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レキシの万人に開かれたエンターテインメントなライブ 自身初の横浜アリーナ公演を観て

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 2014年の武道館公演では武田信玄に源頼朝、平家の落ち武者に卑弥呼。2016年の武道館では再びの武田信玄に一休宗純、紫式部、徳川慶喜。2017年の武道館では3度目の武田信玄に石田三成(稲穂の妖精たちと猫たちも)。そして先日1月23日に行われた横浜公演では西郷隆盛とマシュー・ペリー、石川五右衛門に清少納言。一体何の話かと言えば、レキシのライブ会場前に飾られる花輪の送り主である。言わずと知れた偉人たちも時空を超えて宴を楽しみにしているのであろうか。そんな風景を想像してはクスッとしてしまうレキシ流の歴史ギャグ。昨年から年をまたいで全国を巡っている『レキシTOUR2018-2019「まんま日本ムキシばなし」』もいよいよ大詰め。この日は自身初の横浜アリーナ公演だ。

 法螺貝を合図に客電が落ちると、ステージ上のスクリーンに映し出されたのは農夫姿のレキシ。ユルい映像が合間に差し込まれるのも近年のレキシライブでは定番となったが、今回のストーリーはざっとこんな感じだ。不作に困った吾作(レキシ)が稲穂の神様(ロバート秋山竜次)に助けを求めると、「最近楽しくないから何かやって」と無茶振りされてしまう。悩んだ挙句吾作が提案したのは歌って踊ること。そうライブ! その後おもむろにツアータイトルの元ネタでもある「まんが日本昔ばなし」のオープニング曲が流れ、「はい、きたよーーーー!」の声と同時にレキシが登場。最新アルバム『ムキシ』収録の「SEGODON」で幕開け。シンセ全開な80sサウンドが高らかに鳴り響く。ああ、ついに始まった。音楽と笑いの怒涛の3時間が。そんなことを考えながらサビの〈せごどーん〉で拳を突き上げていると、曲がハウンドドッグの「ff(フォルティシモ)」に変化し、会場もつられて「愛がすべてさ〜♪」の大合唱。「SEGODON」のオマージュネタでもあるVan Halen「JAMP」も挟みつつ、2曲目の「なごん」で会場のテンションを上げていく。TAKE島流し (武嶋 聡)と元妹子(村上 基 from 在日ファンク)の冴え渡るホーンをバックに、お館様もステージを右に左に駆け回り大忙しだ。「こんばんは、ケビン・コスナーです」とお決まりの挨拶に、会場がやや和んだところで「年貢をおさめるよー」の声とともに始まったのは「年貢 for you」。レキシ楽曲きっての爽やかサウンドに身を委ねていると、中盤から怒涛の脱線タイムに突入し、JAYWALK、米津玄師、西野カナ、ゆず、安全地帯と矢継ぎ早に繰り出して行く。変幻自在に音楽の壁を越境していくワクワク感こそ、やはりレキシのライブの醍醐味でもある。「ガラじゃねーよ、こんなの小箱でやることだよー」と照れながら、満員状態の横浜アリーナを満足げに見やるお館様。単独では最大規模のキャパシティだけに、感慨深いものもあったのかもしれない。

 今回のツアータイトル「まんま日本ムキシばなし」はアルバム『ムキシ』のリリース記念ツアーであると同時に、過去作にもスポットを当てる意味を込めたとのこと。ここからは少し懐かしめの選曲が続いた。とはいえ、1st収録の「Let’s 忍者」はホーンが加わりよりムーディーに、2nd収録の「ペリーダンシング」はゴリゴリのファンクサウンドで会場を揺らし、5枚目から選曲した「KMTR645」では一転してロック色全開で観客を煽る。リリースから年月が経ち、演奏にも熟成感が増したとでも言おうか。アルバム収録時とは微妙にアレンジを変えて提供される楽曲に、現在進行形で進化し続けるレキシの真髄を見た気がした。もちろんそれを可能にしているのはバンマス的立ち位置の健介さん格さん(奥田健介 from NONA REEVES)や、リズムの要でもあるパーマネント奉行(真船勝博 from FLOWER FLOWER)、伊藤に行くならヒロブミ(伊藤大地)ら手練れのメンバーたちである。数々の無茶振りや脱線は彼らがいてこそ成り立つ、高度なセッションだ。中でも年々お館様からの寵愛(?)ぶりが激しさを増しているのが元気出せ!遣唐使(渡和久 from 風味堂)。「今日は何しに来たの?」「もしかしてナオト・インティライミ?」など強めのイジりにも屈せず、健気にプレイを全うしようとする姿は、さながらレキシバンドの“良心”だ。そんなふたりの絡みからのスローなロックバラード「墾田永年私財法」、メロウなダンスチューン「SHIKIBU」を経て、TVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディングテーマとして広くお茶の間に浸透した「GET A NOTE」へ。キーボーディストでもあるレキシの本領発揮とも言えるエモいピアノが印象的な楽曲だが、これほどまでにライブ映えする楽曲になるとはうれしい誤算だった。

 ここで2度目の映像パート。誰もが知る「鶴の恩返し」をレキシらしく再現したVTRで少々のクールダウン(そしてここでも代官役で登場する秋山竜次)。ステージに舞い戻ったお館様は絢爛な衣装に身を包み、「SAKOKU」を熱唱。「ムキシ」では上原ひろみと一発録りで行ったというスリリングなセッションで聴かせるジャズブルースも、会場のスケールと相まってさすがの重厚感だ。続く「奈良に大きな仏像」はサンバ調、そして「KATOKU」で「SEGODON」以来の80sに返り咲く流れを聴きながら、改めて「ムキシ」というアルバムの多彩さに気づかされる。そして本編最後はレキシの代表曲「きらきら武士」。ミラーボールのきらめきの中、“武士コール”がこだまする。聴いたそばから体を動かさずにはいられない圧巻のグルーブに会場中が一体となった。

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 幕間では再び「稲穂の神様」と吾作のやり取りが続く。「まだ足りない」と言う神様の前にキャッツン(やついいちろう)が助っ人として登場するもしらけた表情。どうやら神様はアンコールを所望しているらしい。それならば、と現れたお館様は「GOEMON」の衣装。これはもしや、と期待していると満を持してスペシャルゲストの知らせが。会場中がざわめく中、ステージ中央に後ろ向きで現れたその人は、まごうことなきビッグ門左衛門こと三浦大知! ドラムンベースを配した珠玉のダンスチューンを、軽やかにステップを踏みながら盛り上げた。興奮冷めやらぬまま「狩りから稲作へ」のイントロが流れると、会場中で稲穂が揺れる。一面に実った稲はさながらレキシが築いてきた音楽がいかに豊かだったかを表しているかのようだ。お約束の“稲穂コール”には三浦も参加し、当代きっての美声を披露。また、「一瞬だけ三浦大知に戻って」とお館様に請われ、自曲の「EXCITE」の一節を歌う場面も。サービス精神旺盛な三浦にレキシファンも割れんばかりの歓声で応える。エンディングは幾多のライブを経て完成したファンとの掛け合いの賜物、高床式→劇団四季→キャッツで締めくくり、華やかなフィナーレとなった。

      

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