“野田洋次郎のラブソング”が持つ本質的な魅力ーーRADWIMPS「そっけない」を聞いて
近年の作家としての経験と、それによって証明された揺るぎない野田洋次郎の世界観。この2つが合わさって誕生した「そっけない」を聴いて浮かび上がってくるのは、これまでのRADWIMPSの楽曲に見られるような野田自身の恋愛の情景だけに限らない。情景のリアルさはそのままに、恋愛が始まる前のあの特別な気持ちがよみがえり、まるで自分の曲のように感じられるのだ。それは言い換えるならば、普遍的なラブソングを生み出すことに成功したということにもなるのかもしれない。しかし、この曲がありがちなものではなく、特別な響きのある曲として多くのリスナーの感情を揺さぶるのは、“野田洋次郎が描くラブソング”が持つ本質的な魅力にほかならないのである。
■渡邉満理奈
1991年生まれ。rockin’on.com、Real SoundなどのWEB媒体を中心にコラム/レビュー/ライブレポートを執筆。趣味は読書でビートたけし好き。