洋楽的構造×フォーキーな歌詞が魅力、アイラヴミーという新たな才能との出会い

発見!J-POPをネクストレベルへ進める新しい才能

アイラヴミー『セーブミー』

 ライブハウスで新しい才能と出会った。その名はアイラヴミー。

 信頼するシンガー、そのうちやる音(そのうちやるね)主催イベント『松崎しげらない』で発見した、時代の音を鳴らす3人組バンドだ。

 今年の4月に、7曲入りアルバム『SAVE ME』を自主制作でリリース。その時点では気がつかなかった。現時点でも楽曲は、iTunesやストリーミングサービスでは配信していない。しかし、楽曲力、人間を描いた歌詞の魅力、ライブパフォーマンスのオリジナリティの高さがずば抜けていると思った。まずは、現在の代表曲といえるポップアンセム「セーブミー」をチェックしてみて欲しい。

アイラヴミー – セーブミー MV

“心の痛み”に寄り添う歌詞のチカラ

 「セーブミー」での、ストリングスによるイントロの高揚感。〈もう何も頑張りたくない 特に何を頑張った訳じゃないけど最終電車に乗る 劣等感と隣り合わせ 誰も私のことなんか見てないんだろう 気づかないんだろう〉という、空虚な心情を重ねる歌出しから、四つ打ちで加速していく心の葛藤を撃ち抜く開放感の凄み。

 詞曲を手がける、ボーカル・さとうみほのによる、米津玄師やBUMP OF CHICKENを彷彿とさせる“心の痛み”に寄り添う歌詞のチカラ。いや、より日常に近いというか、自分を責めがちな、そして怒られることが苦手な若い世代ならではの葛藤を見事に描ききっている言葉が凄い。そう、みんな本当は“自分自身についている嘘”を見抜いて欲しいんだ。フォークソング的と言ったら誤解を招くかもしれない。しかし、J-POPで歌い継がれるレジェンドなスタンダードナンバーはMr.Childrenであり、スピッツ、宇多田ヒカル、椎名林檎、RADWIMPS、SEKAI NO OWARIなど、第一線で生き残るアーティストは皆そんな要素を持っている。

メロディが残る、キックが強い洋楽的な構造

 楽曲の洋楽的な構造も興味深い。80年代、90年代リバイバルという、旧世代再構築的な作品が目立つ昨今のJ-POPシーンにおいてネクストを提示する武器となる要素だ。海外ビルボードなど世界最旬チャートシーンでもお馴染みの、シンプルなコード感、シンプルな音使いやリズムのループ。そして、何より大切なのは歌を聴かせること。メロディを伝えることを重視し、さらにコードに逃げることなく単音で隠れキャラ的にインパクトあるフレーズを挟む、遊び心ある演奏でまとめ上げていく構成力の妙。そして、キーとなるのが世界標準なキックの強さ。そんな、絶妙なるバランス感、ヒットのセンス、自由度の高い歌メロの強さがずば抜けているのだ。

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