデュースも務められている安田史生さんと共作で歌詞にも携わっています。どんなことをテーマに歌詞を書きましたか?
nonoc:タイトルを直訳すると“明晰夢”っていう意味なんですけど、自分の中で「わかっているけど醒めない夢の中から出られない」という世界があって。そういうアニメとかゲームにハマっていた時期にこの曲の歌詞を書くことになったんですよ。それに、サウンドもロックなんだけど目まぐるしい感じがして、ちょっとした電脳感も出したかったというのもあって、そういう世界観で書かせていただきました。
――当時触れていたものに、すごくヒントを得た。
nonoc:そうですね。『STEINS;GATE』なんですけど(笑)。
――そのなかで、特にこだわられたのはどんなところでしたか?
nonoc:テンポの早い曲なので、音数に合わせて言葉を入れてるとぎゅっとしすぎてるように聴こえちゃうんです。だからそれを、さっぱりさせたくて。それを意識して書いてもぎゅっとしたものになってしまったので、作詞の難しさを改めて感じましたね。あと、サビのはじまりは、母音が「ア」か「エ」がいいなと思ってました。そのほうが耳にパッと入ってくるし、声の出し方も変わってくるので、パキッと「サビです!」という感じが出せたと思います。それと、サビの最後に出てくる〈刮目せよ〉っていう言葉を使いたくて……。
――それは、なぜ?
nonoc:“刮目”っていう言葉を知って「かっこいいじゃん!」と思ったからなんです(笑)。初見だとちょっと読めないし、日常ではあまり言わない言葉じゃないですか。夢の世界で、ちょっと中二っぽく使ってるのが私的にはすごくよかったんですよね。
――そうしてご自身で歌詞を書かれた曲を歌う際に、これまでの楽曲との違いは何かありましたか?
nonoc:書いていただいた曲は毎回自分なりに解釈をして、イントネーションやリズムの感じを練習して歌うんですけど、今回は自分の世界の中だけで完結しないように「ほかの人が聴いてどう思うか?」ということを意識しました。だからセルフディレクションのようなかたちで、「どうでしたか?」ってみなさんに聞きながらレコーディングさせていただいたんですよ。
――なかなか1stシングルからできることではないように思います。
nonoc:これまでもニコニコ動画用に録音した音声を編集していたので、レコーディングしたり自分で作品を作るのは好きだったし、表現にこだわりもあるので、そこは大事にしておきたかったんです。安田さんもそのこだわりも生かしてくれたので、それもよかったなと思っています。
――お話を聞いていると、このシングルはnonocさんの出発点でもあり、これまでの音楽人生の積み重ねが出た1枚のようですね。
nonoc:たしかに。まだ私の音楽人生全部は出せていないと思うんですけど、歌単体で考えると『リゼロ』の2曲のときよりも声の力強さや表現の幅の広がりを実感したので、ここまでの成長を作品に残せたのかな、とは思います。これからもいろいろな曲を歌ってジャンルも広げて、いろんな可能性も試していきたいですね。
――そしてこのシングルの発売に伴って、初めてのリリースイベントも開催されます。
nonoc:お客さんの前で、ひとりでステージとして歌わせていただくのは初めて(※取材時点はリリースイベント開催前)なので、いろいろな方のライブ映像を観て勉強しています。でも動画になってるものってファンがついてからのものだから、まだ駆け出しの私はそうはなるとは思っていません。だから今は、作品を大事にしていくなかでいいはじめの一歩を踏み出せるように、歌を届けることを大事にしたいと考えています。
――実際のお客さんとのやり取りから、また吸収できるものもあると思いますし。
nonoc:そうですね。パフォーマンスの部分ではまだまだ勉強はすごく大事ですし、人対人なので、自分の思った通りの反応をしてもらえるかと言ったら絶対そうじゃないと思うんです。だからまずは、目の前にいる人が持ってくれている少しの期待を裏切らないようなパフォーマンスをしながら、その場の雰囲気や距離感をいろいろ考えて、やっていきたいですね。
――では最後に改めて、nonocさんは今後どんなシンガーになっていきたいか、現時点での目標を教えてください。
nonoc:どういうシンガーになりたいかというのは、自分の意志もあるんですけど、ファンの人と作っていくものだと思うんです。なのでまずは、いただいている作品をしっかり練習して、練習した自分をも裏切らないように一つひとつの歌に大切な想いを込めて、生の歌やパフォーマンスを届けられるようになりたいです。
(取材・文=須永兼次/写真=三橋優美子)
■商品詳細
『KODO』
2月27日(水)発売
<収録内容>
1.KODO
2.Lucid Dream
3.KODO instrumental
4.Lucid Dream instrumental
価格:¥1,200+税