1stアルバム『Communication』インタビュー
“カラオケバトル”で話題 海蔵亮太が語る、シンガーとして探求した音楽を介するコミュニケーション
「シンガーの評価がもっと高くてもいいんじゃないか」
ーーそしてオリジナル曲についてですが、「巡恋慕」は、ベートーベンの「悲愴」をベースに、河口恭吾さんが作詞。アカペラで始まる壮大な楽曲です。渡辺直美さんがボートレースのCMで歌っているメロディでもあるので、きっと一般の方にも耳馴染みがありますね。
海蔵:こちらは、だいぶ静かなレースになりそうですけど(笑)。でもそうやってCMに使われるくらい、時代や世代を問わない魅力と力を持っているメロディです。今回そういうパワーを持ったメロディの力をお借りして、日本の情緒溢れる情景が思い浮かぶ、繊細な言葉のセンスと共に完成させていただきました。僕自身J-POPというものにこだわらず、幅広くいろんな音楽を歌っていきたいと思っているので、自分がどれだけできるのか、挑戦の意味も込めて今回クラシックを取り入れさせていただきました。
ーー河口さんによる歌詞は、〈魚になりたい〉とかとても独特ですね。
海蔵:はい。パッと見ではよく分からないんですけど、比喩的で遠回しな表現は、日本語だからこその魅力があるなと思います。だから最初はアカペラで、言葉だけで伝えようと思って歌いました。でも、すごく緊張しましたね。バックに音があるのとないのとでは、やはり違うものだなって。
ーークリックだけを聴きながらですか?
海蔵:いえ、最初のカウントだけ聴いて、後は無音で歌いました。自分の中でしっかりリズムを刻んでいないと、演奏が入ってきたときにズレてしまうので、すごく大変でしたけど。僕はいつも、クリックを切って演奏を聴いて歌うんです。それも聴いているようでいて、聴いていない感じなのかな? だから「もう1回お願いします」と言われたときに、どこから歌ったのか分からない時があって。
ーーきっと自分の中に完成像があって、頭の中で音も鳴っていて、その世界に入り込んでいるんでしょうね。
海蔵:そういう感じが強いかもしれないですね。だからヘッドフォンを付けていても、付けていないような感じです。ただ自分の中で思い描いた完成像はありますけど、客観的な視点も重要なので、自分のイメージはあくまでもテンプレートとして、実際にその場でスタッフさんの意見を取り入れながらブラッシュアップしていく形です。
ーー何も考えずスタジオに行って、ブースに入った時の感情のまま歌うということは、今のところはないんですね。
海蔵:そうできたら理想ですけど、チキンなのでまだできないですね(笑)。「まったく何も出てこなかったらどうしよう?」という不安のほうがまだ大きいので。でももっとライブを重ねていけば、そういうことがもっとできるようになるかなと思います。
ーー「ぬくもりを残して」は、切なさと温かさの両方があるような感じですね。
海蔵:そうですね。この曲は、CDで音源を聴いていただいた上で、生で聴いてもらえたら、曲の良さをより実感していただけるんじゃないかと思います。すごくシンプルな曲だから、それだけに音源では限界があると言うか。対人としての生のやりとりのほうが、曲が放つ魅力の幅がより広がると思います。生でその空間ごと楽しんでいただくという聴き方のほうが、より生きる曲です。
ーーこういうオリジナル曲は、どういう曲を歌いたいとかどういう歌詞がいいとか、希望を言うようなことは?
海蔵:自分の主観的な意見は、ほとんど入れていません。デビューしたばかりだし、今はまだ自分の意見よりも、周りの意見を聞いて吸収したい気持ちが大きいです。「この曲が海蔵に合うんじゃないか」と、いろんなデモを集めていただいて、いろんな人の違った価値観を知ることができて、その意味で今回はめちゃめちゃ勉強になりました。その上で、今は自分の中から「こういうメロディを歌ってみたい」という気持ちも芽生えてきたので、すごくいい経験になりました。
ーー今は、あくまでも歌い手という感覚。自分の気持ちよりも、その曲をいかに表現するかに注力している。
海蔵:そうですね。与えられたものの中で、自分の表現を出せる方はすごいです。日本ではシンガーソングライターの評価が高いですが、シンガーの評価も、もっと高くていいんじゃないかと思っています。海外の音楽シーンでは、シンガーに対するリスペクトがすごい。もちろんクリエイターに対する評価も高いけど、それと同じくらいシンガーの表現も高く評価してくれる。日本もいずれはそうなっていくと思うし、そうなった時に恥ずかしくないシンガーでいたいなと思っています。だから「こういう曲を歌ってほしい」と言われた時に、その曲を誰よりも魅力的に表現できるように、自分自身の歌声をブラッシュアップして、評価される歌声にしていけるように精進していきたいです。
ーーそして「春つむぎ」という曲は、声と音が融合している感覚で、曲のアプローチとしてもとても面白い曲ですね。
海蔵:自分でコーラスを録って、多重録音するような形で作りました。最終的に、30人くらいの海蔵亮太がいます(笑)。実験的な感じもあって、それができるのはオリジナル曲の良さでしょうね。カバーは原曲の意思があるので、あまり大胆な冒険はできませんが、この曲はまったく自由な発想で作れたので楽しかったです。遊び心も感じていただけたらうれしいです。
ーーこれからの季節にぴったりで、海蔵さんのイメージをより広げてくれる曲ですね。
海蔵:僕に対するイメージは、しっとり系やバラードが多いと思います。そういう中で、こういうミディアムテンポの音の運びは、きっと新鮮に聴いていただけるんじゃないでしょうか。曲に入り込んで聴いていただくのもうれしいですけど、単純に曲にノって楽しんでいただくこともできると思います。歌詞もタイトルの『Communication』に通じるものなので、そこも楽しんでもらえたらうれしいですね。
ーー2月には全国ツアー『LIVE DAM STADIUM presents 海蔵亮太 LIVE 2019 Communication』を開催。どんなツアーにしたいですか?
海蔵:ライブは、限られた空間、限られた時間を共有できる、僕にとって幸せな場所です。それは聴いてくださる方にとってもそうであってほしいので、感謝の気持ちを込めてライブを成功させたいです。人前で歌うのはやはり緊張しますが、今はうれしい気持ちのほうが強いです。緊張をいいものにして、ライブをみなさんと一緒に楽しみたいですね。
ーー海蔵さんの地元の名古屋でも開催、名古屋の会場は、ボトムラインです。
海蔵:観客側として行ったことは何度もありますが、観られる側として立つということは、僕はもちろん家族や身内の誰一人想像していなかったことです。家族も歌うのが好きだから、一緒にステージで歌いたいくらいですけど(笑)。観客として何度も足を運んでいたボトムラインのステージに立って、そこでどんな感情が沸き起こるのか自分自身でも楽しみにしています。
ーー今後活動する上で、どういう曲を歌っていきたいですか?
海蔵:デビュー以降落ち着いた感じ、ミディアム、バラードを多く歌ってきました。そういう曲が好きだし、僕自身の性格もあると思います。でも普段は明るく楽しく暮らしているので、挑戦の意味も込めて明るい雰囲気の曲もやっていきたいです。それに今まではインプットの時期で、「こういう考えもあるんだ」とか「こういう曲も合うんだな」とか、考えさせられることが多かった。2019年は、逆に自分中からアウトプットしていける年にしていきたいです。それが最終的にどんな音楽になるか分かりませんが、どんな音楽と出会えるか楽しみにしていたいです。
(取材・文=榑林史章)
■リリース情報
1stアルバム『Communication』
2019年1月23日(水)リリース
¥2,778(税抜)
<収録内容 (オリジナル歌手)>
1.I LOVE YOU (クリス・ハート)
2.渡良瀬橋 (森高千里)
3.ひだまりの詩 (ル・クプル)
4.銀の龍の背に乗って (中島みゆき)
5.愛のカタチ (中村つよし)
6.Story (AI)
7.接吻 (ORIGINAL LOVE)
8.LOVE LETTER (槇原敬之)
9.たいせつなひと (さだまさし)
10.君と僕の挽歌 (さかいゆう)
11.巡恋慕 ※
12.ぬくもりを残して ※
13.春つむぎ ※
※オリジナル新曲
■ツアー情報
海蔵亮太初のワンマンツアー
2月3日(日)東京 @マウントレーニアホール 渋谷プレジャープレジャー
※SOLD OUT
2月11日(月)大阪 @YESシアター
2月23日(土)愛知 @ボトムライン
※SOLD OUT
※12月8日より各種プレイガイドにて一般発売スタート
■レギュラー番組情報
東海ラジオ:『海蔵亮太 リョウタのカタチ』毎週日曜日19:15~19:30
FM NACK5:『海蔵亮太Communication』毎週金曜 5:30~5:40
■カラオケ・DAM★とも企画
カラオケ世界チャンピオン、海蔵亮太の待望の1stアルバム『Communication』の発売を記念して本日1月22日よりDAM★ともにてカラオケ企画を実施。海蔵の1stアルバムの収録曲から対象曲を歌って応募する。目玉は2月に行われる東名阪ワンマンツアーのステージで本人と1曲カラオケでデュエット出来るコース。海蔵の楽曲をしっかり練習して奮って応募してほしい。
Aコース:「海蔵亮太 LIVE2019」のステージで本人とデュエット出来る!【東名
阪各会場1名様】
Bコース:カラオケでファンミーティング!(東名阪)各20組40名
Cコース:ツアーTシャツプレゼント:10名
DAM★ともHP