吉岡聖恵、阿部真央、鈴木このみ……節目の時期を迎えた女性アーティストの新作

 ソロボーカリストとして本格的な活動をスタートさせた吉岡聖惠、メジャーデビュー10周年を目前にした阿部真央など、様々な節目の時期を迎えた女性アーティストの新作をピックアップ。既存のイメージを刷新しながら活動を続ける彼女たちの新たな表現を堪能してほしい。

吉岡聖恵『うたいろ』

 現在“放牧中”のいきものがかりのボーカリスト・吉岡聖恵による初のカバーアルバム『うたいろ』。大瀧詠一のトリビュート盤に収録された「夢で逢えたら」(大瀧詠一)、CMソングとして制作された「糸」(中島みゆき)のカバーを含む本作には、「少年」(ゆず)、「初恋」(村下孝蔵)、「さらば恋人」(堺正章)など、歌謡曲、J-POPのスタンダード、つまり、吉岡自身のルーツミュージックを色濃く反映した楽曲が収録されている。いきものがかりにも関わりが深いプロデューサー島田昌典、本間昭光が手がけたオーセンティックなアレンジも、彼女の表情豊かなボーカルを的確にバックアップ。何よりも“歌うことが楽しい”“歌うことが好き”という気持ちが強く伝わってくることが、本作の魅力だろう。

吉岡聖恵『うたいろ』試聴&ドキュメント映像

阿部真央『変わりたい唄』

 2019年のメジャーデビュー10周年に向けた“Road to 10th Anniversary”を継続中の阿部真央。今年3月に8thアルバム『YOU』をリリースし、ライブハウスツアーを開催。11月からスタートする全国ホールツアー『阿部真央 らいぶNo.8 ~ Road to 10th Anniversary ~』に先がけて届けられたニューシングル『変わりたい唄』には現在の彼女のモードが強く刻まれている。中心にあるのは〈変わりたい もっと自分を生きたい〉というフレーズだろう。デビュー以来、アーティストとしてのアイデンティティを模索し、音楽的な変化を繰り返してきた彼女。プライベートでも結婚、出産、離婚を経験した彼女はいま、本当の意味で“自分自身”を掴み取ろうとしているのだと思う。いまや盟友とも言えるakkinのアレンジによるロックサウンドも、強い意志を掲げて楽曲のテーマによく似合っている。

阿部真央「変わりたい唄」MV

Dream Ami『Wonderland』(CD)

 E-girls卒業から1年以上が経ち、ソロシンガーとしての個性も徐々に確立してきたDream Amiから7thシングルが到着。自ら作詞を手がけたニューシングルの表題曲「Wonderland」は、映画『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』の主題歌として制作されたポップナンバー。きらびやかなシンセサウンド、心地よく飛び跳ねるトラック、ブライトな光を感じさせるメロディととともに描かれるのは、〈全てをプラスに変えていこう 自分らしい Wonderland〉というポジティブなフレーズ。“予想外の環境に置かれた主人公が自分の居場所を見つける”という映画のストーリーに寄り添うと同時に、彼女自身のキャラクターにも映える楽曲に仕上がっている。どこまでも開放的なボーカルもチャーミング。

Dream Ami「Wonderland」MV

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