Minamiが語る、アニソンと歩んだ15年とこれからの展望「自分とみなさんとの関係は“平行線”」

Minami、アニソンと歩んだ15年

眼力無子が、まさかの楽曲化!

ーー『Memories』は過去を総まとめにした1枚。現在〜未来に向けたMinamiさんを感じてもらえるのが、ニューアルバム『Perfect Parallel Line』です。約5年ぶりのアルバムで、Minami名義では初のアルバムですが、制作にあたりどんなビジョンを持っていましたか?

Minami:まずジャケットのデザインに2本の線が描かれているのですが、この1本1本が、私とみなさんの線だというイメージです。タイトルは“平行線”という意味で、長くやっていると大人になったファンの方もいて、きっとみなさんそれぞれの人生の中で、自分の物語を作ってきたと思います。いいことも辛かったこともあったと思うけど、そのずっと隣に寄り添って進んできたというイメージです。それこそが、「完璧な2つの線だよね」って思うんです。

ーーでも平行線なので、交わることはないですよね?

Minami:はい。そのほうが、永遠感があると思いません? 交わることはないけど、そのぶん永遠に隣にいてあげられる。一度交わってしまうと、その後は離れていく一方ですし。ちなみに前作は『TIGHT KNOT』というタイトルで、リボンをギュッと結ぶというイメージでした。ギュッと結ぶと密着感はあるけど、絡まったらほどくのが大変だよねっていうようなことも意味していたんです。それで、それを伏線とすると今回のような表現もあるなと思って、自分とみなさんとの距離感とか関係を“平行線”という言葉で表してみました。

 たとえば、私の曲を聴きながら眠りにつくという方もいらっしゃって、それって考えてみればすごいことで、そんな寄り添い方って他にはないなって思うんです。人が眠るまで一緒にいるということなので。そういうことを考えると、すごく側にも寄れるし、音楽をあまり必要としないタイミングではスッと離れることができる。私自身も音楽をあまり聴かなかった時期があったし、聴いてくださるみなさんの中にも同じように、しばらく私の曲を聴いていなかったという方もいると思います。でも線と線の間隔は空いたとしても、ずっと並んで前に進んでいる。それにベストを出すと、いろいろ思い出して、久しぶりに聴いたり、ライブに行きたいと思ってもらえると思うし。そういう目に見えない常に変化する距離感を、絶妙に表現できるんじゃないかなって思いました。

ーー平行であることが大事なんですね。

Minami:ずっと隣にいることに意味があります。それを今の自分のメッセージとして、みなさんに伝えておきたいと思いました。

ーーそんな意味の込められたジャケットのデザインは、近未来的でおしゃれなイメージですね。

Minami:こういう模様のある衣装を着るのも珍しいし、ここまでパキッとしたメリハリのあるデザインは今までなかったし。『Memories』とはリリースが1カ月しか空いていないので、デザイナーさんも違う方にお願いをして、あえて違った世界観で表現していただきました。

ーーアルバムに収録の新曲を聴いて思うのは、先程の2本の線ではないけど、出会いと別れ、終わりと始まり、生と死とか。15周年で一つピリオドを打って、そこから新たに始まる感覚とか、そういう2つが常にあると感じました。そこは何か意識されましたか?

Minami:時間を大事にしよう、みたいな(笑)。

ーーそんなに短くまとめちゃいますか(笑)?

Minami:いやいや(笑)。人生の中では出会える人の数も限られているし、その人と過ごす時間も限られていて。それは一瞬一瞬であるけど、だからこそ大事にしたいと思うんです。アルバムの新曲の根底に共通してある私の気持ちは、そういうことなんです。それに新曲以外のシングル曲でも、そういうことをテーマにしているものがけっこう多くて。そういう意味ではいい統一感があると思うし、きっと前作からの5年間は、そういう気持ちになることが多かったのだと思います。

ーー「eye power」という曲もあります。いろんな“アイ”が歌詞には登場しますが、これはどんなイメージで?

Minami:これは、私が描いている“眼力(めぢから)無子”というキャラクターがあって。

ーーん? 眼力? 何ですか?

Minami:取材でそうやって聞き返されるのが、最高に楽しいんですよね(笑)。私って普段はオーラがぜんぜんなくて、「眼力がないよね」って話を昔よくしていて。もう10年くらい前なんですけど、その眼力のない私をモチーフに絵を描いて、“眼力無子”という名前のキャラクターを作ったんです。それをバッジとかグッズにして、たまにライブで売っていて。古くからのファンの方はご存知だと思うんですけど、その“眼力無子”の歌を作ったらどうかなと思って、作ってみたのが「eye power」です。だから私自身ではなく、キャラソンみたいなものなので、普段自分の曲で歌詞を書く時とは違ったものが出せましたね。

ーーピコピコしたテクノっぽい音で、明るいイメージですよね。

Minami:でも、アレンジがちょっと怪しくないですか? 他の曲とは毛色が違うと言うか。アルバムの中では異色だと思うんですけど(笑)。SNSで「眼力無子の曲を作った」と報告したら、ファンから「え〜!」って。「歌になる発想はなかった」みたいな、意外だったという声がたくさんあがって。「そんなのやるの?」みたいな(笑)。それに今回、「こういう新曲を入れたいです」とディレクターさんに聞いていただいたら、「これはちょっと」みたいなことが一切なくて。眼力無子の曲が「よく断られなかったな〜」って、自分でもすごくびっくりしたんですよ。

ーーでも眼力無子という情報を入れずに、普通に曲として聴けば、眼力をテーマに歌った曲として、ぜんぜん成立していると思いましたけど。

Minami:ああ、受け止める側の問題なんですかね。そもそも眼力無子の知名度がそんなにあるわけではないですから、存在を知らない方でも普通に聴けるなら良かったです(笑)。

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