けものフレンズ2、五等分の花嫁……“歌声での芝居”を存分に味わえるキャラソン主題歌
アニメソングには、アニソンシンガーや声優がアーティストとして担当するもの以外にも、キャラソン主題歌というジャンルが存在する。『マクロス』シリーズなどで昔から存在はしていたジャンルだが、特に2000年代中盤に『魔法先生ネギま!』オープニング「ハッピー☆マテリアル」や『らき☆すた』オープニング「もってけ!セーラーふく」などの数々のヒットソングが登場したことでいちジャンルとして確立。今日に至るまで、各クールごとに多数のキャラソン主題歌が誕生し続けている。そこで本稿では、2019年冬アニメのキャラソン主題歌の中から注目株を、楽曲自体の魅力はもちろんキャラクターソングならではの魅力なども踏まえつつ、ご紹介していきたい。
「乗ってけ!ジャパリビート」どうぶつビスケッツ×PPP
(『けものフレンズ2』オープニングテーマ)
ウルトラヒットを飛ばした1期オープニングテーマ「ようこそジャパリパークへ」からはや2年。歌い手・作家ともに同作と同じ座組で生み出された本作は、各フレンズのセリフも散りばめられた、ミュージカルのような雰囲気のナンバーに。賑やかなブラスに小気味いいベースの響き、さらにはビブラフォンや軽快なピアノが華やかなステージを連想させる楽曲となっており、赤いカーテンの前で歌うシーンも盛り込まれたオープニング映像にもピッタリだ。ちなみにこの曲、実は歌ってみようとすると意外と難しい曲でもある。その一因が、楽曲中随所に顔を出す三連符である。しかもAメロソロでの細かく二連続で登場したり、サビ冒頭のロングトーン開けの難しいタイミングで登場したりと、その用いられ方も独特だ。これをひょいっと乗り越えられているところに、フレンズならではの軽やかな身のこなしを連想したのは、筆者だけ?
「気ままな天使たち」わたてん☆5
(『私に天使が舞い降りた!』オープニングテーマ)
エレキギターが映えるポップチューンであり、小気味良いクラップ音が楽曲の随所でフィーチャーされたハッピーなナンバー。楽曲冒頭のコーラス部分をはじめユニゾンの歌声がとにかくたまらなくキュートで、1週間頑張ってこの30分を迎えた視聴者へのご褒美の幕開けを“天使”5人が告げるようなものに。その中で注目すべきは、“小学生キャラ5人が歌う”という設定を大事に、難しい言葉や言い回しが多用されていない点。そうすることで作品・キャラクターと楽曲との距離をより密接なものにしており、そのキャラソン主題歌ならではの魅力を非常に忠実に守り、生かした1曲になっているのだ。