Minamiが語る、アニソンと歩んだ15年とこれからの展望「自分とみなさんとの関係は“平行線”」

Minami、アニソンと歩んだ15年

ラジオとアニサマに育ててもらった

ーーチャートアクションが大きかった曲は、2011年の「君の中の英雄」で、Minamiさんの中でシングルとしては最高位を記録。アニメ『機動戦士ガンダムAGE』第一部・フリット編のEDテーマでしたが、この時のことで何か覚えていることはありますか?

Minami:私が『ガンダム』シリーズの楽曲を歌うことになるとは、夢にも思ってなかったので驚きました。『ガンダム』って、いわゆるアニメの中でも別格の存在なので、お話を聞いた時は、びっくりしすぎて固まってしまって。5分くらい黙ったまま動くことができませんでした(笑)。私が作詞・作曲をして編曲がGRANRODEOのe-ZUKAこと飯塚昌明さんだったんですけど、すごく悩みまくって作ったことを覚えていますね。飯塚さんとは、この時がけっこう久しぶりの仕事で、2009年の「あんりある♡パラダイス」(TVアニメ『けんぷファー』OPテーマ)からけっこう間が空いていたので、久しぶりに飯塚さんと作れるのもうれしかったです。

 あと印象的だったのは、アレンジャーの菊田大介さん(Elements Garden)と最初にお仕事をさせていただいた時のこと。菊田さんは、歌い手としての私のキャラクター性をすごく広げてくださった方なんです。最初は2007年のシングル『BUT,metamorphosis』のカップリング曲「winter fairy」で、『Memories』の収録曲では「Next Season」が菊田さんとの最初の曲になるんですけど……。それまで飯塚さんがアレンジをしてくださっていて、そこに菊田さんという新しい色がパッと入ってきたことで、菊田さんの存在感をすごく感じたことを覚えています。

ーーアレンジャーとの出会いも大きかったと。長くやっていると、必然的にどんどん新しいアレンジャーや作家と仕事をすることになっていきますが、そこで感じるのはどんなことですか?

Minami:今どきの人たちは、私が昔歌っていた時代のものを聴いて作るようになった人が多いから、当時よりさらに一歩進めたものを作るんですね。だからコード進行が凝っていたり複雑だったり、テンポが速かったりとか、そういう違いがあると思います。単純にどんどん曲としてのレベルが高くなっているので、歌うほうは大変です(笑)。言葉をちゃんと言う意識を持って歌わないと、速いので言葉が流れていってしまうし。メロディも複雑だったり、言葉が詰め込まれていたりするので。

ーー若手の作家と制作する機会が増えると、やはり会話の中で「Minamiさんの曲を聴いていました」とか、言われますよね。

Minami:そうですね。でも曲よりも、「ラジオを聴いていました」と言っていただけることのほうが多いかな。最初はラジオ大阪で、その後ネットラジオでやっていた時代もあったんですけど、即興で曲を作るコーナーがあったり、バカなことばかりしゃべっていたから、「あれを聴いていたのか!」と思うと、ちょっと恥ずかしくて(笑)。

ーーラジオは、その人の素や本音が出やすい媒体と言われますよね。

Minami:だからこそ面白くて、「聴いてました」と言ってくださる方が多いんだと思います。そこからの広がりもあったので、私の活動の中でラジオは、かなり重要な部分を締めていました。真面目にちゃんと曲を作るコーナーもあって、リスナーさんからのメールでお題をいただいて作っていたんですけど、週1回の放送だったので、その時期は曲作りの修行をしているみたいでした(笑)。私も作るからにはいい曲にしたいので、真剣に作っていたし。気に入った曲はプロデューサーに聴いてもらって、アルバムに収録されたものもあります。

ーーラジオはおひとりでやられていたんですか?

Minami:いえ、“ジョイまっくす”さん(現・ジョイまっくすポコ)という人がいて(笑)。

ーージョイまっくすさん!(笑)。

Minami:当時、美少女ゲーム制作会社三社で番組を作っていて、その中の一つの会社の広報の人で。私がゲームの主題歌を歌っていたのもあって、番組の中で曲をかけていただいたりしていました。それは『君のぞ』のアニメが放送される前からやっていたんですけど、アニメ放送が始まって『君のぞらじお』になって、谷山紀章くんとかたかはし智秋ちゃんとかが加わってきて。それがけっこう長く続いたのかな。でも思えば紀章くんものちに飯塚さんとGRANRODEOを結成したり、『君のぞ』で一緒だった人は、今もみんなすごく活躍されているので、私も触発されるし励みになりますね。

ーー今、ラジオのほうは?

Minami:奥井雅美さんの番組に、たまに出させていただいています。奥井さんの貴重なお話が聞けるので、すごく楽しいです。

ーー奥井さんとかJAM Projectのみなさんとか、常に追いかけるべき先輩の背中があったこと、目指せるものがあるのは、ある意味で幸せでしたよね。

Minami:本当にそうです。みなさんがいなかったら、今の私はなかった。それくらい大事な存在で、今もイベントでたまにご一緒させていただくと、すべてがすごすぎます。先輩たちのすごいところは、瞬間的にテンションを上げるところで、ステージに立つ前との切り替えがすごくて。こうやって上げればいいんだなと、背中を見て教わったし。空気を側で感じられたのは、経験として大きかったですね。

 そういう先輩の背中を見ることができる機会が、当時の『Animelo Summer Live』でした。私がアニソンシンガーとして2003年にデビューして、アニサマは2005年からなので、第1回から出させていただいていて、一緒に成長させていただきました。自分のソロライブをやるようになる前から、アニサマには出させていただいていたので、ステージに立つことにおけるさまざまなことは、そこで教わりました。最初はどうやって動いたらいいか分からなくて、気づけば棒立ちで歌ってしまうような状態だったので、ステージに立つみなさんの姿を見て学ばせていただきましたね。それに私は当時MCが苦手で、第1回目の時は歌うだけで精一杯で、ひとこともしゃべっていないんですよね(笑)。

ーーそんな15年を、こうしてアニソン縛りでベスト盤としてまとめてみて、どんなお気持ちですか?

Minami:まず曲順をリリース順にしたのは、年表みたいな形でみなさんにも当時のアニメを思い出してほしかったんです。順番通りに聴いていくと、自分の中でもキャリアが整理整頓されて、旅をしているような感覚になります。また、デビュー当時から声を聴いていくと、シンガーとしての成長も感じていただけると思います。

ーー『Memories』というタイトルは、どういう気持ちで付けましたか?

Minami:初めて歌ったアニソンが「Precious Memories」だったので、そこから『Memories』という言葉を取って付けました。私自身の思い出が詰まっているし、聴いてくださるみなさんもいろいろ思い出しながら聴いてほしいです。自分も10代のころに観ていたアニメを今観ると、すごく不思議な感覚になるところがあるので、きっとみなさんもこの作品を聴くとそんな感覚になるんじゃないかなと思います。

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